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第30話【闇勇者SIDE】エルフの森を攻略する
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パチパチパチパチ。
エルフ軍を退けた僕を魔王軍四天王であるアスタロトは拍手で出迎えた。
「実に素晴らしい力だ。よくぞ憎きエルフの軍を退けてくれた。褒めて遣わそうぞ」
「ねー、ねー。アスタロトちゃん。私が力を授けた闇勇者は使えるでしょ? 使えるでしょ?」
ネメシスは子供のように自慢してくる。
「ああ……我が魔王軍にとっては貴重な戦力だ。ありがとう、ネメシス」
「わーい。アスタロトちゃんにお礼言われちゃった。きゃー!」
「ちゃんづけはよせ。呼び捨ての方がマシだ。威厳がなくなる」
「うん。わかったよ。アスタロトちゃん」
「だからちゃんづけをやめろと言ったろうが! わかってないだろ! 全然わかってない!」
アスタロトは憤った。何となく仲の良い子供同士がじゃれているようにも見える。邪悪さを感じない一場面であった。とても闇の世界の住人とは思えない。まあ良い。そんな事どうでも。
「こほん」
アスタロトは咳払いをした。
「……ともかくとして。今後の活躍を期待しているぞ、闇勇者ハヤト。活躍次第で貴様の望むものは何でも授けようぞ」
アスタロトは妖艶な笑みを浮かべる。
「それで、次は僕に何をして欲しいわけ? 何でも言ってみてよ。今の僕なら、大抵の事はできるからね」
僕は余裕の笑みを浮かべる。
「闇勇者ハヤト。お前に次の命令を与える。エルフの国を陥落させよ」
「あいよ……わかった。やってくるよ。エルフの国はあっちの方でいいんだよね」
「ま、待って。ハヤト! まさか、一人で行くつもりか?」
「……ん? 何かおかしい?」
「魔族兵を連れて行かないのか? 本陣を守る最低限の部隊は必要だが、それ以外なら貸し出せるが」
「いらないよ……エルフ軍に遅れを取るような雑魚達。僕にとっては足手まといに過ぎないからね」
「「「くっ……」」」
その場に居合わせた魔族兵達は表情を曇らせる。だが、先ほど僕の絶対的な力を見たのだから、とてもではないが、僕に反抗的な態度は取れないようだ。こいつ等もそれほど馬鹿ではないという事。自分を守る為なら、多少の我慢はするものさ。
「……そうか。だったら一人で行ってくればいいさ。エルフの国を攻め滅ぼせ、期待しているぞ。闇勇者ハヤトよ」
「ふっ……お安い御用ですよ。アスタロト様」
かくして僕はたったの一人でエルフ国を攻め落とす事を決めたのである。
◇
エルフの攻撃部隊を退けた僕は、森の中に入っていく。
「いたぞ! こいつだ! こいつが攻撃部隊を撃退したんだ!」
エルフの軍は大きく分ければ攻撃部隊と防衛部隊に分かれていた。当然のように、全軍を投入して魔王軍を攻めていたというわけではない。その為、エルフ軍には残存勢力が存在していた。
エルフ軍の防衛部隊は地の利のある森を利用していた。身を潜めやすく、攻撃をしやすい。そして旗色が悪くなった場合に逃げるのも都合が良かった。連中にとってのホームステージみたいなものである。
対する魔王軍にとっては迷路のようなこの森は攻める上で何かと都合が悪い。木々が邪魔をして数で攻めづらい上に、迷って途方に暮れる可能性も十分に考えられた。
「ちくしょう! 俺達の仲間達を散々な目に合わせやがって!」
エルフ達は木の上に登ったまま、僕に弓矢で攻撃を仕掛けてきた。しかし、その程度の攻撃では僕に僅かばかりのダメージを与える事もできない。
「なっ!?」
「こ、こいつ!」
「無駄だよ……その程度の攻撃では」
僕の力だったら、こいつ等を皆殺しにする事は容易い事ではあった。だが、今回ばかりは皆殺しにするのでは都合が悪い。
僕は剣で一本の大木をいとも容易く斬り落とした。
