外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた

つくも/九十九弐式

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第17話 砲台を作る事に

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 俺達はミスリルの家の中に入った。生活は大分落ち着いてきた。木製のテーブルもできたし、暇を見て木製の食器も作った。これはスキルによるものというよりはただの工芸に過ぎないが……手先が器用だったらスキル関係なく、誰でもできる代物だった。

「お水です……すみません、お水しかなくて」

 リノアはリディアに対して、水を出した。

「いえ……お気になさらなくて結構です。お水でも十分にありがたいのです。何せ、ここまで命カラガラで逃げ延びてきたのですから。ありがたくちょうだいします」

 リディアは躊躇いなくコップを手に取った。

 ぐぴ! ぐぴ! ぐぴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

「ぷはぁ! 生き返りますねぇ!」

 ドン。そして、コップをテーブルに置いた。

 なんだろうか……なんというか、何となくおっさん臭いような、そんな印象を俺は受けた。わざわざ言葉には出さないが。幼女のような幼い見た目を彼女はしているので、かなりのギャップを受けた。

「ありがとうございました」

「もう一杯いかがでしょうか?」

「いえ、もう結構です。喉は潤いましたので……」

 彼女はそう言った。

「それでは改めまして自己紹介をさせて頂きます。私の名はリディア。魔王軍により滅ぼされたドワーフの国の姫……であった者です。今では何でもありません、ただのドワーフの娘です。ただ、『神域の鍛冶』というスキルは私とは切っても切り離せないものです。そのスキルを持っている点はただのドワーフ娘とは異なるやもしれませぬ」

 落ち着いた口調で彼女は語る。見た目と話し口調に大きなギャップがあった。だが、彼女はドワーフだ。見た目こそ幼いが、それでもそれなりの人生を歩んできて、経験を積んでいるのであろう。

「俺の名はグランだ……見ての通り人間だ。【建築(ビルド)】というスキルを授かっていて、この家を作ったのも俺なんだ」

 俺はそう自己紹介した。それに倣って、リノアも自己紹介をし始める。

「私の名はリノアです。リディアさん。私もまた、魔王軍により滅ぼされたエルフの国の生き残りです。私もまたエルフの国では王女をやっておりました。元王女という立場も同じです。あなたの胸中、お察しします」

「……そうですか。そしてこの家に逃げ込んで来たというわけですか……共通点が多いですね。私達。不思議な運命です……」

 正確に言えば、リノアはこの家が建つより前に行動を共にしていたが……まあいい。特段訂正しなければならない程、重要な事でもない。

「ええ……そうですね。その通りです。私達、仲良くなれそうです」

 リノアは笑みを浮かべる。やはり種族が違うとはいえ、同性の仲間が増えるのはリノアにとって友達が新しくできたようで、好ましい事なのかもしれない。

「それでリディア……これからの事なんだが、本格的に俺達の仲間になるという事でいいんだな?」

「ドワーフの国を追われ……私に行く宛などありません。当然のようにあの魔王軍のところになど行くはずもありません。行きたいわけがないのです。どんな酷い目に合わされるかわかったものではありません。それに、グラン様達は私の命を救ってくださいました。恩義を感じているのです。私の力がお役に立てるというなら、是非役に立たせて頂きたいと考えています」

「……そうか。ありがたいな。やはり、俺の【建築(ビルド)】スキルでは出来る事には限界があるんだ。俺のスキルでは建物を建てる事は出来ても、直接攻撃する武器や兵器を作る事はできない……。建物では災害や敵から身を守る事が出来ても、敵から攻め込まれた時の自衛手段が乏しいんだ」

 外堀で抵抗して見せたが、もし敵が空を飛んで来たら流石に対応しきれない。やはり、盾だけでは敵から身を守るには限界がある。矛も必要になってくるんだ。特に魔王軍の連中みたいな、卑劣な連中から身を守るには……。そして身を守っているだけでもダメだ。基盤が整ったら攻め込む必要もある。

 あんな連中、のさばらせておくわけにはいかない。実際、魔王軍の兵団を目の前にして、そういう気持ちにもなってきた。

 だから、【神域の鍛冶】というレアスキルを持ったリディアが仲間になってくれる事は実に心強い事であった。

「だからこれからリディアが仲間になってくれるとこっちとしても嬉しい事なんだ……仲間になってくれるなら俺達は歓迎するよ」

「はい……グラン様。私のお力を是非あなた達にお貸できればと思います。命を救われた恩を返したいのです。どちらにせよあなた達と一緒にいる以外に私の居場所などないのです。その居場所をくださるのですから、私にとっては願ってもみない事です」

