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本編

【20】本気で拗ねますよ*

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「ご、ごめんなさい……」

 ようやく息が整った頃、半泣きの表情で湊が謝罪した。ヤバイ、泣き顔も好きかもしれない。もっと泣かせたくなってしまう。

「気持ち良かった?」
「う、うぅ……良すぎました……」
「なら、良かった。なぁ、もう少しシていい?」
「だ、ダメです!」

 オレの手で善がる湊が可愛い過ぎたので、欲を出してそう言ったら、即拒否された。
 
「あ、あの……恭介さんのお口の中は気持ち良すぎるので、ダメです……」

 フェラチオをするのは初めてだったので、下手だったのだろうかと反省していたところに、予想外に可愛いことを言われて気持ちがさらに昂ってしまった。

「じゃあ、後ろだけならもうちょっとシていい? オレの挿入れるには、もう少し解さないとダメだから……」

 湊の視線がオレのペニスに落ちる。さっきの湊の様子を見ているだけでもかなりガチガチになってしまっているというのに、そんなに見られたらさらに反応してしまう。

「湊の中に入りたい」
「……お願いします」

 畳み掛けるように懇願する。正直、ここで断られても止まれる自信はなかった。Commandで押さえつけてでも湊のことを抱いてしまいそうだと思っていたら、小さな声で湊が了承してくれて安堵した。





「ひぁっ、ダメっ、駄目です……!!」

 悲鳴のような嬌声をあげて、湊が善がり狂う。

「恭介さんっ、やっ、それやぁアァぁっ……!!」

 今までSub相手に自分のDom性の嗜虐欲を感じるようなことはなかったけれど、湊にだけは違った。
 前立腺を責められ続けて、強すぎる快感から逃げようと暴れるみたいに身体を捩らせる湊をStay動かないでのCommandで押さえつける。
 可哀想だなと心の片隅で思うけれど、快感に泣き叫ぶ湊に劣情が煽られてしまってやめてあげることができない。

「イクっ、イクから……イっちゃうからぁあぁ……恭介さん、ダメ、ダメえぇええっ……!!」

 ハジメテなのに、後ろの刺激だけで射精するまで前立腺を苛めてしまったのには流石にやり過ぎたかと焦ったけれど、セーフワードが飛んでこないのをいいことに湊の痴態を堪能させてもらった。

「湊、大丈夫?」
「……全然大丈夫じゃないです……」

 指が三本スムーズに入るくらいまでじっくりと解したあと、湊に声を掛ける。
 顔を見たら、目尻に涙が溜まっていたので、手の甲で拭う。泣かしてしまった罪悪感はあるけれど、それ以上に湊の涙に興奮した。

「準備できたけど、挿入れていい?」
「……ここまでされて挿入れてもらえなかったら、本気で拗ねますよ」

 泣くまで虐めてしまったのに、そんな可愛いことをことを言われてもう止まれるはずもなかった。

 湊の膝裏に手を入れて抱え上げると、自分のモノを宛がい腰を押し進める。湊の中に入るときには興奮しすぎてGlareが抑えられなかった。ぬぷりと先端が入り込んだときに出てしまったGlareに湊が甘く泣き叫ぶ。

「ふぁあああああん!」
「湊、イくのはStay我慢して」

 無茶なCommnadだとはわかっているけれど、湊相手だと支配欲が止まらなくなる。

「ひああ、ぁぁあん、あっあっ……!」
「締め付けスゴ……湊、そんなにされたら動けないから。我慢するのは射精だけで、身体の力は抜いて」

 宥めるように身体中を撫でてあげるけれど、些細な刺激でも性感が昂ってしまうようだ。
 過ぎた快感に悲鳴みたいな嬌声を上げながら涙を流す湊が、可愛くて愛おしい。

「恭介さんっ、恭介さんっ……! イっちゃう、イっちゃうよおぉぉお……!!」
「ごめん、一緒にイきたいからもうちょっとだけStay我慢して」

 助けを求めるかのようにシーツの上を湊の手が滑ったので、身体をぎゅっと抱きしめた。オレも射精感を追ってさらに奥まで腰を押し付ける。

「やぁあっ! 駄目っ!! イク、イクイクっ……イッちゃうぅ……!!」

 一生懸命耐えていた湊が、泣きながら身体をガクガクと痙攣させた。
 健気にも限界を超えてまでCommandを守ろうとした湊は、ペニスからは何も出さずに中イキをしたようだ。湊に搾り取るように中のモノがぎゅうぎゅうと締め付けられて、オレも追い上げられる。

「あ、オレもイきそう……湊、もうCumしてダしてイイよ」
「いぁぁぁぁあああああっ……!!」

 身体を震わせながら腕に抱え込んだ湊の中に、欲を全てぶちまける。
 射精と共に、抑えられなくなったGlareが溢れ出てしまう。湊は絶叫しながら射精して、そのまま意識を飛ばした。



 くったりとした湊の中からズルリと自身を抜き去った。
 本音を言えば、もっと中に居たかったのだけれど……

 酷いことをしてしまった、と思う。
 オレ自身は経験がないわけではないのに、まるで童貞のように全然余裕もないまま湊のことを好き勝手に抱いてしまった。

 頬に残る涙の跡をぺろりと舐め取る。
 泣かせたのが自分だと思うと興奮する。先程出したばかりだというのにまたペニスが緩く勃ち上がってしまった。ダメだ……このままだと意識がない湊にすら手を出してしまいそうだ。

 名残惜しく思う気持ちに蓋をして、濡れタオルを用意して湊の身体を拭き清めた。

 独占欲、支配欲、嗜虐欲、庇護欲……Domが持つと言われている欲求を今まで自分の中にこんなにも強く感じたことはなかった。
 好きになった相手はただただ甘やかしてやりたくなるものだと思っていた。
 けれど、湊相手だと自覚していなかった自分の本性が次々と顔を出す。
 どこまでも湊に溺れていきそうな予感を抱えながら、オレは飽きることなくいつまでも湊の寝顔を見つめていた。
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