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第204死 それぞれの休日❺
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白昼の最中同時多発的に、堺市各エリアへの突如のモンスター達の襲来。
スパホは繋がらない連絡がつかないテレビもつかない、路駐したEV、ハイブリッド車も走れない、電車は止まり交通機関が麻痺している。
電子機器の類を搭載したモノが軒並みイカれてしまっている。
この堺ベース一帯が何者かに妨害電波攻撃や、電子ジャックされたかのように。
DODO本部にも既にモンスターの大群が攻めて来ていた。
本部に侵入しようとする輩には──本部の防衛戦力として新たに開発したヤクトドローンⅡは故障しておらず、搭載されたAIは自動で状況を判断し迎撃に向かった。
ヤクトドローンⅡの編隊は空を飛ぶサンドワーム、その他羽虫たちを駆逐していく。
円い皿を重ねたボディーの下に装備した様々な武装を発射。爆発花火と弾丸が地と空を彩っていく。弾切れになったドローンは引き返し自陣の充電ユニットボックスへと帰還し、カートリッジ式の弾倉を取り替え簡易メンテナンスを完了して再出撃。
パニックの最中でもドローンは至って冷静。しかし未だに上からの指示もなし、機械と違いこのような状況は想定していない彼らに冷静になれというのは無茶であり、状況に流されたDODO職員は外壁を突破して来た地上モンスターの迎撃にあたるが────命を賭してまで……背を見せこの場から逃げる者もいる。逃げれば評価は下がるだろう……評価を得る為に戦う者もいる。が、練度は違えど彼らも探索者の端くれである、モンスター相手に通用すると分かれば──敵陣へと垂れ流すスキルとカードの火力で敵を抑え込んでいく。
交戦状態、四角く大きく黒い建物の外でドンぱちと派手につづいている。
▼
▽
▼DODO本部、事務局長室▼
何か漠然と……様子がおかしい……と、狗雨雷叢雲は黒いスパホを手に取った────つかない。
「ん、何故……おかしいですね」
机上のスパコンを開いた──こちらは生きている。監視カメラモニターをウィンドウに表示──外の様子を確認しようと。
戸の外で悲鳴が聞こえた。
この声は只事では無い……思わず立ち上がった狗雨雷。
訝しむ表情でゆっくり一歩一歩おおきな戸へと。
シックに黒で統一されたこの部屋を──
黒に紛れた天の影はぬるりと逆さに黒い実体を成し、白い制帽の目印へと上から急に這い出て襲って来たシャドウキャット。
大口を開けて、胴体が嘘のように伸び鋭い爪を持つ影の手が忍び伸び獲物のクビへと──
緑の唇にあてた右の人差しと中指をピッと払った。
鋭い風の刃が忍び寄る影を斬り裂き──真っ二つに滅。
身を沈め振り返りながら気配を感じた天の暗殺者に放った一連の動きのイチゲキ。狗雨雷はそのモンスターとしか思えない造形をばっちりとその瞳に映していた。
「暗殺者ではなくモンスター……どういう」
「雨宙姉さん」
頭の整理ができないままに、戸の方を振り返る──青いパーカーに金髪金眼。久しぶりに見たが変わっていない、事務局長室へと侵入して来たその人物を。
「雷亜……なぜここに」
「──なぜ? ハハハハハハ」
急に大袈裟に笑いはじめた。雰囲気とタイミングからして──何か冗談ではないと狗雨雷は訝しみ表情をきつく深めた。
「約束された天罰だよ、こんな所に篭って酒池肉林を貪りつづけ力に酔ったオンナは……やはり滅びるべきだと思ってね。あちこち男にちょっかいを出して、進むべき道を見誤った姉さんを討つのが僕の弟としての役割だ」
饒舌に、両手を広げながら高いトーンで宣っている。見つめる金眼をワラわせて。
明らかに度を超えている。さっきのモンスター暗殺者と目の前のよく知る男とを結びつけるのは容易であった。
彼の言動を受けて、彼女の地を踏むヒールと両手に力がこもる。
「馬鹿をッ……さっきのはあなたの仕業なのですか!?」
「盛者が奪われ衰するからこそ世の中は上手く回っていく、欲望を満たした姉さんは僕にその席を返すべきだ! ダカラごたごたしている間に潔く死んでくれよ、頼むから」
イカれた金眼を鋭い黄眼がじっと──彼女が最終判断をするにはそれで十分であった。
「ついに訳の分からない事を言い始めましたね、実の姉に対して死ねなどその程度の低い言動。ハッキリと分かりました──あなたは今人間の目をしてませんッ、死神にでも魅入られましたかッ頭のおかしい人間は出来の悪い弟ではなくこの場で死んで貰います!!!」
唇にあてた────己の命を脅かす明確な悪に対してスキルを行使、容赦の無いミドリの風の連刃がニヤつく金髪金眼の男を襲う。
スパホは繋がらない連絡がつかないテレビもつかない、路駐したEV、ハイブリッド車も走れない、電車は止まり交通機関が麻痺している。
電子機器の類を搭載したモノが軒並みイカれてしまっている。
この堺ベース一帯が何者かに妨害電波攻撃や、電子ジャックされたかのように。
DODO本部にも既にモンスターの大群が攻めて来ていた。
本部に侵入しようとする輩には──本部の防衛戦力として新たに開発したヤクトドローンⅡは故障しておらず、搭載されたAIは自動で状況を判断し迎撃に向かった。
ヤクトドローンⅡの編隊は空を飛ぶサンドワーム、その他羽虫たちを駆逐していく。
円い皿を重ねたボディーの下に装備した様々な武装を発射。爆発花火と弾丸が地と空を彩っていく。弾切れになったドローンは引き返し自陣の充電ユニットボックスへと帰還し、カートリッジ式の弾倉を取り替え簡易メンテナンスを完了して再出撃。
パニックの最中でもドローンは至って冷静。しかし未だに上からの指示もなし、機械と違いこのような状況は想定していない彼らに冷静になれというのは無茶であり、状況に流されたDODO職員は外壁を突破して来た地上モンスターの迎撃にあたるが────命を賭してまで……背を見せこの場から逃げる者もいる。逃げれば評価は下がるだろう……評価を得る為に戦う者もいる。が、練度は違えど彼らも探索者の端くれである、モンスター相手に通用すると分かれば──敵陣へと垂れ流すスキルとカードの火力で敵を抑え込んでいく。
交戦状態、四角く大きく黒い建物の外でドンぱちと派手につづいている。
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▼DODO本部、事務局長室▼
何か漠然と……様子がおかしい……と、狗雨雷叢雲は黒いスパホを手に取った────つかない。
「ん、何故……おかしいですね」
机上のスパコンを開いた──こちらは生きている。監視カメラモニターをウィンドウに表示──外の様子を確認しようと。
戸の外で悲鳴が聞こえた。
この声は只事では無い……思わず立ち上がった狗雨雷。
訝しむ表情でゆっくり一歩一歩おおきな戸へと。
シックに黒で統一されたこの部屋を──
黒に紛れた天の影はぬるりと逆さに黒い実体を成し、白い制帽の目印へと上から急に這い出て襲って来たシャドウキャット。
大口を開けて、胴体が嘘のように伸び鋭い爪を持つ影の手が忍び伸び獲物のクビへと──
緑の唇にあてた右の人差しと中指をピッと払った。
鋭い風の刃が忍び寄る影を斬り裂き──真っ二つに滅。
身を沈め振り返りながら気配を感じた天の暗殺者に放った一連の動きのイチゲキ。狗雨雷はそのモンスターとしか思えない造形をばっちりとその瞳に映していた。
「暗殺者ではなくモンスター……どういう」
「雨宙姉さん」
頭の整理ができないままに、戸の方を振り返る──青いパーカーに金髪金眼。久しぶりに見たが変わっていない、事務局長室へと侵入して来たその人物を。
「雷亜……なぜここに」
「──なぜ? ハハハハハハ」
急に大袈裟に笑いはじめた。雰囲気とタイミングからして──何か冗談ではないと狗雨雷は訝しみ表情をきつく深めた。
「約束された天罰だよ、こんな所に篭って酒池肉林を貪りつづけ力に酔ったオンナは……やはり滅びるべきだと思ってね。あちこち男にちょっかいを出して、進むべき道を見誤った姉さんを討つのが僕の弟としての役割だ」
饒舌に、両手を広げながら高いトーンで宣っている。見つめる金眼をワラわせて。
明らかに度を超えている。さっきのモンスター暗殺者と目の前のよく知る男とを結びつけるのは容易であった。
彼の言動を受けて、彼女の地を踏むヒールと両手に力がこもる。
「馬鹿をッ……さっきのはあなたの仕業なのですか!?」
「盛者が奪われ衰するからこそ世の中は上手く回っていく、欲望を満たした姉さんは僕にその席を返すべきだ! ダカラごたごたしている間に潔く死んでくれよ、頼むから」
イカれた金眼を鋭い黄眼がじっと──彼女が最終判断をするにはそれで十分であった。
「ついに訳の分からない事を言い始めましたね、実の姉に対して死ねなどその程度の低い言動。ハッキリと分かりました──あなたは今人間の目をしてませんッ、死神にでも魅入られましたかッ頭のおかしい人間は出来の悪い弟ではなくこの場で死んで貰います!!!」
唇にあてた────己の命を脅かす明確な悪に対してスキルを行使、容赦の無いミドリの風の連刃がニヤつく金髪金眼の男を襲う。
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