「そうか……力を貸してくれるのか、リディア。嬉しいよ」

「リディアさん……これから一緒に頑張りましょうね」

「ええ……具体的にはこれから何をするつもりでしょうか?」

「ああ……とりあえず俺達の生活の基盤は整ったんだ」

 泉で水が手に入り、ビッグファンゴを狩猟する事で食糧が手に入った。衣類も手に入った。家具などは出来るだけ自作した。木の家はダメになったが、ミスリルの家を建築して、とりあえずは災害にも備えられるようになった。

 外堀を作って、とりあえずは魔王軍の襲撃もやり過ごせた。

「身の安全はある程度守れるようにはなったと思う……だが十分じゃない。俺達には武器が必要なんだ。武器が……この前みたいに、魔王軍が来ても蹴散らせるだけの武器が必要だ」

「武器ですか……」

「恐らく、魔王軍もあれで諦めたわけではないと思う。間違いなく、君を狙って再度襲撃してくる。その襲撃に俺達は備えなければならないんだ。その為には外堀とミスリル鋼の家による守りだけでは不十分だ。攻撃する手段……武器が必要なんだ。その為の武器を作って欲しい」

「武器ですか……具体的にどんな武器ですか?」

「見たところ魔王軍は大群だった。頭数がとにかく多いんだ。今度の襲撃ではもっと大量の兵士を連れてくる可能性が高い。大勢の魔王軍を蹴散らせるような、そんな武器が必要なんだ」

「ふーん……それでしたら砲台なんかいかがでしょうか?」

「「砲台!?」」

「ええ……砲台です。大きな筒に砲弾……球を詰めて、火薬で打ち出すのです。球もまた普通の鉄球ではなく、着弾と同時に炸裂するようにすれば、相手に大きなダメージを与えられるようになります」

「砲台か……」

「いいですね! 砲台! それがあればあの魔王軍に一泡吹かせられそうです」

「ですが、砲台を作るにも材料がなければできません……。材料さえあれば私のスキルにより、作り出す事ができるのですが……」

 流石に『神域の鍛冶』とはいえ、鍛冶スキルの上位スキルのようなものでしかない。何でも出来るわけではない。無から有は作り出せないのだ。何事にも限界がある。材料がなければ作り出せるわけがなかった。

「材料……って、何がいるんだ?」

「硬質な金属が必要です……ミスリルより上の金属。アダマンタイトがあれば可能でしょう。砲台の負荷に耐えうるには、強固な金属がいるのです。球自体は普通の鋼鉄でも構いません。そして中に仕込む、爆発物も必要でしょうか」

 アダマンタイトか……貴重な鉱物だ。それに、砲台を作るのであれば大量に必要になってくる。

 さらには爆発物。これも連射を前提とするなら、大量に入手しなければならない。

「アダマンタイトを入手するのに心当たりがあります……ここより北にいった山に、全身がアダマンタイトで出来た竜が出現するそうです。そして爆発物に関しても心当たりがあります。ここより南に行った火山に、出現する火属性の竜の鱗……その鱗は爆発性を秘めているそうです。この二つの竜を討伐すれば、無事に砲台と、その砲弾を作り出す事が出来るはずです」

「……竜か……」

 竜は強敵だ。果たして、俺達で倒せるかわからない。しかし、やるよりなかった。

「……簡単に倒せるものとは思いませんが、倒す以外に私達の道は切り開けないでしょう。やるしかありません」

 リノアはそう言った。その言葉は力強く、勇ましいように感じた。

「そうです……簡単に倒せるとも思えません。その前にLVを上げてから挑む必要があるでしょう」

「LV?」

「ええ……LVです。ここより東にいった塔に、LVを上げる事ができるクリスタルがあるそうです。その塔にあるクリスタルにより、皆様のLVがあがり、スキルを強化する事ができるのです」

「俺の【建築(ビルド)】スキルが強化されるのか……」

「私の【大賢者】のスキルも強化されるのですか……」

「そうなるでしょう。そのクリスタルをこの家に備えれば、必ずやあなた達の力は強化されます。そして、その結果として、ドラゴン達の討伐も可能になると私は考えます」

「だったら決定だ! とりあえずは東の塔へ向かおう! そこでLVを上げるクリスタルを入手するんだ!」

「ええ! 強くなって、それで竜退治に出かければいいんです!」

「当面の方針が決まりましたね」

 リディアは笑顔を浮かべる。こうして俺達は一晩眠り、翌日、南の塔へ向かう事になったのだ。

 
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