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第二王子との出会い
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王国の魔法学院での出来事であった。
カトルという少年がいた。カトルは魔法学院に通う少年であるが、それと同時に王国の第二王子でもあった。美しい顔立ちをした少女のような少年である。
少女であったのならばかわいがられるだろうが、少年ということもあり、女みたいだとか、なよなよしいなどと評される。もっともそれは悪意のある周囲の見方なのではあるが。
しかしカトルにはある欠点があった。それは魔法の実演指導でのことであった。
「ぷっぷっぷ……」
「今度はカトルの番か」
周りの男子生徒たちが嘲笑をしている。
「ではカトルさん、魔法を使用してください」
「はい!」
カトルは魔法を使う。最も初歩の炎系魔法。ファイアーボールの魔法の実演指導だ。
「ファイアーボール!」
カトルは魔法を使った。しかし。出てきたのはファイアーボール。玉とはいってもものすごい小玉である。
これではとても焚火すら起こせそうにない炎であった。流石に他の生徒でもそれくらいのことはできる。
カトルはいわゆる魔法学院の落ちこぼれと言われるような生徒であった。しかもその生徒が王子ということで、さらに嘲笑の対象。いじめや差別の対象として格好の標的(ターゲット)となってしまう。
「「「ぎゃははははははははははははははははははははははははははははは!」」」
周囲の生徒たち。主に男子生徒たちだ。その嘲笑と嘲りの言葉がカトルに投げつけられる。周りの女性生徒たちも言葉にこそしないが嘲るような笑みと視線をしていた。
「なんだ! その炎! 本当にファイアーボールか!」
「へへっ! こんなやつが王子とかこの王国大丈夫かよ!」
「才能なさすぎだろっ! こいつっ!」
子供というのは残酷な生き物だ。精神が未成熟ゆえに平気で人が傷つくようなことをいう。むしろ喜んで言っている節まである。
「くっ!」
「こら! 私語は慎みなさい!」
カトル。王国の第二王子であり、優秀かつ美麗なランスロット王子がいることもあり、猶更その嘲笑は大きくなる。『魔法の才能がない落ちこぼれ』
それが第二王子カトルに対する周囲の評価であった。
◇
「はぁ~~…………」
大聖女として雇われた私は王国でお茶を飲んでいました。テラスで一人お茶を飲む。優雅なコーヒーブレイクです。
私がお茶を飲んでいる最中の出来事でした。一人の少年が帰ってくるのでした。
「誰ですか? あの少年は?」
私は隣に控えていた執事。ギルに聞くのです。
「はい! 第二王子の王子のカトル様です! ランス王子の弟君です!」
「そうですか……」
美しい少年でした。女の子のような顔立ちをしています。かなりの美少年です。一瞬女の子かと思ってしまいました。年齢は10代の前半といったところでしょうか。スカートでも履いていたら間違いなく女の子だとは思いましたが。
男の子用の制服を着ているので、男の子だと私は判別しました。
ですがどこかしょげています。暗い顔をしています。何かあったのでしょうか。いじめられたりしたのでしょうか? そんなところでしょう。学校で起きる嫌な出来事など。
私は最近お城を出ていることが多く、あまりいなかったので顔を合わせる機会がなかったのでしょう。
「どうしたのですか? 何か悲しいことでも?」
私は聞きます。その第二王子、カトルが私の胸に抱き着いてきたのです。他の男だと嫌ですが、こんな愛らしい少年であるならば嫌な感じは受けません。
「わっ! どうしたのですかっ!」
「大聖女様!……どうか、僕に魔法を教えてください!」
「ふぇ?」
カトルはそう私に頼んできたのです。その瞳には涙を浮かべていました。
カトルという少年がいた。カトルは魔法学院に通う少年であるが、それと同時に王国の第二王子でもあった。美しい顔立ちをした少女のような少年である。
少女であったのならばかわいがられるだろうが、少年ということもあり、女みたいだとか、なよなよしいなどと評される。もっともそれは悪意のある周囲の見方なのではあるが。
しかしカトルにはある欠点があった。それは魔法の実演指導でのことであった。
「ぷっぷっぷ……」
「今度はカトルの番か」
周りの男子生徒たちが嘲笑をしている。
「ではカトルさん、魔法を使用してください」
「はい!」
カトルは魔法を使う。最も初歩の炎系魔法。ファイアーボールの魔法の実演指導だ。
「ファイアーボール!」
カトルは魔法を使った。しかし。出てきたのはファイアーボール。玉とはいってもものすごい小玉である。
これではとても焚火すら起こせそうにない炎であった。流石に他の生徒でもそれくらいのことはできる。
カトルはいわゆる魔法学院の落ちこぼれと言われるような生徒であった。しかもその生徒が王子ということで、さらに嘲笑の対象。いじめや差別の対象として格好の標的(ターゲット)となってしまう。
「「「ぎゃははははははははははははははははははははははははははははは!」」」
周囲の生徒たち。主に男子生徒たちだ。その嘲笑と嘲りの言葉がカトルに投げつけられる。周りの女性生徒たちも言葉にこそしないが嘲るような笑みと視線をしていた。
「なんだ! その炎! 本当にファイアーボールか!」
「へへっ! こんなやつが王子とかこの王国大丈夫かよ!」
「才能なさすぎだろっ! こいつっ!」
子供というのは残酷な生き物だ。精神が未成熟ゆえに平気で人が傷つくようなことをいう。むしろ喜んで言っている節まである。
「くっ!」
「こら! 私語は慎みなさい!」
カトル。王国の第二王子であり、優秀かつ美麗なランスロット王子がいることもあり、猶更その嘲笑は大きくなる。『魔法の才能がない落ちこぼれ』
それが第二王子カトルに対する周囲の評価であった。
◇
「はぁ~~…………」
大聖女として雇われた私は王国でお茶を飲んでいました。テラスで一人お茶を飲む。優雅なコーヒーブレイクです。
私がお茶を飲んでいる最中の出来事でした。一人の少年が帰ってくるのでした。
「誰ですか? あの少年は?」
私は隣に控えていた執事。ギルに聞くのです。
「はい! 第二王子の王子のカトル様です! ランス王子の弟君です!」
「そうですか……」
美しい少年でした。女の子のような顔立ちをしています。かなりの美少年です。一瞬女の子かと思ってしまいました。年齢は10代の前半といったところでしょうか。スカートでも履いていたら間違いなく女の子だとは思いましたが。
男の子用の制服を着ているので、男の子だと私は判別しました。
ですがどこかしょげています。暗い顔をしています。何かあったのでしょうか。いじめられたりしたのでしょうか? そんなところでしょう。学校で起きる嫌な出来事など。
私は最近お城を出ていることが多く、あまりいなかったので顔を合わせる機会がなかったのでしょう。
「どうしたのですか? 何か悲しいことでも?」
私は聞きます。その第二王子、カトルが私の胸に抱き着いてきたのです。他の男だと嫌ですが、こんな愛らしい少年であるならば嫌な感じは受けません。
「わっ! どうしたのですかっ!」
「大聖女様!……どうか、僕に魔法を教えてください!」
「ふぇ?」
カトルはそう私に頼んできたのです。その瞳には涙を浮かべていました。
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