怠惰な悪役貴族は変わらず怠惰に過ごしたい。死亡フラグを回避する為に【闇魔法】を極めてたら正ヒロインに好意を持たれたのだが。

つくも/九十九弐式

文字の大きさ
31 / 39

第31話 女子生徒達との会話

しおりを挟む
 ある教室の一室に俺とカレンとフィオナはいた。それは授業のない放課後の出来事である。

 俺の目の前にいるのはアリシアあたりを除く、その日女湯に入っていた女子生徒達である。

 彼女達は殺気立っていた。理由は当然、俺がその場にいるからである。

「カレン理事長。なぜこの不埒な痴漢行為をした変態男がまだ学園に留まる事を許されているのでしょうか?」

 女子生徒の一人が不満を呈する。その一言をきっかけに各々が文句を言い始める。

「そうよ。そうよ」

「は、裸なんて見られて……も、もう、お嫁にいけないわよ」

「わ、私もよ。もうお嫁にいけないわ、どうしてくれるのよ」

 散々泣き喚かれる。

「ふっ……嫁にいけないなら俺が貰ってやろうか?」

 俺はそう言い放つ。

「え?」

 フィオナは声を漏らす。

「将来、俺様が作るハーレムの一員に加えてやろう。そうだな、貴様達なら大体、3ケタ番目の婦人の番号を与えてやろう。どうだ? 嬉しいだろう? これでこの件は一件落着だな。がっはっはっはっは! がっはっはっはっは!」

 俺は高笑いをするが、女子生徒達の怒気がさらに高まるだけであった。

「ふざけるんじゃないわよ!」

「こ、こいつ、絶対許せない。退学だけじゃ温いわ! 死刑! 死刑にすべきよ!」

「そうよ! そうよ! 死刑! 死刑にしなさい!」

 うむ。怒気が強まったな。なぜだ? 女心という奴はとんとわからん。

「はぁ……予想通りに感情的になっているな」

 カレンは溜息を吐いた。

「まあ、待て。彼もやりたくてそんな事をしたのではない。やむない理由があったのだ」

「やむない理由? どんな理由ですか。どんな理由があれば婦女子の入浴に侵入してくるというのですか? そしてそれが許されるとでも」

「う、うむ……それがやむない理由があってだな。説明するのも面倒だし、気が重い事ではあるのだが」
 
 カレンは言葉を濁らせる。

「ふっ。もうよせ。下らん問答はもう終わりにしようではないか。時間の無駄だ」

 俺は言い放つ。

「な、なによ! この変態のぞき魔がさっきから偉そうよ!」

「そうよ! そうよ! せめて謝りなさいよ!」

「土下座よ! 土下座しなさいよ!」

 ええい。異世界ファンタジーに土下座という概念があるのか。やはり土下座という謝罪概念は異世界にも共通する、最上級の謝罪方法。

 だが、俺がそんな真似をするなどプライドが許さん。

「いつまでも怒るな。高々、乳のひとつやふたつ、尻のひとつやふたつ見られただけではないか。実に女々しい」

「め、女々しいって何よ! 私達は女なんだから女々しいのなんて当然でしょう!」

「そうよ! そうよ!」

「お前達の望みはわかった! 俺が退学してこの学園を去ればいいのだろう!」

「……わ、わかってるじゃない」

「く、口だけじゃなくてちゃんと行動に移しなさいよ」

 俺が『退学』を口にすると、ようやく女子生徒達の怒りが多少は治まったのだ。殺気立った怒気から、不機嫌程度の態度へと明らかな変化を遂げる。

「そ、そんな、アーサーさん」

 その場に同席していたフィオナがわかりやすい程動揺していた。

「ただし! この俺様からも条件がある!」

「条件? 一体、何の条件があるというのかしら?」

「三カ月後に魔法武術大会がある事は当然のように知っているであろうな?」

 魔法を用いた戦闘技術、能力を適性に評価する為に行われるトーナメント戦である。その大会の参加者となるのは学年関係なく、この学園における全生徒である。

「そこでこの俺様が優勝できなかったら、大人しく、退学をしてやろう! だが、俺が優勝した場合、この俺様がこの学園に在籍する事を認めるがいい」

 全生徒が出場するという事は、当然のように、あのいけすかないイケメンチート主人公であるリオンも出場するのである。

 女子生徒達からイケメンとして絶対的な人気を集めているリオンではあるが、単に顔やスタイルが良いだけで人気を集めているというわけでもない。

 王国第二王子というその高貴な地位にある事も勿論ある。だが、何よりもあいつには反則的に強い。身体能力が高く、頭脳が優れている。その上にチート魔法まで持っている。

 はっきり言って完全無欠だ。俺は加減の出来ないあのリオンに調子に乗った挙句に本気を出されて殺されてしまうというのが本来の運命(シナリオ)なのだ。

「ふっ。あなたが優勝できるわけがありませんわ」

「なぜなら魔術武闘大会にはリオン様も出場するからですわ」

 全く。なんだ、この好感度の違いは。風呂場に現れたのが俺ではなくてリオンだったらやんわりとした雰囲気でお咎めなく終わったのではないだろうか。

 なんだか、腹立たしい事ではあるが。

「本当に良いのか? やむない事情があるにも関わらず、そんな大見栄を切ってリスクの高い条件を受け入れて、それで約束を反故にされたらまた問題になるぞ?」

 カレンは心配そうに、そう聞いてきた。

「奴は俺のライバルだ。やがて超えなくてはならないハードル」

 勝利条件が奴と闘った後に生存するから、闘って勝つというものに変わったというだけである。

「魔術武闘大会がそのハードルを越えるべき、絶好のタイミングというわけだ」

「あなたのようなのぞき魔の痴漢がリオン様のライバルだなんて、ちゃんちゃらおかしいですわ」

「そうよそうよ」

「うるさい! 用は済んだだろうが! さっさと立ち去れ! しっ! しっ!」

「な、何よ! のぞき魔の痴漢のせいに偉そうに。何様だと思っているのかしら」

「まあ、別に良いか。用も済んだし、俺は帰るとしよう。じゃあな」

「あ、あなたの顔なんて二度と見たくないわよ」

 女子生徒達は叫ぶ。
 
 こうして、俺達は解散するのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

ヒロインだけど出番なし⭐︎

ちよこ
恋愛
地味OLから異世界に転生し、ヒロイン枠をゲットしたはずのアリエル。 だが、現実は甘くない。 天才悪役令嬢セシフィリーネに全ルートをかっさらわれ、攻略対象たちは全員そっちに夢中。 出番のないヒロインとして静かに学園生活を過ごすが、卒業後はまさかの42歳子爵の後妻に!?  逃げた先の隣国で、まさかの展開が待っていた——

悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。 なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。 超ご都合主義のハッピーエンド。 誰も不幸にならない大団円です。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 小説家になろう様でも投稿しています。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

処理中です...