13 / 16
第13話 オークとの闘い
しおりを挟む
「食らいやがれっ!」
オークが斧を振り下ろしてくる。その攻撃は破壊力こそあるかもしれないが、単純で直線的なものだった。
避ける事は造作もない。俺はその攻撃を避け、間髪入れずに反撃を入れる。最近、購入したミスリルソードによる一撃だ。
ザシュッ。剣がオークの皮膚に突き刺さる。
「ぐ、ぐあっ!」
オークは短い悲鳴を上げた。だが、その攻撃によりオークを絶命しうるには至らなかった。
それも一重にオークという種族の特徴にある。オークは知能こそ余り高くなく、魔法攻撃を使ってくる事は余りないが、それでも高いHPと防御力があり、決して侮れるような相手ではない。
「こ、このっ!」
オークは剣が突き刺さった状態のまま、反撃をしてこようとする。
「エルクさんっ!」
後方からセラの声が聞こえてくる。
「離れてくださいっ!」
俺は飛びのいた。
「火炎魔法(フレイム)!」
セラは火炎魔法(フレイム)を放った。紅蓮の炎がオークを襲う。
「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
オークが断末魔を上げて、果てた。オークが丸焼きになったのだ。先ほどの俺の攻撃とは大違いだった。やはり、ここでもオークの特徴が表れている。オークは防御力に優れているが、それは物理的なものに限られる。
魔法防御力はそう高くはない。魔法攻撃はオークの弱点でもあり、戦闘の鉄則(セオリー)だった。そして、さらに炎属性はオークの弱点属性でもある。炎魔法で攻撃するのが、オークに対する効率的な対応策なのである。
「……や、やった。流石だ。セラ」
「ふ、ふざけんな! こらああああああああああああああああああああああああ!」
他のオークが襲い掛かってくる。
俺もセラのように、火炎魔法(フレイム)のスキルを習得した。それは先日アイテム屋で購入したスキルブックの効果によるものだ。だが、当然のように火炎魔法(フレイム)のスキルレベルは1から始まっている。セラのように、高いスキルレベルになっていない為、その威力はお世辞にも余り高いものではなかった。
俺はオークの攻撃を避ける。そして、その反撃をする。
ザシュッ。剣が突き刺さる。この程度ではオークの致命傷にならない事は先ほど刃を交えた時に証明済みだった。
「ブヒヒッ! その程度の攻撃が俺達に効くわけがないだろう! 愚かな人間めっ!」
オークが俺を嘲ってくる。
俺は笑みを浮かべた。確かに、俺の火炎魔法(フレイム)のスキルレベルは1とまだだまだ低い。だが、使い方次第でスキルレベル以上の効果を発揮する事だって可能だ。
いくらオークが頑丈と言っても、それは外側だけの話。内側から炎で焼かれれば一たまりもないはずだ。
「火炎魔法(フレイム)!」
俺は突き刺さった剣先から、火炎魔法(フレイム)をオークの体内に直接送り込む。
「な、なに! ば、馬鹿なっ! ぐっ、ぐああああああああああああああああああ!」
体内から身体を焼かれたオークは断末魔を上げて果てた。
やった。倒せた。このやり方なら俺でも問題なく、オークを倒せた。要領を得た俺達はオークを次々と倒していく。
「ちっ! なんだこいつら! 撤退だ! 撤退するぞっ!」
「あ、ああっ! ずらかるぜっ!」
そして、今回のクエストの目的である五体のオークを倒した時だった。粗方のオークは村からいなくなっていた。どうやら俺達が居た事で旗色が悪いと判断したからか、巣へと引き返していったようだ。
「はぁ……何とかなったか」
俺は胸を撫で下ろす。しかし、落ち着ける時間も束の間だけの事であった。
「た、大変じゃ! 冒険者の方々!」
村長が慌てた様子で駆け寄ってくる。
「ど、どうしましたか? 村長?」
「わ、わしの孫娘のクレアがオークに連れ去られたのじゃ!」
「……な、なんだって」
俺達がオークの群れと闘っている隙に、別のオークが彼女を連れ去ったのか。闘いに気を取られて、クレアの身の安全まで気にしている余裕がなかった。
「ど、どうします? エルクさん」
セラに訊かれる。確かに、俺達は冒険者ギルドからの依頼である『オークを五体討伐する』という任務(ミッション)をこなした。だが、当然のように村のオークによる問題が解決したわけではない。
俺達には確かにこの村を救う義務はないのかもしれない。だが、このまま放っておくわけにもいかなかった。英雄になりたいわけではないが、このまま村を放っておく。何よりさらわれたクレアを放っておくなんて。胸糞が悪くなるし、気分が最悪になりそうだった。
「決まってるだろ……助けに行こう。間違いない。クレアさんは北の洞窟に連れていかれたんだ」
俺達は急いで北の洞窟へと向かう事にした。
オークが斧を振り下ろしてくる。その攻撃は破壊力こそあるかもしれないが、単純で直線的なものだった。
避ける事は造作もない。俺はその攻撃を避け、間髪入れずに反撃を入れる。最近、購入したミスリルソードによる一撃だ。
