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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
戦線離脱の白
一方、その頃。
機神Aを堕とした白たちは、思わぬ展開に困惑しきっていた。
*◇*◇*◇*◇
「……なあ、セン。……機神B、どこ行った……?」
「さあ……僕にもさっぱり———ハッ、ヤンスは……!」
……と。
『俺はちゃんと生きてるでヤンスよ。……報告でヤンスけど、機神Bは大穴方面に逃げていったでヤンス』
無線から聞こえてきたのは、紛れもなくヤンスの声であった。
「よかったあ、ちゃんと生きてた……って大穴方面……?!」
大穴、『鍵』たる者によって開くことのできる、機神らの最終目標———星の中枢へとつながる道。
その方面に、機神の一柱が向かった……?
何の思惑があってだ、『鍵』である白さんは、未だにここにいて。
ならば大穴を開けれはしないはず、しかし何の為に向かったのか。
待ち伏せ……とはいえ、僕たちの最終目標は、ゼウスの殺害、エターナルの不可逆的阻止。
そのためには大穴に向かう必要などないはずで———。
そうだったと。
センたちの目的は、白さんと一緒にゼウスを殺すことじゃない、エターナルの不可逆的阻止だ、と。
「……白さん、話があります」
「お?……なんだセン、言ってみ———」
「白さんはもう、ここからは戦わないでください」
「———は?」
———白は、困惑しきってしまった。
怒り———そんな感情など通り越し、困惑の色に。
********
何を。
何を、何を言っているんだ、センは。
俺が……戦わない?
「ち……ちょっと待ってくれ、何だよ、何でだよ、戦わない———って、お前が判断したのか?」
「そうです。……何でサナさんは、あなたを戦場に送り出したんだろうか———その真意は分かりませんが、白さん、貴方は———戦っちゃいけません」
「な……何でだよ、さっきまでは戦ってただろ……?」
「ええ、あーいうのだったらいいんです。……でも、ここからはおそらく白兵戦。そうなった場合……神技を奪われる可能性があるんです」
「は……え、奪われる??」
「……まず、白さんの神技『ザ・オールマイティ』は、継承型のジルです。
太古の時代より、人の意志と共に受け継がれてきた神技、それが白さんの持つ『鍵』です」
「そ……それは若干……なんとなくだが知ってるんだ、分かるんだ。でも奪われるってなんだよ、そんなことあるわけが———」
「いいえ、白さんの神技は、保有者の心臓を食らう事で継承されます。
……だからこそ、白さんが戦場に出向けば、神技が奪われる可能性が出てくるんです。だから、ここからの戦いは———絶対に行ってはいけません」
戦わないで、だと?
ここまで来て、レイラやカーオだって戦ってて、隊長は———そのために命を投げ出したってのに。
そして、カレンさんの為にも———この現状を変えると決意したはずなのに。
それでも、それでも戦うなと、そういうのか、お前は?
「…………無理だ」
「……」
「無理に……決まってんだろ、かつての仲間が戦ってて、ゴルゴダ機関の———俺の仲間だって戦ってて……
それに、俺は決めたんだ、こんな現状を変えようとしないヤツらを許さないって。……だから、俺は引けない。戦わないなんて選択は、今の俺にはできやしな———」
「………………なら、少し———眠っててください」
なにを———と、声に出そうとした瞬間、その音は全てかき消される。
なにをされたかすらも分からないまま、意識は黒く染まってゆく。
気絶させられた?……この俺が、センに? いくら不意打ちとはいえ、俺…………が…………?
そんなことあっていいはずが、そんなのでたたかうことをあきらめていいはずが———。
********
「……眠りましたか。……ごめんなさい、そこにどんな信念があったか、それは分かりません。……でも、これが1番、賢明な判断だったろうから」
既に眠りについた白の顔を眺めた後、センは1人、後悔しながらも上を見上げる。
「…………人間。……しろ、に、何を……したの」
そこには、既に全武装を解放させた、機神アテナが。
その見下す鋭き視線の重圧は、ただそこにあるだけでその場を揺るがすほどであった。
「……少し眠ってもらいました。……白さんが、死なない為にも」
「———殺しては、いない?」
「僕だって、白さんを殺す為にここに来たわけじゃないですしね」
明らかに一触即発の状況下だったが、戦闘は避けられそうだ。
———もっとも、仮にそうなった場合だと、戦闘にすらもならないだろうが。
「……さて、くいな……僕たちは行こう、サナさんたちが戦ってる———えーと、何ポイントだっけ……」
「ベータ、ポイント……もう、忘れちゃ……めっ……!」
「許してってば、場所は覚えてるんだからいいでしょ?」
「…………その油断が、命取りになる。…………アイの知ってる、戦場ってのは、そういう……モノ、だった」
「そう、かもね。最後の最後まで———諦めはしないし、油断はしない。確実に終わらせよう、僕たちが」
……と、サイドツーに乗ろうとその腰を上げると。
「…………私、は、どうすれば……いい?」
質問をしたのは、機神アテナだった。
……でも、この子は———いいや、ここにて戦ってる以上、ゼウスとの激突も覚悟の上なのだろう。
ただ、やっぱり心配だ。
白さんをここに、1人で置いていくのは、流石に———。
「ならば、アテナさんは……白さんと一緒にいてあげてください、じきに目を覚ますはずですから、その時の面倒を見てあげてください」
用件を伝え終わった後、サイドツーに乗り込み、ジェットパックを起動する。
驚くべきことに、先程の陽動による犠牲者は———ゼロ。
いくら主要メンバー意外陽動とは言え、誰1人として欠けることなく生還したのは実に奇跡と言っても差し支えないだろう。
『出発する。……目標地点は、βポイント。サイドツーのモニターから確認できるだろうけど、場所はそこに明記しておいた。
…………きっと、これが最後の決戦になるはずだ。…………生き延びよう、それが僕たちの目標だ』
********
その飛び立つサイドツー15機を見送りながら、荒廃したビルの屋上に足をつけたアテナは、1人白の身を案ずる。
いつ、白は目覚めるのか、目覚めた後、白は何をするのか。
それはアテナにすらも分からなかったが。
だが、アテナは彼女なりに、どこに行くべきかと、その問いに答えを出す。
———それが、まさかの再会につながるとも知らずに。
機神Aを堕とした白たちは、思わぬ展開に困惑しきっていた。
*◇*◇*◇*◇
「……なあ、セン。……機神B、どこ行った……?」
「さあ……僕にもさっぱり———ハッ、ヤンスは……!」
……と。
『俺はちゃんと生きてるでヤンスよ。……報告でヤンスけど、機神Bは大穴方面に逃げていったでヤンス』
無線から聞こえてきたのは、紛れもなくヤンスの声であった。
「よかったあ、ちゃんと生きてた……って大穴方面……?!」
大穴、『鍵』たる者によって開くことのできる、機神らの最終目標———星の中枢へとつながる道。
その方面に、機神の一柱が向かった……?
何の思惑があってだ、『鍵』である白さんは、未だにここにいて。
ならば大穴を開けれはしないはず、しかし何の為に向かったのか。
待ち伏せ……とはいえ、僕たちの最終目標は、ゼウスの殺害、エターナルの不可逆的阻止。
そのためには大穴に向かう必要などないはずで———。
そうだったと。
センたちの目的は、白さんと一緒にゼウスを殺すことじゃない、エターナルの不可逆的阻止だ、と。
「……白さん、話があります」
「お?……なんだセン、言ってみ———」
「白さんはもう、ここからは戦わないでください」
「———は?」
———白は、困惑しきってしまった。
怒り———そんな感情など通り越し、困惑の色に。
********
何を。
何を、何を言っているんだ、センは。
俺が……戦わない?
「ち……ちょっと待ってくれ、何だよ、何でだよ、戦わない———って、お前が判断したのか?」
「そうです。……何でサナさんは、あなたを戦場に送り出したんだろうか———その真意は分かりませんが、白さん、貴方は———戦っちゃいけません」
「な……何でだよ、さっきまでは戦ってただろ……?」
「ええ、あーいうのだったらいいんです。……でも、ここからはおそらく白兵戦。そうなった場合……神技を奪われる可能性があるんです」
「は……え、奪われる??」
「……まず、白さんの神技『ザ・オールマイティ』は、継承型のジルです。
太古の時代より、人の意志と共に受け継がれてきた神技、それが白さんの持つ『鍵』です」
「そ……それは若干……なんとなくだが知ってるんだ、分かるんだ。でも奪われるってなんだよ、そんなことあるわけが———」
「いいえ、白さんの神技は、保有者の心臓を食らう事で継承されます。
……だからこそ、白さんが戦場に出向けば、神技が奪われる可能性が出てくるんです。だから、ここからの戦いは———絶対に行ってはいけません」
戦わないで、だと?
