愚鈍な妹が氷の貴公子を激怒させた結果、破滅しました〜私の浮気をでっち上げて離婚させようとしたみたいですが、失敗に終わったようです〜

あーもんど

文字の大きさ
12 / 23
本編

異変

しおりを挟む
 それから、私は愚鈍な妹の存在なんて忘れて、平穏な毎日を送っていた。
出産間近とは思えないほど、体調は安定していて、食欲もある。
ただ、お腹の子が子宮を蹴る度、『嗚呼、私はもうすぐ母親になるんだ』と妙に実感が湧いた。

 そんな穏やかな日々を過ごす私だったが────変化は突然現れた。

「うっ……!!」

 普段通り、ニコラスと一緒にリビングで寛いでいると、不意に猛烈な痛みが私の腹部に襲いかかった。
縫い途中のハンカチを放り投げ、お腹に手を当てて少し屈む。
あまりの痛みに目を白黒させる中、何かがせり上がってくる感覚が走った。

「っ……!!」

「────ジュリア!大丈夫かい!?直ぐに医者を連れ……」

 私の異変に真っ先に気づいたニコラスはそこで言葉を切ると、大きく目を見開いた。
そして、慌てて近くの侍女を呼び寄せる。

「屋敷に待機させていた助産師を早くここへ!それから、清潔なタオルとお湯を!ジュリアが────破水した!」

「は、はい!ただいま!」

 侍女はニコラスの言葉に頷くと、焦ったように駆け出した。
ニコラスはその後ろ姿を見送りながら、私の背中を優しく撫でる。
何も出来ないのが歯痒いと感じているのか、陣痛に耐えている私より、ずっと痛そうな顔をしていた。

「はぁはぁ……私は大丈夫だから、そんな顔しないで……」

 本当は全然大丈夫じゃないが、ニコラスを少しでも安心させるため、強がってみせる。
でも、それは逆効果だったようで、ニコラスはその美しい顔をクシャッと歪めた。

「出産がこんなに辛いものなら、子供なんて作らなければ良かった……!何で僕じゃなくて、ジュリアが苦しまなきゃいけないんだ……!」

「ニコラス、そんなこと言わないで……私は貴方との子を授かれて、とっても幸せなのに……」

「ジュリア……でも、僕は君の苦しむ姿なんて見たくないんだ」

 迷子の子供のように不安そうな表情を浮かべるニコラスに、私は微笑みかけた。
腹部に走る激痛に耐えながら、ニコラスの頬にそっと手を添える。

「大丈夫よ、ニコラス。必ず無事に出産を終えるから。そしたら、この子に素敵な名前をつけてね」

 もう一方の手でお腹を撫でる私はもうすぐ会えるであろう、愛する我が子に思いを馳せた。
すると、開きっぱなしだったリビングの扉から助産師と複数人の侍女が飛び込んでくる。
 ────いよいよ、本格的な出産が始まろうとしていた。



※感想欄で出産について、幾つかご指摘いただいたので修正しました。
ジュリアの出産の場合=陣痛が来る→痛い→あまりの痛みに吐き気を催す(実際に陣痛が凄くて、吐いてしまう妊婦さんもいらっしゃいます)→破水という流れです
私の書き方だと、破水=痛いという認識になってしまうかもしれませんが、そこら辺はご了承ください。
(Web小説ですので、暖かい目で見守っていただけると幸いです)
しおりを挟む
感想 113

あなたにおすすめの小説

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】私の婚約者は妹のおさがりです

葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」 サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。 ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。 そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……? 妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。 「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」 リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。 小説家になろう様でも別名義にて連載しています。 ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

王太子に婚約破棄されていたら「ずるいずるい」という妹が乱入してきました。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 「ずるいですわ、お姉さま!」

処理中です...