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第二章
継母の手紙①
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「それでは、始めます」
緊張した面持ちで便箋を取り出し、アイリスは一つ深呼吸する。
そして、何とか気持ちを落ち着けると、文章に目を通し始めた。
「愛する私の娘へ。この手紙を読んでいるということは、もう私はこの世に居ないのでしょう。非常に残念だけど、仕方のないことだと思っている。私は神殿の暗部の人間として、あらゆる悪事に手を染めてきたから……きっと、これはその報いだわ」
硬い声色で手紙の冒頭部分を読み上げ、アイリスは少しばかり眉尻を下げる。
恐らく、継母が自分の死を割り切っていることに複雑な思いを抱いているのだろう。
娘としては、悪人でも何でも長生きしてほしかっただろうから。
「それでね、私の因果に娘の貴方も巻き込んでしまうかもしれないの。だから、もしもの時のために私の知っている情報を与えておくわ」
ペラッと便箋を捲り、アイリスは二枚目へ視線を向けた。
「まず一つ目、エーデル公爵家の家宝紛失には神殿も噛んでいるわ。まあ、正確にはそのお零れに与ったのだけど。実は────」
家宝の発見に至った経緯や継母の過去を語り、アイリスは顔色を曇らせる。
継母が暗部の人間になった過程を知り、怒りと悲しみでいっぱいなんだと思う。
でも、どうにか感情を抑えて手紙の読み上げに専念した。
「続いて二つ目、ローガン様と例の取り引き相手である神官を引き合わせたのはこの私。彼のスケジュールを神殿側に伝えて、偶然会えるよう取り計らったの。本当はこんなことなんてしたくなかったのだけど、上からの指示で仕方なく……って、これは言い訳ね。忘れてちょうだい」
アイリスは便箋を握る手に力を込め、顔を歪める。
『弁解くらい、したって構わないのに……』とでも言うように。
アメジストの瞳にやるせない心情を浮かべ、俯いた。
かと思えば、大きく息を吐いて顔を上げる。
「最後、三つ目。肝心の取り引き内容についてだけど────第二皇子を支持することが、条件だったみたい。要するに皇位継承権絡みね」
緊張した面持ちで便箋を取り出し、アイリスは一つ深呼吸する。
そして、何とか気持ちを落ち着けると、文章に目を通し始めた。
「愛する私の娘へ。この手紙を読んでいるということは、もう私はこの世に居ないのでしょう。非常に残念だけど、仕方のないことだと思っている。私は神殿の暗部の人間として、あらゆる悪事に手を染めてきたから……きっと、これはその報いだわ」
硬い声色で手紙の冒頭部分を読み上げ、アイリスは少しばかり眉尻を下げる。
恐らく、継母が自分の死を割り切っていることに複雑な思いを抱いているのだろう。
娘としては、悪人でも何でも長生きしてほしかっただろうから。
「それでね、私の因果に娘の貴方も巻き込んでしまうかもしれないの。だから、もしもの時のために私の知っている情報を与えておくわ」
ペラッと便箋を捲り、アイリスは二枚目へ視線を向けた。
「まず一つ目、エーデル公爵家の家宝紛失には神殿も噛んでいるわ。まあ、正確にはそのお零れに与ったのだけど。実は────」
家宝の発見に至った経緯や継母の過去を語り、アイリスは顔色を曇らせる。
継母が暗部の人間になった過程を知り、怒りと悲しみでいっぱいなんだと思う。
でも、どうにか感情を抑えて手紙の読み上げに専念した。
「続いて二つ目、ローガン様と例の取り引き相手である神官を引き合わせたのはこの私。彼のスケジュールを神殿側に伝えて、偶然会えるよう取り計らったの。本当はこんなことなんてしたくなかったのだけど、上からの指示で仕方なく……って、これは言い訳ね。忘れてちょうだい」
アイリスは便箋を握る手に力を込め、顔を歪める。
『弁解くらい、したって構わないのに……』とでも言うように。
アメジストの瞳にやるせない心情を浮かべ、俯いた。
かと思えば、大きく息を吐いて顔を上げる。
「最後、三つ目。肝心の取り引き内容についてだけど────第二皇子を支持することが、条件だったみたい。要するに皇位継承権絡みね」
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