外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた

つくも/九十九弐式

文字の大きさ
22 / 36

第22話 北の山でアダマンタイトドラゴンと闘う

しおりを挟む
 俺達は長い時間をかけて、北の山までたどり着いた。何せ逆方向に位置する山なのだ。

 たどり着いた時、俺達に襲い掛かってきたのは猛烈な吹雪であった。北の山は先ほどまでいた南の火山とは正反対であった。北の山は雪山だったのである。

「南の火山は暑くて嫌だけど……こうも寒いのも嫌だな」

 俺は身体を震わせる。少しでも体温を上げようと、自分で自分の身体を擦りまくった。

「大丈夫ですか……今、温めて差し上げます」

 リノアが駆け寄ってきた。

「え? 温めるってどういう……」

温めるという言葉に一瞬、期待してしまった。リノアは一体、どんな温め方を俺にしてくるつもりなのか。まさか、温かい手で俺の凍える手を握って温めてくれるとでも言うのであろうか……。だが、現実は予想とは大きく異なっていた。

「炎魔法(フレイム)」

 リノアは俺の身体を炎魔法(フレイム)で直接炙ってきたのだ。

「あっ、あぢぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 俺は絶叫した。雪山に響き渡る程、大きな声で。炙るのはいいが、火加減が強すぎたのだ。

「も、申し訳ございません、グラン様! 火加減が強すぎましたか!」

 リノアは慌てて俺の火傷を回復魔法(ヒーリング)で癒す。

「……全く、気を付けてくれよ。MPだって無駄に使いすぎるとなくなってしまうぞ。魔法を使えるリソースは有限なんだ」

「わ、わかっております……。次からは慎重に使います」

「それで、目的のドラゴンはどこにいるんだ?」

 俺はリディアに聞いた。

「この辺りに生息しているとは聞いていますが……」

 ――と、その時であった。

 ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン!
 ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン!
 ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン!

 巨大な足音が聞こえてきた。

 吹雪などもビクともせずに闊歩する、巨大なドラゴンの姿が見えた。ただ、普通のドラゴンではない。前回闘った火竜(レッドドラゴン)の方が一般的なドラゴンという印象だった。
 対するこのドラゴンは全身が金属で包まれており、輝かしい光を放っていた。

 火竜とは異なり、鱗がアダマンタイトで出来ているからだろう。

「あれが、私達の標的(ターゲット)のアダマンタイトドラゴンです」

 リディアは指を指す。

「そうか、あいつを倒せばいいんだな」

 アダマンタイトドラゴンは歩みを止めた。どうやら俺達の事を認識したようだ。

 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 アダマンタイトドラゴンの叫び声が響き渡る。この北の雪山の全体まで響き渡りそうな、大きな叫び声であった。

「ううっ!」

 鼓膜が痛い。鼓膜が割れてしまいそうだ。アダマンタイトドラゴンは火竜(レッドドラゴン)と異なり、息吹(ブレス)攻撃の類はしてこないようだった。猛然と突っ込んでくる。己の身ひとつで闘う、まるで格闘家のようなドラゴンであった。

「上級火炎魔法(ハイフレイム)!」

 リノアは火炎魔法(フレイム)の上級版である、上級火炎魔法(ハイフレイム)を放った。火炎魔法(フレイム)よりも凄まじい、紅蓮の炎がアダマンタイトドラゴンを襲う。

 だが、アダマンタイトドラゴンの鱗は平然とその攻撃に耐えきった。

「なっ!?」

 リノアは面を食らう。アダマンタイトドラゴンはお返しとばかりに、その硬質な尻尾で攻撃をしてくる。テイルアタックだ。猛烈な勢いで尻尾が飛んでくるのだ。

「避けろ! リノア!」

 俺はリノアを押し倒す。リノアは硬直して動けないようだった。

 ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

幸い、テイルアタックは空振りをしたが、凄まじい衝撃音が発生し、粉雪が舞い散るのであった。
 間違いない……食らったら大ダメージだ。即死しかねない。

「……私の魔法攻撃が効かないなんて、打つ手がないじゃないですか……」

 リノアは嘆いた。

「そんなことはない! リノア! 俺達が闘った岩男(ロックマン)を覚えているだろう!? あいつと同じ要領だ。硬いのは結局表面だけなんだ。中身は柔らかいんだ。だから、外殻を何とかできれば、手の打ちようはあるんだよ!」

