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第一章
父の証言②
「貴方達の謝罪を受け入れるわ。だから、死ぬなんて考えちゃダメよ。そもそも、入れ替わりなんて普通は信じないもの」
『直ぐに見破ったヴィンセントが特殊なのよ』と肩を竦め、私は侍女長の手を取る。
「まあ、そう言っても貴方達はきっと納得しないでしょうけど」
何か言いたげな様子の使用人達を見据え、私はふわりと柔らかい表情を浮かべた。
「だから、もし少しでも償いたい気持ちがあるなら仕事を通して我が家に……ううん、私に貢献して。痛い思いや苦しい思いをすることだけが、罰じゃないんだから。無理に自分を追い詰めちゃダメよ」
『自傷や自害なんて論外だからね』と釘を刺し、私は立ち上がる。
侍女長の手を引きながら。
「さあ、立って。今日から、またたくさん働いてもらうわよ」
『やること山積みなんだから』と笑い、私は侍女長を強引に立たせた。
すると、他の者達もおずおずと立ち上がる。
「じゃあ、全員持ち場に戻って。私とアイリスは洋間に行くわ」
パンパンと手を叩いて解散を言い渡し、私はアイリスと共に二階へ上がった。
そして、事前に連絡を受けていたヴィンセントも交えてティータイムを挟む。
正直、恋敵とも言えるアイリスとヴィンセントを引き合わせるのは抵抗があったものの……彼女を野放しにする訳にもいかないため、傍に置いた。
こちらの心配に反して、随分と大人しいこともあって。
きっと、アイリス自身も『これまでの行いは常識外れで、いけないことだった』と自覚しているのだろう。
だから、度重なる事情聴取や退屈な皇城生活にも文句を言わなかった。
以前までの彼女なら、泣いて怒って癇癪を起こしていただろうに。
『我慢を覚え始めたのはいい傾向ね』と好感を抱きつつ、向かい側の席に座るヴィンセントを見つめた。
「それで、調査は上手くいっているの?」
「う~ん……正直に言うと、難航しているかな」
「あら、もしかして黙秘を貫いているとか?」
『追い詰められてヤケを起こしているのか』と思案する私に、ヴィンセントは首を横に振る。
「そうじゃないよ。事情聴取には、素直に応じている。その代わり、『罪を軽くしろ』ってうるさいけどね」
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