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
けたたましい音を立て、大木が斬り落とされた。そして、木に登っていたエルフもまた、地上に引きずり落とされたのだ。
「ひ、ひいっ! た、助けてっ! こ、殺さないで!」
僕に睨まれたエルフは哀れにも命乞いをしてくる。
「心配するな……お前は殺さない。だけど、本当は死んだ方が良いと思うかもしれないね。なにせお前はこれから仲間であるエルフ達を売る事になるんだから。くっくっく」
「何を言っているんだ……お前は」
「僕の目を見ろ」
僕はスキル『魔眼』を発動する。僕より遥かに低LVな相手を洗脳するスキルだ。僕の目が赤く光り、相手を魅了する。目の色が変わった。間違いなく、成功だ。もはやこいつは僕の命令を無条件で聞く、ただの操り人形(マリオネット)だ。
【※後付けで設定を追加しました】
「これからお前にエルフの国まで案内してもらう。案内できるな?」
「はい。わかりました」
「よし……行くぞ」
僕はエルフを従え、エルフの国を目指す事にした。途中、防衛部隊に邪魔をされたが、僕にとっては些細な問題だった。問題なく撃退できたのはもはや言うまでもない事であった。
◇
「ここがエルフの国です」
長時間迷路のような道を歩いた末に、そこには何もなかった。今までと同じように木々が茂っているだけだ。
「何もないじゃないか? さては結界で視覚を誤魔化しているな。結界の解除はできるか?」
「はい。できます」
そう言って、エルフは魔法石を取り出す。これが結界を解除する鍵になっているわけだ。
「……よし。だったら解除しろ」
「はい。わかりました」
気のない返事をするエルフ。魔法石が光り出す。そしてついにはエルフ国が丸裸になったのだ。
もはや目的の達成は近い。そう思っていた時の事だった。
僕は思わぬ再会を果たす事になる。
そう。あの臼井影人とかいう、僕が本来貰うはずだったチートスキルをあのクソ女神の手違いで貰った。ただのモブキャラ野郎と。
予想だにしていない再会を果たすのであった。
エルフ軍を退けた僕を魔王軍四天王であるアスタロトは拍手で出迎えた。
「実に素晴らしい力だ。よくぞ憎きエルフの軍を退けてくれた。褒めて遣わそうぞ」
「ねー、ねー。アスタロトちゃん。私が力を授けた闇勇者は使えるでしょ? 使えるでしょ?」
ネメシスは子供のように自慢してくる。
「ああ……我が魔王軍にとっては貴重な戦力だ。ありがとう、ネメシス」
「わーい。アスタロトちゃんにお礼言われちゃった。きゃー!」
「ちゃんづけはよせ。呼び捨ての方がマシだ。威厳がなくなる」
「うん。わかったよ。アスタロトちゃん」
「だからちゃんづけをやめろと言ったろうが! わかってないだろ! 全然わかってない!」
アスタロトは憤った。何となく仲の良い子供同士がじゃれているようにも見える。邪悪さを感じない一場面であった。とても闇の世界の住人とは思えない。まあ良い。そんな事どうでも。
「こほん」
アスタロトは咳払いをした。
「……ともかくとして。今後の活躍を期待しているぞ、闇勇者ハヤト。活躍次第で貴様の望むものは何でも授けようぞ」
アスタロトは妖艶な笑みを浮かべる。
「それで、次は僕に何をして欲しいわけ? 何でも言ってみてよ。今の僕なら、大抵の事はできるからね」
僕は余裕の笑みを浮かべる。
「闇勇者ハヤト。お前に次の命令を与える。エルフの国を陥落させよ」
「あいよ……わかった。やってくるよ。エルフの国はあっちの方でいいんだよね」
「ま、待って。ハヤト! まさか、一人で行くつもりか?」
「……ん? 何かおかしい?」
「魔族兵を連れて行かないのか? 本陣を守る最低限の部隊は必要だが、それ以外なら貸し出せるが」
「いらないよ……エルフ軍に遅れを取るような雑魚達。僕にとっては足手まといに過ぎないからね」
「「「くっ……」」」
