駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

姉妹揃って変人《ヘレス side》②

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「ねぇ……ウィルのこと、どうするの?」

 見張りの男のことを言っているのか、クラリス・アスチルベ・フィオーレは頻りに彼の方を振り返った。
心配という感情を前面に出す彼女の前で、私は停めてあった馬車へ乗り込む。

「それは当人次第だ。尋問の際、快く情報を提供すれば情状酌量の余地ありとして減刑されるが、そうじゃなければ普通に死刑だろうな」

 『貴族令嬢を誘拐・監禁など、有り得ないから』と説明すると、クラリス・アスチルベ・フィオーレは表情を曇らせた。
複雑な心情を露わにするかのように。
助かる道があると知って安堵はしたが、喜ぶことは出来ないのだろう。
じっと縄の痕を見つめる彼女を前に、私は『いっそ、憎めたら楽だろうに』と考える。
と同時に、クラリス・アスチルベ・フィオーレを向かい側の座席へ置いた。

「それより、貴様────いい加減、敬語を使え。あまりにも馴れ馴れしい。今まではレイチェルの姉妹だから見逃してきたが、そろそろ処すぞ」

 状況が状況ということもあり、敢えて触れなかった部分を指摘し、私は溜め息を漏らす。
放っておいたら、いつまでも友人のような距離感で接しられそうだったので。
『それは御免被る』と本気で嫌がる私を前に、クラリス・アスチルベ・フィオーレは固まった。
いや、呆気に取られたと言った方が正しいか。

「……レイチェルの姉妹だから、ね」

 何か引っ掛かることでもあるのかこちらの言葉を繰り返し、クラリス・アスチルベ・フィオーレはそっと目を伏せた。
かと思えば、フッと表情を和らげる。

「私、貴方のこと誤解していたかもしれない……です。思えば、悪い噂を吹き込んできたのはウィルだったし……ですし」

 取って付けたような敬語を使いつつ、クラリス・アスチルベ・フィオーレは胸の内を明かしてきた。
やはりどこか距離感の近い彼女を前に、私は少しばかり眉を顰める。
が、思ったより不快ではなかった。

「……そうか」
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