ここまで来て、レイラやカーオだって戦ってて、隊長は———そのために命を投げ出したってのに。
そして、カレンさんの為にも———この現状を変えると決意したはずなのに。
それでも、それでも戦うなと、そういうのか、お前は?
「…………無理だ」
「……」
「無理に……決まってんだろ、かつての仲間が戦ってて、ゴルゴダ機関の———俺の仲間だって戦ってて……
それに、俺は決めたんだ、こんな現状を変えようとしないヤツらを許さないって。……だから、俺は引けない。戦わないなんて選択は、今の俺にはできやしな———」
「………………なら、少し———眠っててください」
なにを———と、声に出そうとした瞬間、その音は全てかき消される。
なにをされたかすらも分からないまま、意識は黒く染まってゆく。
気絶させられた?……この俺が、センに? いくら不意打ちとはいえ、俺…………が…………?
そんなことあっていいはずが、そんなのでたたかうことをあきらめていいはずが———。
********
「……眠りましたか。……ごめんなさい、そこにどんな信念があったか、それは分かりません。……でも、これが1番、賢明な判断だったろうから」
既に眠りについた白の顔を眺めた後、センは1人、後悔しながらも上を見上げる。
「…………人間。……しろ、に、何を……したの」
そこには、既に全武装を解放させた、機神アテナが。
その見下す鋭き視線の重圧は、ただそこにあるだけでその場を揺るがすほどであった。
「……少し眠ってもらいました。……白さんが、死なない為にも」
「———殺しては、いない?」
「僕だって、白さんを殺す為にここに来たわけじゃないですしね」
明らかに一触即発の状況下だったが、戦闘は避けられそうだ。
———もっとも、仮にそうなった場合だと、戦闘にすらもならないだろうが。
「……さて、くいな……僕たちは行こう、サナさんたちが戦ってる———えーと、何ポイントだっけ……」
「ベータ、ポイント……もう、忘れちゃ……めっ……!」
「許してってば、場所は覚えてるんだからいいでしょ?」
「…………その油断が、命取りになる。…………アイの知ってる、戦場ってのは、そういう……モノ、だった」
「そう、かもね。最後の最後まで———諦めはしないし、油断はしない。確実に終わらせよう、僕たちが」
……と、サイドツーに乗ろうとその腰を上げると。
「…………私、は、どうすれば……いい?」
質問をしたのは、機神アテナだった。
……でも、この子は———いいや、ここにて戦ってる以上、ゼウスとの激突も覚悟の上なのだろう。
ただ、やっぱり心配だ。
白さんをここに、1人で置いていくのは、流石に———。
「ならば、アテナさんは……白さんと一緒にいてあげてください、じきに目を覚ますはずですから、その時の面倒を見てあげてください」
用件を伝え終わった後、サイドツーに乗り込み、ジェットパックを起動する。
驚くべきことに、先程の陽動による犠牲者は———ゼロ。
いくら主要メンバー意外陽動とは言え、誰1人として欠けることなく生還したのは実に奇跡と言っても差し支えないだろう。
『出発する。……目標地点は、βポイント。サイドツーのモニターから確認できるだろうけど、場所はそこに明記しておいた。
…………きっと、これが最後の決戦になるはずだ。…………生き延びよう、それが僕たちの目標だ』
********
その飛び立つサイドツー15機を見送りながら、荒廃したビルの屋上に足をつけたアテナは、1人白の身を案ずる。
いつ、白は目覚めるのか、目覚めた後、白は何をするのか。
それはアテナにすらも分からなかったが。
だが、アテナは彼女なりに、どこに行くべきかと、その問いに答えを出す。
———それが、まさかの再会につながるとも知らずに。
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