その場に居合わせた魔族兵達は表情を曇らせる。だが、先ほど僕の絶対的な力を見たのだから、とてもではないが、僕に反抗的な態度は取れないようだ。こいつ等もそれほど馬鹿ではないという事。自分を守る為なら、多少の我慢はするものさ。
「……そうか。だったら一人で行ってくればいいさ。エルフの国を攻め滅ぼせ、期待しているぞ。闇勇者ハヤトよ」
「ふっ……お安い御用ですよ。アスタロト様」
かくして僕はたったの一人でエルフ国を攻め落とす事を決めたのである。
◇
エルフの攻撃部隊を退けた僕は、森の中に入っていく。
「いたぞ! こいつだ! こいつが攻撃部隊を撃退したんだ!」
エルフの軍は大きく分ければ攻撃部隊と防衛部隊に分かれていた。当然のように、全軍を投入して魔王軍を攻めていたというわけではない。その為、エルフ軍には残存勢力が存在していた。
エルフ軍の防衛部隊は地の利のある森を利用していた。身を潜めやすく、攻撃をしやすい。そして旗色が悪くなった場合に逃げるのも都合が良かった。連中にとってのホームステージみたいなものである。
対する魔王軍にとっては迷路のようなこの森は攻める上で何かと都合が悪い。木々が邪魔をして数で攻めづらい上に、迷って途方に暮れる可能性も十分に考えられた。
「ちくしょう! 俺達の仲間達を散々な目に合わせやがって!」
エルフ達は木の上に登ったまま、僕に弓矢で攻撃を仕掛けてきた。しかし、その程度の攻撃では僕に僅かばかりのダメージを与える事もできない。
「なっ!?」
「こ、こいつ!」
「無駄だよ……その程度の攻撃では」
僕の力だったら、こいつ等を皆殺しにする事は容易い事ではあった。だが、今回ばかりは皆殺しにするのでは都合が悪い。
僕は剣で一本の大木をいとも容易く斬り落とした。
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
けたたましい音を立て、大木が斬り落とされた。そして、木に登っていたエルフもまた、地上に引きずり落とされたのだ。
「ひ、ひいっ! た、助けてっ! こ、殺さないで!」
僕に睨まれたエルフは哀れにも命乞いをしてくる。
「心配するな……お前は殺さない。だけど、本当は死んだ方が良いと思うかもしれないね。なにせお前はこれから仲間であるエルフ達を売る事になるんだから。くっくっく」
「何を言っているんだ……お前は」
「僕の目を見ろ」
僕はスキル『魔眼』を発動する。僕より遥かに低LVな相手を洗脳するスキルだ。僕の目が赤く光り、相手を魅了する。目の色が変わった。間違いなく、成功だ。もはやこいつは僕の命令を無条件で聞く、ただの操り人形(マリオネット)だ。
【※後付けで設定を追加しました】
「これからお前にエルフの国まで案内してもらう。案内できるな?」
「はい。わかりました」
「よし……行くぞ」
僕はエルフを従え、エルフの国を目指す事にした。途中、防衛部隊に邪魔をされたが、僕にとっては些細な問題だった。問題なく撃退できたのはもはや言うまでもない事であった。
◇
「ここがエルフの国です」
長時間迷路のような道を歩いた末に、そこには何もなかった。今までと同じように木々が茂っているだけだ。
「何もないじゃないか? さては結界で視覚を誤魔化しているな。結界の解除はできるか?」
「はい。できます」
そう言って、エルフは魔法石を取り出す。これが結界を解除する鍵になっているわけだ。
「……よし。だったら解除しろ」
「はい。わかりました」
気のない返事をするエルフ。魔法石が光り出す。そしてついにはエルフ国が丸裸になったのだ。
もはや目的の達成は近い。そう思っていた時の事だった。
僕は思わぬ再会を果たす事になる。
そう。あの臼井影人とかいう、僕が本来貰うはずだったチートスキルをあのクソ女神の手違いで貰った。ただのモブキャラ野郎と。
予想だにしていない再会を果たすのであった。
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