愚鈍な妹が氷の貴公子を激怒させた結果、破滅しました〜私の浮気をでっち上げて離婚させようとしたみたいですが、失敗に終わったようです〜

あーもんど

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本編

運命の分かれ道《ソフィア side》

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 アレックス、ジェームズ、リアムの三人と順番にデートし、ようやく気が晴れた私は翌日の早朝に屋敷へ帰還していた。
俗に言う、朝帰りというやつだ。

 ふぅ……ストレス発散のためとはいえ、徹夜でデートはさすがにキツいわね。気分はいいけど、すっかり疲れちゃったわ。
さっさとお風呂に入って、休みましょう。

 欠伸を噛み殺しながら、一階のエントランスホールを通り抜けると、廊下の曲がり角から一人の男性が姿を現した。
彼は王家の直系を意味するホワイトブロンドと様々な色が入り混じったオパールの瞳を持っている。
彫りの深い顔立ちは勇ましく、中性的な顔立ちのニックとはまた違う魅力があった。

 相変わらず、綺麗な顔をしているけど、私は彼のことを好きになれない。
だって、彼が……彼こそが私の全てを狂わせた張本人である────ジェフリー・サミュエル・クライン第二王子だから!

 最悪だわ……朝っぱらから、ジェフと顔を合わせないといけないなんて……。
せっかくストレス発散して来たのに、これじゃあ意味がないじゃない。

、こんな時間までどこに行っていたんだ?なかなか帰ってこないから、侯爵も夫人も……もちろん、俺も心配していたんだぞ」

 私のことを『フィア』と愛称で呼ぶジェフは一睡もしていないのか、目の下に隈を作っていた。
美しいオパールの瞳は私を咎めるように、じっと見つめてくる。
本気で心配していたからこそ、私を責めているのだろう。

 でも、そんなこと……私には心底どうでも良かった。

「……ジェフには関係ないわ。それより、そこを通して」

「関係ない訳ないだろ。俺はフィアの婚約者なんだぞ。帰りが遅くなった理由を言うまで、ここは通さない」

 砕けた口調とは裏腹に、意外と頭が固いジェフは拒絶を露わにする。
融通が利かない彼の態度に、早くも舌打ちしたい気分になったが、グッと堪えた。

「……ロバーツ公爵家に遊びに行ったら、あっという間に時間が過ぎて、帰りが遅くなっただけよ」

 三人の男性とデートに行っていた事実は省き、都合のいい事実だけ口にする。

 嘘は言っていないわ。ロバーツ公爵家に行ったのは本当だもの。
だから、何も問題はないわ。

「そうか。ロバーツ公爵家に……そこへは何しに?」

「ジュリアお姉様に会いに行っただけよ。妹が姉に会いに行くことなんて、何も珍しいことじゃないでしょう?」

 本当はニックとお姉様を別れさせるために会いに行ったんだけど……別にそこまで言う必要はないわよね。
言ったら、絶対に説教してくるし……。

 敢えて言わなかった事実に気づきもしないジェフは素直に私の言葉を信じてくれた。

「そうか。それなら、構わない。でも、遅くなる時はきちんと連絡を入れてくれ。姉妹間の交流まで制限したくはないからな」

「……分かったわ」

 何かあれば、直ぐに制限やルールを設けたがるジェフに、嫌気がさす。
零れそうになる溜め息を必死に噛み殺しながら、彼の隣を通り過ぎた。

 やっぱり、ジェフと婚約したのは間違いだった……。
ジェフは私が思い描いた理想の男性と全然違う。やっぱり、彼と結婚なんて出来ないわ。どうにかして、婚約を解消しないと……。

 自室へと足早に向かう私は気づけなかった────恋焦がれるように私の後ろ姿を見つめるジェフの姿に……。
もし、このときジェフの切実な想いに応えていたら……私がジェフを愛することが出来たなら、破滅の一途を辿ることはなかったかもしれない。
 でも……運命の歯車はもう動き出してしまった。
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