192 / 208
第二章
プロポーズ②
しおりを挟む
「私は強くて、真っ直ぐなルパート殿下のことを────以前より、お慕いしておりましたので」
『最初はただ憧れているだけだったんですが』と明かすアイリスに、ルパート殿下はもちろん……私も衝撃を受ける。
そんな話、初耳だったので。
『いや、もっと早く言ってよ……』と項垂れる私を他所に、ヴィンセントがパンッと手を叩いた。
「じゃあ、二人は両想いということだね。おめでとう」
『僕は二人の仲を祝福するよ』と告げ、ヴィンセントはふとこちらを見る。
と同時に、少しばかり表情を和らげた。
「これで気兼ねなく、僕達も結婚話を進められるね」
「えっ?あっ、うん。そうね」
ルパート殿下とアイリスの恋話に気を取られ、自分の結婚などすっかり忘れていた私は内心苦笑を漏らす。
『そういえば、事の発端は私の輿入れ関連だったな』と思い返して。
「えっと……とりあえず、大団円でいいのかしら?」
「ええ、お姉様と離れ離れになるのは辛いけど、ルパート殿下も一緒なら多分大丈夫だと思うから」
アイリスは自身の胸元に手を添え、どことなく柔らかい表情を浮かべた。
きっと、ルパート殿下という心強い味方を得られて安心したのだろう。
まだ家族の死を乗り越えられた訳じゃないと思うが、少なからず心に余裕を持てたようで良かった。
『家を出るにあたっての不安が、一つ減った』と思案する中、アイリスはチラリとこちらを見る。
「さっきは無茶を言ってごめんなさい、お姉様」
『行かないで』と引き止めたことを詫びるアイリスに、私は小さく首を横に振った。
「いいのよ、謝らないで。私も逆の立場なら、同じことをしたかもしれないし……何より、アイリスの気持ちは凄く分かるから」
『いきなり一人になるのは怖いわよね』と理解を示し、私は優しく頭を撫でる。
────と、ここでヴィンセントが足を組んだ。
「さて、話もまとまったことだし、今後の方針を立てていこうか」
「「「方針?」」」
反射的に聞き返す私達は、顔を見合わせて首を傾げる。
『最初はただ憧れているだけだったんですが』と明かすアイリスに、ルパート殿下はもちろん……私も衝撃を受ける。
そんな話、初耳だったので。
『いや、もっと早く言ってよ……』と項垂れる私を他所に、ヴィンセントがパンッと手を叩いた。
「じゃあ、二人は両想いということだね。おめでとう」
『僕は二人の仲を祝福するよ』と告げ、ヴィンセントはふとこちらを見る。
と同時に、少しばかり表情を和らげた。
「これで気兼ねなく、僕達も結婚話を進められるね」
「えっ?あっ、うん。そうね」
ルパート殿下とアイリスの恋話に気を取られ、自分の結婚などすっかり忘れていた私は内心苦笑を漏らす。
『そういえば、事の発端は私の輿入れ関連だったな』と思い返して。
「えっと……とりあえず、大団円でいいのかしら?」
「ええ、お姉様と離れ離れになるのは辛いけど、ルパート殿下も一緒なら多分大丈夫だと思うから」
アイリスは自身の胸元に手を添え、どことなく柔らかい表情を浮かべた。
きっと、ルパート殿下という心強い味方を得られて安心したのだろう。
まだ家族の死を乗り越えられた訳じゃないと思うが、少なからず心に余裕を持てたようで良かった。
『家を出るにあたっての不安が、一つ減った』と思案する中、アイリスはチラリとこちらを見る。
「さっきは無茶を言ってごめんなさい、お姉様」
『行かないで』と引き止めたことを詫びるアイリスに、私は小さく首を横に振った。
「いいのよ、謝らないで。私も逆の立場なら、同じことをしたかもしれないし……何より、アイリスの気持ちは凄く分かるから」
『いきなり一人になるのは怖いわよね』と理解を示し、私は優しく頭を撫でる。
────と、ここでヴィンセントが足を組んだ。
「さて、話もまとまったことだし、今後の方針を立てていこうか」
「「「方針?」」」
反射的に聞き返す私達は、顔を見合わせて首を傾げる。
95
あなたにおすすめの小説
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
妹ばかり見ている婚約者はもういりません
水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。
自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。
そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。
さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。
◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐
◆小説家になろうにも投稿しています
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる