愚鈍な妹が氷の貴公子を激怒させた結果、破滅しました〜私の浮気をでっち上げて離婚させようとしたみたいですが、失敗に終わったようです〜

あーもんど

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本編

哀れな第二王子

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 ジェフリー王子の寛大すぎる処置に感激する中、ニコラスがどこか気まずそうな表情を浮かべる。
『どうしたの?』と問う代わりに、じっと目を見つめ返せば、彼は意を決したように口を開いた。

「実はね─────ソフィア嬢はジェフリー王子に隠れて、様々な男性と会っているらしい」

「えっ……?」

 告げられた衝撃の事実に、私は目を見開いて固まった。
許容範囲を超える妹の愚行に、目眩すら覚える。

 ジェフリー王子と婚約してから、男遊びがなくなったかと思えば……隠れて、コソコソ密会していたのね。それも、複数人の男性と……。
それは婚約者への立派な裏切りだし、決して許されない行為だ。
いくら常識のない妹と言えど、婚約者以外の異性と親密になるのはダメだと理解しているだろう。
それなのに、あの子はっ……!!

 ジェフリー王子の気遣いや優しさを理解しているからこそ、怒りが湧いてくる。
ソフィアの不誠実さがどうしても許せなかった。

「幸い、夜の行為に及んだことは一度もないみたいだけど、一緒に出掛けたり、食事をすることはあるみたい。それだけなら、まだ浮気と断定は出来ないけど……距離感がおかしくてね。腕を組んで歩いたり、街中で抱き合ったりと、とにかくスキンシップが激しいんだ」

「はぁ……我が妹ながら、恥ずかしいわ。やっていることが完全に娼婦と同じじゃない……」

 ニコラスから調査報告を聞き、私は額に手を当てて、かぶりを振った。
妹の愚かさに怒りよりも呆れが勝ってしまい、怒鳴る気にもなれない。

 誠実あろうとするジェフリー王子があまりにも不憫で、王国一の美女と謳われる妹が穢れた存在に思えてきた。

「……このことはジェフリー王子に伝えるつもりなの?」

「ああ、そのつもりだよ。ソフィア嬢への報復は浮気のリークで、手を打とうと思っているからね。何より、彼女に騙されているジェフリー王子が可哀想だろう?」

 言外に『ソフィア嬢への処罰はジェフリー王子に任せる』と言い切ったニコラスは僅かに口角をあげた。
サファイアの瞳は楽しげに細められており、とてもじゃないが誰かを哀れんでいるようには見えない。
 でも、私は敢えて指摘しなかった。
ニコラスから時々出る不穏なオーラも、何かを企む悪い表情も見慣れているから。

「分かったわ。とりあえず、ソフィアの件はニコラスに任せる。私は出産に備えることにするわ」

 そう言って、大きく膨らんだお腹を撫でれば、銀髪碧眼の美青年は柔らかく微笑んだ。

「ああ、そうしておくれ。面倒なことは全部僕に任せて、ジュリアは出産のことだけ考えてくれればいい。でも、無理はしちゃダメだよ。僕にとって、重要なのは君だけだから」

「ふふっ。分かってるわ。ありがとう、ニコラス」

 何度も何度も額にキスを落とすニコラスに、笑いながら頷いた。
すると、彼は『約束だからね!』と念を押しながら、私に頬擦りする。
最近、更に過保護さが増したニコラスに苦笑しつつも、穏やかな時間に身を委ねた。
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