141 / 171
第二章
辺境②
しおりを挟む
「どうかしたの?イージス卿」
気になって質問を投げ掛けると、彼は不意にこちらを見た。
「いや、大したことではないんですが、その辺から妙な気配……というか、力を感じて」
ちょうど父と私の真下を指さし、イージス卿は『気のせいかもしれませんけど』と零す。
でも、彼の勘の良さはこの場に居る全員が知っているため、弾かれたように顔を上げた。
「イージス、掘ってみろ」
素早くその場から避ける父に対し、イージス卿はコクリと頷く。
「了解です」
膝を折って地面へ手を伸ばし、イージス卿は『この辺かな?』と穴を掘っていった。
すると、十センチほど深く掘ったところで────半透明の壁にぶつかる。
「あっ、多分これです。俺が感じていた力の正体は」
「掘り起こせ」
「はい」
いそいそと土を掻き分け、イージス卿はちょっとしか見えなかった半透明の壁……結界を引っ張り出した。
拳サイズのソレを手のひらに載せ、彼はこちらを振り返る。
「なんか、中に指輪が入っていますね」
「貸してみろ」
父はイージス卿から球体型の結界を受け取ると、まさかの片手で握り潰した。
唖然とする周囲を他所に指輪を確認し、スッと目を細める。
「これは恐らく────収納型魔道具の一種だな。まあ、中に保管出来るのはせいぜい机の引き出し一つ分くらいだろうが」
『そこまで容量は多くない』と補足しつつ、父は指輪を人差し指に嵌めた。
かと思えば、じわじわ魔力を込めていく。
「……これだけでは、開かないか」
「何か特定の所作をしないといけないみたいだね」
横から父の手元を覗き込み、グランツ殿下は『宝石の部分を押すとか?』と呟く。
そして、何の気なしにその方法を試すと────指輪の上に白い靄のようなものが現れた。
丸のような形のソレを前に、グランツ殿下は
「どうやら、正解だったようだね」
と、笑う。
と同時に、その白い靄へ手を突っ込もうとした。
が、父に腕を掴まれる。
「やめてください。何か罠でも仕掛けてあったら、どうするんですか」
気になって質問を投げ掛けると、彼は不意にこちらを見た。
「いや、大したことではないんですが、その辺から妙な気配……というか、力を感じて」
ちょうど父と私の真下を指さし、イージス卿は『気のせいかもしれませんけど』と零す。
でも、彼の勘の良さはこの場に居る全員が知っているため、弾かれたように顔を上げた。
「イージス、掘ってみろ」
素早くその場から避ける父に対し、イージス卿はコクリと頷く。
「了解です」
膝を折って地面へ手を伸ばし、イージス卿は『この辺かな?』と穴を掘っていった。
すると、十センチほど深く掘ったところで────半透明の壁にぶつかる。
「あっ、多分これです。俺が感じていた力の正体は」
「掘り起こせ」
「はい」
いそいそと土を掻き分け、イージス卿はちょっとしか見えなかった半透明の壁……結界を引っ張り出した。
拳サイズのソレを手のひらに載せ、彼はこちらを振り返る。
「なんか、中に指輪が入っていますね」
「貸してみろ」
父はイージス卿から球体型の結界を受け取ると、まさかの片手で握り潰した。
唖然とする周囲を他所に指輪を確認し、スッと目を細める。
「これは恐らく────収納型魔道具の一種だな。まあ、中に保管出来るのはせいぜい机の引き出し一つ分くらいだろうが」
『そこまで容量は多くない』と補足しつつ、父は指輪を人差し指に嵌めた。
かと思えば、じわじわ魔力を込めていく。
「……これだけでは、開かないか」
「何か特定の所作をしないといけないみたいだね」
横から父の手元を覗き込み、グランツ殿下は『宝石の部分を押すとか?』と呟く。
そして、何の気なしにその方法を試すと────指輪の上に白い靄のようなものが現れた。
丸のような形のソレを前に、グランツ殿下は
「どうやら、正解だったようだね」
と、笑う。
と同時に、その白い靄へ手を突っ込もうとした。
が、父に腕を掴まれる。
「やめてください。何か罠でも仕掛けてあったら、どうするんですか」
応援ありがとうございます!
458
お気に入りに追加
3,620
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる