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第16話 入学式での出来事、続き
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「それではこれより新入生代表リオン・フォン・リアネスティールさんからのスピーチになります」
女性の声が響く。リオンが立っている高台の脇には職員らしき女性が控えていた。この入学式の進行役だろう。
リオンはスピーチを始める。声を拡散する魔道具でも仕込んでいるのだろう。その声は軽く1000人は超えているであろう全学園の生徒と教職員が入る広い会場、全域に聞き渡る程に拡散されていた。
「本学園の新入生代表スピーチを務めさせて頂きますリオン・フォン・リアネスティールです」
まあ……名乗らずともお前の事など誰もが知っているだろうが。この王国の第二王子なのだから。ともかく、リオンはそう名乗るであった。そういう形式なのだろう。
「身に余る重大な役割に些か恐縮でもあり、このような大勢の人々に見られながら発言するのは大変、緊張しますが、この場で私の学園に入学する際の想いをお伝えさせて頂ければと思います」
「ふぁ~……」
俺は欠伸をする。眠くなってくるな。この手の肩肘張ったようなスピーチの場は。あれ程、二度寝を堪能したというのに、奴の退屈なスピーチを聞かされるとまるで眠り(スリープ)の魔法でもかけられたかのような猛烈な睡魔に襲われる。
「アーサーさん」
フィオナに諫められる。むっ、とした表情になる。怖いというよりは小動物が威嚇しているようで愛らしい気持ちになる感じだ。
新入生代表であり、第二王子であるリオンのスピーチの場で欠伸をするとは実に不敬であろう。独裁国家であったのならば、不敬罪で何らかの刑事罰に課されるかもしれないな。
「うむ。すまない、すまない。俺のせいではない。奴が俺に強力な眠り(スリープ)の魔法をかけたのが悪いのだ」
「そんな魔法、絶対にかけられてませんよ」
「無論、ただの冗談だ」
「もう、こんな場でふざけた真似をしないでください」
まあ、どうでもいい。このフィオナとの好感度など下げてやった方がいいくらいだ。それがこの娘の為というものであろう。その方が本来の運命(シナリオ)に軌道修正できそうなものであった。
そんな俺達を見やってか、リオンが微笑を浮かべた気がする。
「今、この世界は混沌に満ちようとしています。世界は一見、平和にも見えますがいつこのバランスが決壊してもおかしくはない。そのバランスが崩壊した時、この世界には魔の力が人々を脅かす事でしょう」
長い……。早く終わらないか。実際のところスピーチは一分程しか経過していないのだろうが、既に一時間は過ぎている気がしてきてしまう。
「その際に、貴族や王族である私達には民を守る義務があるのです」
隣にその守るべき民とやらの出自の娘(フィオナ)が俺の隣に座っているのだが。まあいい。こいつは例外なのだ。
「民を守る為には綺麗事だけでは解決しません。そう、力が必要なのです。この魔法学園での三年間はその力を身につける上で、貴重な時間となる事でしょう」
長い。早く、終われ。奴の話を右から左に聞き流し、俺は早く時が過ぎ去る事を願った。
その後もリオンは長々とスピーチを続ける。こいつは性格が糞真面目なのだが、言っている事が綺麗事ばかりで面白くないのだ。理想的で模範的な事しか言わず、失言の一つも言わないので退屈なのである。
「その為に私達はこの三年間で多くの事を学び、一人一人がその自覚をもって日々生活し、人間として成長していかなければならないのです」
「ふぁぁ~」
俺はまたもや欠伸をする。
「アーサーさん」
またもやフィオナに諫められた。
「いや、これは俺のせいではない。奴が眠り(スリープ)の魔法を使ってくるのが悪いのだ」
「それはもういいです!」
ふむ。呆れられてしまったか。
「これにて、新入生代表である私のスピーチを終わりとします。
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割れんばかりの拍手が喝采される。それに合わせて俺もやる気のな拍手を送る。
こやつのスピーチに賞賛に値する部分が僅かにでもあったか。誰もが理解しているような、納得できるような当たり障りのない綺麗事をただ並べただけではないか。
正直、そう思うのだが、拍手はなかなかに治まらず、長く続くのであった。
「ふぁぁ~。やっと終わったか。奴の綺麗事と理想論しか語らないような退屈なスピーチが」
「もう、アーサーさん。第二王子相手に、不敬ですよ」
「そうか。だったら俺は不敬罪で打ち首にでもされるか?」
「そ、そのような事をされる方とは思いませんが、王族相手には敬意というものを持った方が」
「何を言う。この学園では王族以前にただの同級生ではないか。何を気を遣う必要がある?」
「それもそうですが、例えただの同級生相手だとしても、最低限の敬意ってものが」
全く。この娘も根が糞真面目なのだろう。だから貴族と平民という立場はともかくとして、性格的な波長からすれば合っているのかもしれない。流石は運命(シナリオ)によれば惹かれ合う二人と言えよう。
こうして入学式は滞りなく(この俺が二度寝により大遅刻した事を除けば)終わりを迎えるのである。こうして、俺達、魔法学園の一年生達の学園生活がスタートしたのである。
◇
入学式を終えた後は夕食まで自由行動になっていた。俺は散策をする。学園内の構図を把握したかったからだ。
何かが起こった時、どこに何があるのかを理解しておく必要があった。自分達の校舎はこの広大な敷地のどこら辺にあるか。その他の施設はどこにあるのかを。
――と、そんな事を考えている時の事だった。人気のない校舎裏で、聞き覚えのある声が響いた。
「そこの庶民!」
アリシアの声だ。俺は物陰からその様子を見やる。見ると、アリシアは取り巻きのような少女を二人従えて、一人の少女に詰め寄っていた。
この魔法学園で庶民——つまりは平民の事だ。平民の出自の人間は一人しかいない。そう、フィオナ・オラトリア、ただ一人である。
「な、なんですか。あなた達は……」
「あなたのような庶民に名乗る名はありませんが、特別に名乗りを上げてあげましょう。私の名はアリシア・フィン・オルレアン。栄えある貴族オルレアン家の長女にして、この学園の三年生です」
「オルレアン? アーサーさんのお姉様ですか。わ、私に何の御用ですか?」
この前に、理事長室でのカレン叔母さん――否、カレン理事長とアリシアの会話を思い出す。入学式が終わって早々、平民の出自である
「あら。愚弟と知り合いなのかしら。まあいいわ。今、この場ではその事なんてどうでも、良い事、庶民の娘よ!」
アリシアは宣告する。
「良い事。この栄えある魔法学園は王族と貴族にしか、本来は入学を許されていません。あなたのような庶民の女はこの栄えある場には相応しくないのです」
「ふ、相応しくないというのはわかっています。だったらどうしろというのですか?」
「おっほっほっほっほっほっほ! おっほっほっほっほっほっほ! おっほっほっほっほっほっほ!」
これ程『おっほっほっほっほっほっほ!』という笑い声が似合う少女もあまりいないだろう。流石は『悪役令嬢』として、学園で忌み嫌われている少女。ある意味、一目置かれている存在とも言えた。悪目立ちしている、というか。
それについてはやはり俺が言えた事ではないんだろうが。
「そんなの決まっています。フィオナ・オラトリア。庶民の少女よ」
アリシアは不敵な笑みを浮かべ、言い放つ。
「この魔法学園を退学し、立ち去りなさい」
周囲に一陣の風が吹いた。
女性の声が響く。リオンが立っている高台の脇には職員らしき女性が控えていた。この入学式の進行役だろう。
リオンはスピーチを始める。声を拡散する魔道具でも仕込んでいるのだろう。その声は軽く1000人は超えているであろう全学園の生徒と教職員が入る広い会場、全域に聞き渡る程に拡散されていた。
「本学園の新入生代表スピーチを務めさせて頂きますリオン・フォン・リアネスティールです」
まあ……名乗らずともお前の事など誰もが知っているだろうが。この王国の第二王子なのだから。ともかく、リオンはそう名乗るであった。そういう形式なのだろう。
「身に余る重大な役割に些か恐縮でもあり、このような大勢の人々に見られながら発言するのは大変、緊張しますが、この場で私の学園に入学する際の想いをお伝えさせて頂ければと思います」
「ふぁ~……」
俺は欠伸をする。眠くなってくるな。この手の肩肘張ったようなスピーチの場は。あれ程、二度寝を堪能したというのに、奴の退屈なスピーチを聞かされるとまるで眠り(スリープ)の魔法でもかけられたかのような猛烈な睡魔に襲われる。
「アーサーさん」
フィオナに諫められる。むっ、とした表情になる。怖いというよりは小動物が威嚇しているようで愛らしい気持ちになる感じだ。
新入生代表であり、第二王子であるリオンのスピーチの場で欠伸をするとは実に不敬であろう。独裁国家であったのならば、不敬罪で何らかの刑事罰に課されるかもしれないな。
「うむ。すまない、すまない。俺のせいではない。奴が俺に強力な眠り(スリープ)の魔法をかけたのが悪いのだ」
「そんな魔法、絶対にかけられてませんよ」
「無論、ただの冗談だ」
「もう、こんな場でふざけた真似をしないでください」
まあ、どうでもいい。このフィオナとの好感度など下げてやった方がいいくらいだ。それがこの娘の為というものであろう。その方が本来の運命(シナリオ)に軌道修正できそうなものであった。
そんな俺達を見やってか、リオンが微笑を浮かべた気がする。
「今、この世界は混沌に満ちようとしています。世界は一見、平和にも見えますがいつこのバランスが決壊してもおかしくはない。そのバランスが崩壊した時、この世界には魔の力が人々を脅かす事でしょう」
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「その際に、貴族や王族である私達には民を守る義務があるのです」
隣にその守るべき民とやらの出自の娘(フィオナ)が俺の隣に座っているのだが。まあいい。こいつは例外なのだ。
「民を守る為には綺麗事だけでは解決しません。そう、力が必要なのです。この魔法学園での三年間はその力を身につける上で、貴重な時間となる事でしょう」
長い。早く、終われ。奴の話を右から左に聞き流し、俺は早く時が過ぎ去る事を願った。
その後もリオンは長々とスピーチを続ける。こいつは性格が糞真面目なのだが、言っている事が綺麗事ばかりで面白くないのだ。理想的で模範的な事しか言わず、失言の一つも言わないので退屈なのである。
「その為に私達はこの三年間で多くの事を学び、一人一人がその自覚をもって日々生活し、人間として成長していかなければならないのです」
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何かが起こった時、どこに何があるのかを理解しておく必要があった。自分達の校舎はこの広大な敷地のどこら辺にあるか。その他の施設はどこにあるのかを。
――と、そんな事を考えている時の事だった。人気のない校舎裏で、聞き覚えのある声が響いた。
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アリシアの声だ。俺は物陰からその様子を見やる。見ると、アリシアは取り巻きのような少女を二人従えて、一人の少女に詰め寄っていた。
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それについてはやはり俺が言えた事ではないんだろうが。
「そんなの決まっています。フィオナ・オラトリア。庶民の少女よ」
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