私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

文字の大きさ
153 / 208
第二章

追っ手《マーティン side》②

しおりを挟む
「そんな気はさらさらねぇーよ────母上、先に行ってください。私はこいつらを蹴散らしてから、後を追います」

 そう言うが早いか、私は剣を抜いてルパートへ斬り掛かった。
正直この人数差は厳しいが、魔法も併用すれば何とかなると思って。

「ウィンドラフ」

 私は魔法で葉っぱをすくい上げ、あちらの視界を悪くする。
と同時に、母の方を振り返った。

「さあ、早く……!」

 『時間がありません!』と急かす私に、母はハッとしたように目を見開く。

「必ず……必ず無事に合流するのよ、マーティン」

 『約束よ』と念を押し、母は森へ向かって走り出した。
すると、こちらの部下もそれに続く。

 頼んだぞ、お前ら。死ぬ気で、母上を守れ。

 『傷一つでも付いていたら、許さない』と思いつつ、私はルパートへ絶え間なく攻撃を行った。
────と、ここで花吹雪ならぬ葉吹雪からエレン達が姿を現す。

「参ったね。髪も服もグチャグチャだよ。それにメリッサ皇妃殿下の突破を許してしまったようだし……早く追わないと」

 『絶対に取り逃がす訳には、いかない』と奮起し、エレンは前髪を掻き上げた。
かと思えば、ルパートの方へ目を向ける。

「ここは任せても大丈夫かい?」

「ええ、問題ありません。兄上達はメリッサ皇妃殿下の方をお願いします」

 ルパートは何食わぬ顔でこちらの剣撃を捌きながら、先に行くよう促す。
『騎士も全員連れて行ってください』と告げる彼を前に、エレンはゆるりと口角を上げた。

「分かった。じゃあ、ここは頼むよ」

 『行こう』と騎士達に声を掛け、エレンは私の横を通り過ぎようとする。

 そう簡単に通して堪るか……!

 視界の端に映る金髪を前に、私は大きく息を吸い込んだ。

「ウィンド……」

 魔法発動のため精霊語を口にしようとした瞬間、ルパートが私の鳩尾を蹴り上げる。
なので、最後まで詠唱出来ず……代わりに呻き声を上げた。

 クソッ……!このままじゃ、母上のところにあいつらが……!

 森の中へ入ってしまったエレン達を見つめ、私は再び口を開く。
今ならまだ射程圏内だ、と思い立って。
でも────

「大人しくしていてください」

 ────ルパートに口を切り落とされそうになり、回避の方に意識を割いた。
そのため、詠唱出来ず……私は内心舌打ちする。
『ルパートのやつ、いちいち邪魔立てを……!』と憤りながら剣を持ち直し、斬り込んだ。

 こうなったら、こいつを先に倒してエレン達を追うしかない……!

 恐らくもうこちらの射程圏内から出てしまったことを悟り、私はルパートとの戦いに集中する。
ここで無理にエレン達を追撃しようとすると、余計手間や時間が掛かるため。

「『大人しくしていろ』は、こっちのセリフだ!」
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

処理中です...