「そ、そうですか……で、でもどうやってあんな硬い、アダマンタイトの外殻を打ち破るというんですか……」

「リノアがスキルを進化させたように、俺も進化できたんだ……だからきっと、今の俺の『ビルドハンマー』ならあいつの外殻にヒビを入れる事くらい、できるはずだ」

 俺は立ち上がり、【建築(ビルド)】スキルを発動させる。作り出したのは勿論、『ビルドハンマー』だ。木製の時はヒビすら入れられなかっただろうが、ミスリル製へと進化した今の『ビルドハンマー』なら、アダマンタイトドラゴンの外殻にヒビを入れる事くらい、できるはずだ。

「いくぞ! アダマンタイトドラゴン!」

 俺は『ビルドハンマー』を構え、猛然とアダマンタイトドラゴンに襲い掛かった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 アダマンタイトドラゴンは尻尾を使って迎撃してくる。先ほど見せたテイルアタックだ。

 だが、俺は既に読めていた。俺は天高く跳び、その攻撃を避けたのだ。

「くらえっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 そして体重を乗せ、思いっきり、アダマンタイトドラゴンの脳天に『ビルドハンマー』をぶちかました。

 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 良いのが入ったからか、アダマンタイトドラゴンは悲鳴を上げて、崩れ落ちた。間違いなく、アダマンタイトドラゴンの額にヒビを入れる事ができた。そして、隙も作る事ができたのだ。

「今だ! リノア!」

 俺は言い放つ。

「はい、グラン様! グラン様が作ってくださった好機(チャンス)、最大限に生かしてみせますっ!」

 リノアは魔法攻撃を放つ。先ほどと同じ魔法だった。

「上級火炎魔法(ハイ・フレイム)!」

 先ほどと同じように、紅蓮の炎がアダマンタイトドラゴンを襲う。先ほどと同じ攻撃ではあったが、結果は大きく違っていた。アダマンタイトドラゴンが悲鳴をあげたのだ。

 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 長い、断末魔のような悲鳴をアダマンタイトドラゴンは上げた。そして果てるのであった。

「やりました! グラン様……」

「ああ……何とかなった。これもリノアのおかげだよ」
 
 はぁ……はぁ……。俺は息を切らせる。動いたからか、不思議と極寒の山にいるにも関わらず、体温は上がっていた。あまり暑くは感じなかったのだ。

 アダマンタイトドラゴンは煌びやかな光を放ちながら、塵のように消えていった。

 それと代わるようにして、アダマンタイトドラゴンはアイテムをドロップする。

 俺達はアダマンタイトドラゴンからドロップしたアイテムを入手するのであった。
======================================
入手アイテム

アイテム名。アダマンタイトの塊×1。ミスリル、オリハルコンよりも硬質で貴重な金属。その貴重さは伝説級と言ってもいい。市場では非常に高価な値段で取引されている。強力な武器、装備、装飾品の材料として利用される事が多い。

======================================

 俺達はアダマンタイトの塊をアイテムポーチに入れた。

「これで砲台の砲台部分の素材が手に入った……そして砲弾の素材となる火竜(レッドドラゴン)の鱗を手に入れた……これで砲台を作る準備としては万全だ」
 
 俺はそう言った。

「ええ……そうですね」

「とにかく、帰ろうか……ここはあまりに寒い……いつまでもいると凍死してしまいそうだ」

 俺達は目的を達成した喜びも束の間にして、北の辺境にある自分達の家に帰っていくのであった。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...