外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた

つくも/九十九弐式

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第27話  義弟ヘイトとの思わぬ再会2

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 朝が来た。日の光が眩しかった。その時の俺はまさか、まもなく魔王軍が侵攻してくる事など思ってもみなかった。

「はぁ……起きた。今日も一日頑張ろうか」

「はい……そうですね」

「ええ! 今日も一日頑張りましょう!」

 朝、三人で起床する。こうしていつもと変わらない一日が始まると思った。

「今日はどうしましょうか?」

 リノアが聞いた。

「水の貯蔵量が減ってきたし……皆で泉に行って、水汲みでもしてこようか」

「そうですね!」

「そうしましょう!」

 こうして俺達は泉へと水汲みに向かったのである。そこで俺が再び、思いもせぬ再会を果たすとは夢にも思っていない事であった。

 ◇

「ふんふふふーん♪」

 リノアは鼻歌を鳴らす。

「随分、機嫌が良いな、リノア」

「ええ……だって、お風呂に入れるようになったんですから。生活環境が大幅に改善されました。これは大きな進歩です」

「そうだなぁ……風呂に入れるようになったのは大きいなぁ」

 今までの事を振り返ると、生きていくのでやっとだった。雨露凌げる住居すらなかったのです。そして食糧も確保できなかった。飲み水さえも。そういった基礎的な生活環境が整ったから、風呂に入るといった衛生環境も整えていく余裕ができたというわけだ。

 生活の土台が出来て、多少なり余裕が持てるようになってきた。これは実に好ましい事だし、良い事である。

 外堀を作り、敵から身を守る手段を持ち、そして今度は大砲まで得る事ができた。大砲の威力は強力であり、もし魔王軍が攻め込んで来たとしても十二分に迎撃する事ができるだろう。

 これにより俺達の生活は前よりも大分安定してきたし、心の余裕を持てるようになってきた。

 全てが順調に回り始めているような、そんな感覚を持てるようになってきた。

 ――と、その矢先であった。

「……誰かいます、グラン様」

 リノアが警戒を露わにした。

「もしかしたら、魔王軍の斥候(スパイ)かもしれません」

 リディアはそう言った。二人とも、警戒心を露わにしている。無理もない。ここは北の辺境という危険な大地でもあるし、魔王軍とはつい先日、矛先を交えたばかりだ。

「……いや、どうやら違うようだ」

 俺は気づく。その人物は魔王軍の斥候(スパイ)などではない……だが、だからと言って、とても味方とも思えないような人物であった。

 ――その人物とは何を隠そう。俺の義弟であるヘイトだったのである。

「へっ……なんだ。ヘボ兄貴。てめー、生きてやがったのか? 全く、しぶとい野郎だぜ」

 ヘイトはいつも通り、俺を見下し、馬鹿にしたような台詞を吐きつけてきた。

「あ、あなたは……」

「ど、どちら様ですか!?」

 リノアは身構える。リノアは会った事があるからだ。あの時、人間の国であるアークライトに行った時に、リノアはヘイトと顔を合わせている。勿論、その時の印象は最悪ではあるが……。

「……ヘイトって言って、俺の義弟(おとうと)だ」

「義弟(おとうと)さんですか……」

「兄弟って言っても……とても友好的な関係じゃないけどな。何しに、こんなところに来ているんだ? ヘイト。あの時の決着をつけに、ここまで来たのか?」

 俺は【建築(ビルド)】スキルを発動し、『ビルドハンマー』を手にとった。以前の俺の『ビルドハンマー』は木製だった。だが、今はスキルが進化し、ミスリル製になっている。今の俺なら、前よりもある程度やれるはずだ。

「けっ……てめぇみてぇな雑魚追っかけ回す程、俺も暇じゃねぇんだよ。今日は別件で来たんだ。別件で。俺様にはもっと重要な使命って奴があるからな。ロズベルグ家の世継ぎとしての使命が……てめーみてーな追い出された無能とは違って、お気楽な気持ちじゃいられねぇんだよ」

「……俺を追いまわしに来たわけじゃないだと? だったら何をしに、この北の辺境まで来たって言うんだ。こんな危険で不毛な大地に、わざわざ……」

「親父に命令されてな……これから魔王軍が俺達の国——アークライトに侵略してくるって情報を掴んだのさ。それで世継ぎの俺が侵略を未然に防ぐように、言いつけられたんだよ」

「ま、魔王軍!?」

 俺は驚いた。だが、よく考えれば驚く程の事でもない事に気づく。リノアのエルフの国……そして、リディアのドワーフの国は攻め滅ぼされた。攻め落とす対象が減ってくれば、必然的に対象は狭まり、人間の国——アークライトに攻め入ってくるという可能性が上がってくる。

 現実として、魔王軍はアークライトに攻め入ってくる段階に来たというだけだ。

「……だ、大丈夫なのか!? ヘイト。魔王軍って事は大量に数がいるんだぞ。それなのに、お前は一人きりじゃないか」

「へっ……群れを成すのは弱い奴だけだ。俺様のような、最強の剣士にとっては、中途半端な味方なんてのは邪魔なだけなんだよ。魔王軍程度……俺様一人でお釣りがくらぁ」

 これから魔王軍と対峙するというのに、ヘイトは顔色一つ変えなかった。それだけの絶対的な自信があるという事だろう。

「……そうか。だといいけどな」

「おいでなさったようだぜ! 馬鹿兄貴! それからエルフ女とドワーフ女! 隅っこの方で震えて待ってやがれ! そしてこのヘイト様の雄姿を! 伝説をその目に刻みこむんだ」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


 大量の魔王軍が進撃してくる。無数の足音が地響きのように響き渡ってきた。視認できるようになってきた。間違いない。大量の魔王軍の姿がそこにはあった。
 恐ろしい光景を目の前にしても、ヘイトの余裕の表情は揺るがなかった。

「行くぜ! おらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 ヘイトは背中から、大剣を抜いた。大振りの剣だ。大きい剣は破壊力がある分、重くて扱いづらい。スピードが鈍るのが普通の事だ。だが、ヘイトはその剣をまるで短剣か何かのように、軽々しく扱っていた。あれほどの大剣を装備しているにも関わらず、全くスピードが落ちている様子がない。

 ヘイトは風のような速さで、魔王軍に向かっていくのであった。ヘイトと魔王軍との戦いが始まる。
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