私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

メリッサ皇妃殿下の追跡《エレン side》②

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「さて────これで味方は誰も居なくなりましたね、メリッサ皇妃殿下」

 彼女の正面に立って、私はクスリと笑みを漏らした。

「まあ、当然の結果ですよね。貴方は誰も信じず、愛さず、尊重しなかったのだから。人の上に立つことしか覚えなかった末路が、これですよ」

 言葉の端々に悪意を滲ませ、私は侮蔑の籠った目でメリッサ皇妃殿下を見下ろす。
と同時に、スッと表情を打ち消した。

「実に滑稽ですね」

 吐き捨てるようにしてそう告げると、メリッサ皇妃殿下は反射的に顔を上げる。
真っ赤な瞳に、未だ嘗てないほど強い感情を宿しながら。

「私を……私を見下ろすんじゃないわよ!」

 怒ったような……嘆くような声色で叫び、メリッサ皇妃殿下はこちらへ手を伸ばした。
その瞬間、騎士達が間に割って入り、彼女を取り押さえる。
だが、火事場の馬鹿力とでも言うべきかメリッサ皇妃殿下は騎士達を押しのけてこちらに向かってきた。

 おっと、これでは生け捕りはちょっと難しいかな。
きちんと連れて帰って、罰を与えたかったんだけど……仕方ないね。

 おもむろに剣を引き抜き、私はメリッサ皇妃殿下の胸に突き立てる。
途端に目を剥いて立ち尽くす彼女の前で、私は剣から手を離した。
すると、メリッサ皇妃殿下は事切れた人形のように倒れ込む。

「っ……ぐ……ぁ……」

 致命傷を負っても尚こちらへ向かってこようとするメリッサ皇妃殿下は、必死に手足を動かした。
が、立ち上がることなんて出来る筈もなく……ただひたすら地を這う。
その何とも無様な姿に、私はつい笑みを漏らした。

「こ、の……笑うんじゃ……ない、わよ……!」

 メリッサ皇妃殿下は半ば喘ぐようにして言葉を紡ぎ、歯を食いしばる。
と同時に、悔し涙を流した。

「あ、なた達は……いつも、そう……わた、しのことを……嘲笑って……馬鹿に、して……見下し、て……だから……誰にも見下みさ、げることの出来ないような……存在に……なろう、と……思った、のに……」

 ────出来なかった。

 とは言わずに、メリッサ皇妃殿下は顔を歪める。
多分、失敗を認めるのが嫌だったんだと思う。
何とも往生際の悪い彼女を前に、私は深い溜め息を零した。

「嘲笑って馬鹿にして見下す、ね……貴方の心の底にある本音は、それですか」
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