10 / 23
本編
哀れな第二王子
しおりを挟む
ジェフリー王子の寛大すぎる処置に感激する中、ニコラスがどこか気まずそうな表情を浮かべる。
『どうしたの?』と問う代わりに、じっと目を見つめ返せば、彼は意を決したように口を開いた。
「実はね─────ソフィア嬢はジェフリー王子に隠れて、様々な男性と会っているらしい」
「えっ……?」
告げられた衝撃の事実に、私は目を見開いて固まった。
許容範囲を超える妹の愚行に、目眩すら覚える。
ジェフリー王子と婚約してから、男遊びがなくなったかと思えば……隠れて、コソコソ密会していたのね。それも、複数人の男性と……。
それは婚約者への立派な裏切りだし、決して許されない行為だ。
いくら常識のない妹と言えど、婚約者以外の異性と親密になるのはダメだと理解しているだろう。
それなのに、あの子はっ……!!
ジェフリー王子の気遣いや優しさを理解しているからこそ、怒りが湧いてくる。
ソフィアの不誠実さがどうしても許せなかった。
「幸い、夜の行為に及んだことは一度もないみたいだけど、一緒に出掛けたり、食事をすることはあるみたい。それだけなら、まだ浮気と断定は出来ないけど……距離感がおかしくてね。腕を組んで歩いたり、街中で抱き合ったりと、とにかくスキンシップが激しいんだ」
「はぁ……我が妹ながら、恥ずかしいわ。やっていることが完全に娼婦と同じじゃない……」
ニコラスから調査報告を聞き、私は額に手を当てて、頭を振った。
妹の愚かさに怒りよりも呆れが勝ってしまい、怒鳴る気にもなれない。
誠実あろうとするジェフリー王子があまりにも不憫で、王国一の美女と謳われる妹が穢れた存在に思えてきた。
「……このことはジェフリー王子に伝えるつもりなの?」
「ああ、そのつもりだよ。ソフィア嬢への報復は浮気のリークで、手を打とうと思っているからね。何より、彼女に騙されているジェフリー王子が可哀想だろう?」
言外に『ソフィア嬢への処罰はジェフリー王子に任せる』と言い切ったニコラスは僅かに口角をあげた。
サファイアの瞳は楽しげに細められており、とてもじゃないが誰かを哀れんでいるようには見えない。
でも、私は敢えて指摘しなかった。
ニコラスから時々出る不穏なオーラも、何かを企む悪い表情も見慣れているから。
「分かったわ。とりあえず、ソフィアの件はニコラスに任せる。私は出産に備えることにするわ」
そう言って、大きく膨らんだお腹を撫でれば、銀髪碧眼の美青年は柔らかく微笑んだ。
「ああ、そうしておくれ。面倒なことは全部僕に任せて、ジュリアは出産のことだけ考えてくれればいい。でも、無理はしちゃダメだよ。僕にとって、重要なのは君だけだから」
「ふふっ。分かってるわ。ありがとう、ニコラス」
何度も何度も額にキスを落とすニコラスに、笑いながら頷いた。
すると、彼は『約束だからね!』と念を押しながら、私に頬擦りする。
最近、更に過保護さが増したニコラスに苦笑しつつも、穏やかな時間に身を委ねた。
『どうしたの?』と問う代わりに、じっと目を見つめ返せば、彼は意を決したように口を開いた。
「実はね─────ソフィア嬢はジェフリー王子に隠れて、様々な男性と会っているらしい」
「えっ……?」
告げられた衝撃の事実に、私は目を見開いて固まった。
許容範囲を超える妹の愚行に、目眩すら覚える。
ジェフリー王子と婚約してから、男遊びがなくなったかと思えば……隠れて、コソコソ密会していたのね。それも、複数人の男性と……。
それは婚約者への立派な裏切りだし、決して許されない行為だ。
いくら常識のない妹と言えど、婚約者以外の異性と親密になるのはダメだと理解しているだろう。
それなのに、あの子はっ……!!
ジェフリー王子の気遣いや優しさを理解しているからこそ、怒りが湧いてくる。
ソフィアの不誠実さがどうしても許せなかった。
「幸い、夜の行為に及んだことは一度もないみたいだけど、一緒に出掛けたり、食事をすることはあるみたい。それだけなら、まだ浮気と断定は出来ないけど……距離感がおかしくてね。腕を組んで歩いたり、街中で抱き合ったりと、とにかくスキンシップが激しいんだ」
「はぁ……我が妹ながら、恥ずかしいわ。やっていることが完全に娼婦と同じじゃない……」
ニコラスから調査報告を聞き、私は額に手を当てて、頭を振った。
妹の愚かさに怒りよりも呆れが勝ってしまい、怒鳴る気にもなれない。
誠実あろうとするジェフリー王子があまりにも不憫で、王国一の美女と謳われる妹が穢れた存在に思えてきた。
「……このことはジェフリー王子に伝えるつもりなの?」
「ああ、そのつもりだよ。ソフィア嬢への報復は浮気のリークで、手を打とうと思っているからね。何より、彼女に騙されているジェフリー王子が可哀想だろう?」
言外に『ソフィア嬢への処罰はジェフリー王子に任せる』と言い切ったニコラスは僅かに口角をあげた。
サファイアの瞳は楽しげに細められており、とてもじゃないが誰かを哀れんでいるようには見えない。
でも、私は敢えて指摘しなかった。
ニコラスから時々出る不穏なオーラも、何かを企む悪い表情も見慣れているから。
「分かったわ。とりあえず、ソフィアの件はニコラスに任せる。私は出産に備えることにするわ」
そう言って、大きく膨らんだお腹を撫でれば、銀髪碧眼の美青年は柔らかく微笑んだ。
「ああ、そうしておくれ。面倒なことは全部僕に任せて、ジュリアは出産のことだけ考えてくれればいい。でも、無理はしちゃダメだよ。僕にとって、重要なのは君だけだから」
「ふふっ。分かってるわ。ありがとう、ニコラス」
何度も何度も額にキスを落とすニコラスに、笑いながら頷いた。
すると、彼は『約束だからね!』と念を押しながら、私に頬擦りする。
最近、更に過保護さが増したニコラスに苦笑しつつも、穏やかな時間に身を委ねた。
115
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる