駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

姉妹揃って変人《ヘレス side》③

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「……そうか」

 相槌を打つだけに留め、私は窓の外へ視線を向ける。
と同時に、後ろの壁を軽く叩いた。
すると、馬車が走り出し、この場を離れる。
事前に次の目的地を伝えてあったからか、迷わず突き進んでいった。

 やっと、レイチェルを迎えに行ける。

 離れていたのはたった一日だというのに、妙に長く感じる私は『まだ着かないのか』と思案する。
最後に見たレイチェルの不安そうな表情を思い出すと、気が急いでしまって。
『早く安心させてやりたい』と考える中、ようやく目的地に到着した。
弟の所有する屋敷を前に、私はさっさと馬車を降りる。
クラリス・アスチルベ・フィオーレも、それに続いた。

「レイチェルが、ここに……」

 ギュッと胸元を握り締め、クラリス・アスチルベ・フィオーレは真っ直ぐ前を見据える。
どこか凛とした表情を浮かべる彼女の前で、私は正門の両脇に居る衛兵に視線を向けた。

「ここを開けろ」

 固く閉じられた門を見上げ、私は剣の柄に手を掛ける。
いざという時は強行突破するつもりなので。
『こんなところで足止めを食らう訳には、いかない』と思案し、私は鞘から少しだけ剣身を出す。

「もう一度だけ、言う。ここを開けろ」

 『これが最終通告だ』と強調しつつ、私は衛兵達を睨みつけた。
が、あちらは恐怖のせいか……それとも職務を全うしようとする使命感のせいか、動かない。
まあ、なんにせよこちらのすることは変わらない。

「────押し通る」

 そう言うが早いか、私は鞘から剣を引き抜いた。
と同時に、テンペスタースを発動する。
一秒でも、早くレイチェルの元へ行くために。

「少し眠っていろ」

 腰を抜かして後ずさる衛兵達に雷を落とし、私は目の前の門を切り刻む。

「なんて強さなの……」

 クラリス・アスチルベ・フィオーレは呆然とした様子で立ち尽くし、こちらを凝視した。
ゆらゆらと瞳を揺らす彼女の前で、私は屋敷の敷地内へ足を踏み入れる。

 確か、レイチェルは一階の奥の部屋に居るんだったな。

 事前にロルフから聞いていた情報を思い浮かべ、私は前へ突き進んだ。
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