Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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C・C・C(カーネイジ・クライシス・クラッシャー)

出陣

 斬り伏せる。
 全て、全て。
 勝つ為に。
 生きる為に。

 疾風の如く走り抜け、通過した瞬間に斬り落とす。敵が人間であろうと魔族であろうと関係ない、全て斬り落とすのみだ。
 飛び散る血飛沫。舞い散る肉片。

 足を滑らせないように、それらに当たらないように避けながら。
 岩だらけの地面を走り抜く。

 見上げれば、赤い雨。
 血の雨、肉の雨、怨嗟の雨。

 だが、そんなものは気にしない。
 弱さは捨てた。過去の自分は捨てた。

 全て、完全に、吹っ切れた。

「……まるで、戦う事が生きる意味かのように」


「全て、全て、俺の前では無意味。
 全て、全て、俺の前に立つものはいない」

 瞬間。
 刃が止まった。



「……案外、呆気なかったな」

「素晴らしいじゃないか、下等生物の癖に」

 ……クラッシャー。
 俺たちの、敵だ。


「どうだ、今なら俺たちの仲間にしてやってもいいぞ? お前は見所がありそうだからなぁ」

「……何だと?」

「俺たちと過ごすのは楽しいぜェ、奪いたきゃ奪い、殺したきゃ殺す。俺たちにとってこれ以上の悦楽があるか?」



 もう既に、自身の刀はヤツの眼前まで近づいており。
 それを視認したクラッシャーは驚いた様子だった。
 だがそこに、怯えの目はなく。

「怖いなあ、人斬り。そんなすぐに、呆気なく今まで殺してきたのかよ?」

「……減らず口を叩くその首を、今すぐ断ち切ってやってもいいんだぞ……っ!」
「やれるもんならなァ?」

 一瞬にして、クラッシャーの右腕に鉄が集まる。



「概念武装神威、起動」

 閃光が走る。

 一瞬にして両断される鉄クズ。
 しかし、その刃は、クラッシャーの腕には届いておらず。

「くたばれえッ!!」

 後ろに3本、直上に1本、鉄の針。
 感覚を研ぎ澄ます。


「背水の陣」

 空気の流れから、その攻撃パターン、スピードを予測。
 ……ならば避けつつ、ヤツに接近するのみ。



「『メタル・ファウンデーション』っ!」

 ……っ?
 何かピリッとして……

 じわじわと滲み出てくるエネルギー反応。
 ……潜伏式……極限まで小さくし、そのエネルギーを一気に放出するつもりか……?

「針地獄だぜェッ! 基礎から全てを崩す!」

 地殻は破られ、無数の金属の針が飛び出す。
 その数、およそ千以上。

 とりあえず浮遊した……はいいが、この後どうする……?


 ヤツの能力は、『金属を操る能力』ってとこ……なんだろうが……
 コックからあらかじめ聞いていたが、ここまで厄介とは……!






「……ハッ」

 ……横…右、左、後ろ……いつのまにか囲まれている……!

 無数の浮遊した金属の針。
 少しでも動けば、その針はこちらに一直線。
 ……なるほど、浮遊法はかえってアウトという訳か……!


 クラッシュ爆発魔術でも使えば……いや、でも接触寸前にどうやって……?

 そもそも針は、神力だか魔力だか知らないが、時空間固定浮遊法にて完全に浮遊している。衝撃で吹き飛ぶとも考えにくい。

 ……まずい、まずい意外とまずい、今世紀最大にまずい気がする。
 だがしかし、やはりこの方法しか思い浮かばない。

「強行突破だ……!」

 針が刃の間合いに入ってこちらに激突するまでの約0.2秒間。
 その時間のみで、その針を両断してみせる。


 確実に。
 目標は1つに絞る。
 その為、他の針に当たる事ないように、決めた針に突進しなければならない。

 それも考慮に入れると、やはり斬れる時間はわずか0.2秒。
 それでも……!

 迫り来る剛鉄。
 死すらも、一瞬横切ったが。




「両断……成功……!」

 眼前にあった針にのみ集中し、そのまま両断。針を構成していた鉄は力無く落下していった。
 ……だが。

「突撃……だーーーっ!!」

 既に飛び出した自身の身体を止める事はできず。
「真上から来るか……!」

 上から……斬り落とす!
 



 しかし、一瞬にして構築された鉄のカーテンによって視界が遮られる。

「ッハア! 鉄ゴミ溜めの中で、惨めに最後を遂げろぉっ!」

「ちくしょう……っ、出てきやがれーーっ!」






********



 一方その頃、白を鉄の球体に閉じ込めたクラッシャー本人は、もはや白に見向きもしていなかった。


 それもそのはず、昔攻め込んだ時とは違い、カーネイジの方が劣勢になっているからだ。


「魔導大隊……あの下等生物共の集まりが……善戦している……?」


 その光景とは、必死に魔導大隊が城壁の上から魔術を放っている姿が。
 ……今になって、まだ城壁すら突破できていないのかと、憤りを見せる。


「……背後部隊はどうした」

 倒れ伏しているが、まだ息があるカーネイジ団員に話しかける。

 背後部隊、その名の通り遠回りして敵を背後から叩く部隊。
 この攻城戦においては必要不可欠な人材だが。

「全滅……魔導大隊に全て……やられました……」

「何だと……何だと、その不始末は!」

「お……おやめください……せめて命だけは……!」

「うるさい、動けないというのなら死ね、役立たずめが……!」

 クラッシャーは左手に集まった鉄塊でその男を押し潰し、トドメを刺す。
 ……が、ここからはやはり。

「俺の出番か……!」

 クラッシャーは地を踏み出し、急ぎ戦渦へと向かう。

「……へへ、廃墟と化した王城に、お前の惨めな墓を建ててやる、人界王ユダレイ……!」
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