ザシュッ。剣がオークの皮膚に突き刺さる。
「ぐ、ぐあっ!」
オークは短い悲鳴を上げた。だが、その攻撃によりオークを絶命しうるには至らなかった。
それも一重にオークという種族の特徴にある。オークは知能こそ余り高くなく、魔法攻撃を使ってくる事は余りないが、それでも高いHPと防御力があり、決して侮れるような相手ではない。
「こ、このっ!」
オークは剣が突き刺さった状態のまま、反撃をしてこようとする。
「エルクさんっ!」
後方からセラの声が聞こえてくる。
「離れてくださいっ!」
俺は飛びのいた。
「火炎魔法(フレイム)!」
セラは火炎魔法(フレイム)を放った。紅蓮の炎がオークを襲う。
「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
オークが断末魔を上げて、果てた。オークが丸焼きになったのだ。先ほどの俺の攻撃とは大違いだった。やはり、ここでもオークの特徴が表れている。オークは防御力に優れているが、それは物理的なものに限られる。
魔法防御力はそう高くはない。魔法攻撃はオークの弱点でもあり、戦闘の鉄則(セオリー)だった。そして、さらに炎属性はオークの弱点属性でもある。炎魔法で攻撃するのが、オークに対する効率的な対応策なのである。
「……や、やった。流石だ。セラ」
「ふ、ふざけんな! こらああああああああああああああああああああああああ!」
他のオークが襲い掛かってくる。
俺もセラのように、火炎魔法(フレイム)のスキルを習得した。それは先日アイテム屋で購入したスキルブックの効果によるものだ。だが、当然のように火炎魔法(フレイム)のスキルレベルは1から始まっている。セラのように、高いスキルレベルになっていない為、その威力はお世辞にも余り高いものではなかった。
俺はオークの攻撃を避ける。そして、その反撃をする。
ザシュッ。剣が突き刺さる。この程度ではオークの致命傷にならない事は先ほど刃を交えた時に証明済みだった。
「ブヒヒッ! その程度の攻撃が俺達に効くわけがないだろう! 愚かな人間めっ!」
オークが俺を嘲ってくる。
俺は笑みを浮かべた。確かに、俺の火炎魔法(フレイム)のスキルレベルは1とまだだまだ低い。だが、使い方次第でスキルレベル以上の効果を発揮する事だって可能だ。
いくらオークが頑丈と言っても、それは外側だけの話。内側から炎で焼かれれば一たまりもないはずだ。
「火炎魔法(フレイム)!」
俺は突き刺さった剣先から、火炎魔法(フレイム)をオークの体内に直接送り込む。
「な、なに! ば、馬鹿なっ! ぐっ、ぐああああああああああああああああああ!」
体内から身体を焼かれたオークは断末魔を上げて果てた。
やった。倒せた。このやり方なら俺でも問題なく、オークを倒せた。要領を得た俺達はオークを次々と倒していく。
「ちっ! なんだこいつら! 撤退だ! 撤退するぞっ!」
「あ、ああっ! ずらかるぜっ!」
そして、今回のクエストの目的である五体のオークを倒した時だった。粗方のオークは村からいなくなっていた。どうやら俺達が居た事で旗色が悪いと判断したからか、巣へと引き返していったようだ。
「はぁ……何とかなったか」
俺は胸を撫で下ろす。しかし、落ち着ける時間も束の間だけの事であった。
「た、大変じゃ! 冒険者の方々!」
村長が慌てた様子で駆け寄ってくる。
「ど、どうしましたか? 村長?」
「わ、わしの孫娘のクレアがオークに連れ去られたのじゃ!」
「……な、なんだって」
俺達がオークの群れと闘っている隙に、別のオークが彼女を連れ去ったのか。闘いに気を取られて、クレアの身の安全まで気にしている余裕がなかった。
「ど、どうします? エルクさん」
セラに訊かれる。確かに、俺達は冒険者ギルドからの依頼である『オークを五体討伐する』という任務(ミッション)をこなした。だが、当然のように村のオークによる問題が解決したわけではない。
俺達には確かにこの村を救う義務はないのかもしれない。だが、このまま放っておくわけにもいかなかった。英雄になりたいわけではないが、このまま村を放っておく。何よりさらわれたクレアを放っておくなんて。胸糞が悪くなるし、気分が最悪になりそうだった。
「決まってるだろ……助けに行こう。間違いない。クレアさんは北の洞窟に連れていかれたんだ」
俺達は急いで北の洞窟へと向かう事にした。
10
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった
竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。
やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。
それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる