異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第五十話 お仕事

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第五十話 お仕事


「おはようございま・・・あれ?いない」

ノナさん達が来た翌日の朝、家に行ったら誰もいなかった。
散歩にでも出たのかな?
アルパの小屋へと向かうと、ノナさんを見つけた。

「おはようございます」
「ああ、おはよう」

ノナさんはアルパのブラッシングをしていたようだ。
ゆっくりと丁寧にブラシをかけてもらい、アルパも気持ちよさそうにしている。

「皆さんの調子はどうですか?」

三人のお婆さん。名前はナナ、ネネ、ノノ。三つ子らしい。
二頭中の一頭がいないので、やはり散歩か。

「三人なら、そこにおる」

ノナさんが茶畑の方を指した。よく見てみると、緑の中に白いアルパの頭が見えた。
行ってみると、なんというか・・・凄い光景が・・・。
アルパに横座りに乗った三人が、物凄い速さで新芽を摘んでいた。
摘まれた新芽は放物線を描きながら、アルパが引く大きなカゴへと、まるで吸い込まれるように入っていく。

「み、見えない・・・だと!?」

三人の手元が見えない。
ゆっくりとは言え、歩いているアルパに合わせて摘み取られていく新芽。
そういう機械みたいで、ちょっと怖い。

「働き者だと言っただろう」
「・・・そういう問題?」

茶摘み娘ならぬ、茶摘みエルフ。楽しそうで何より。

「ヒナ、お前さんにこれを」

小さな袋を渡された。

「そいつは染色用の種だ」
「おぉ、ありがとうございます」
「敬語はやめとくれ。ムズムズする」
「はいはい。育てるのに季節は?」
「無い」

袋を開けてみると、朝顔の種に似た種が沢山入っていた。

「棒を立ててやるとそれに絡みついていく」

やっぱり朝顔だな。
家の側面に棒を三本立て掛けて、土を掘って種を植えた。

「ヒナしゃま、なんのお野菜?」
「トマト?」

猫達が集まって来た。

「これは野菜じゃなくて、お花だよ」
「おはな~」
「コマ、おみずやるぅ」
「ありがとね」

猫達が畑に戻ると、ノナさんがじっと猫達を目で追っていた。

「どしたの?」
「随分と自我のあるニャ種だと思うてな。昔は、家の雑用をするニャ種は人気での。その見た目も相まっておったのじゃが、どうにも自我が無い。言われた事をこなしはするが、その他はずっと寝ておる事から、段々と人気が無くなっての」
「へぇ~」

ゲーム内から持っていた種だったし、こっちとは違うんだろうな。

「そういえばお主、朝から変な踊りを踊っておったの。あれは何の儀式じゃ」
「儀式・・・あれは体操で、私がいた世界では健康に良いって言われていたんだ」
「ほぉ、それは良い。儂らも明日から参加する」

次の日から、私、クロ、猫達、そしてノナさん達が一列に並び体操をする・・・という、何とも妙な光景が広がる事になった。





「ふん、ふふ~ん」

今日は一人でおさんぽです。
この島はかなり広く、神社や亀爺たちのいる野原、クロのお姉さんがいた洞窟の他にも、色々とあるらしい。
まぁ、時が経ち過ぎて、殆どが崩れているらしいけど。

「う~ん、この廃墟感、良いねぇ」

石造りの壁に蔦がはっていたり、途中から樹が生えていたり。遺跡とか廃墟好きな私としては、胸が躍る光景だ。
どこかから鳥の声も聞こえて来・・・る・・・。

その時、私の鼓動が「トゥンク」と鳴った。

道にせり出した枝に、三匹の鳥がとまっていた。
まん丸なフォルムに、クリッとした黒いおめめと小さな黒いくちばし。
胸の高鳴りが治まらない!
木洩れ日を浴びて光るフワフワの羽毛はどこまでも白く、首を傾げる姿に思わず胸を押さえた。

「これは・・・恋!?」
「狩猟本能ですね」
「へ?」

振り返ると、去っていくセバスの後ろ姿が見えた。

「狩猟・・・本能・・・」

私の淡い恋心は、一瞬で粉々に砕けたのだった・・・。





「こんばんは~」

夕方、ノナさん達の家を訪れた。

「どうした?」

出迎えてくれたのは、ノナさん。

「おかず作り過ぎちゃって」

ジロー達がいた頃の癖で、偶に作りすぎる事がある。
いつもならアイテムバッグに入れておくけど、今日はノナさん達の所に持って来た。

「入れ」
「お邪魔しまぁす」

丁度晩御飯の準備をしていたらしく、食卓には料理が並んでいた。
エルフの作る料理かぁ。ちょっと気になる。

「・・・豆率、高くない?」

全部のお皿に、そら豆が入ってる。

「菜食、とか?」
「いいや?ただ好きなだけだ」

なるほど。今度出してみよう。

「これ、良かったら食べて」

食卓の上に持って来たお皿を置くと、三つ子がやって来て、じっと見つめた。
そして、一口パクリ。今日はミトじゃがです。

「「「うまうま」」」

ほわ~っと美味しそうにする三人。良かった。
喋ってるの初めて見た!

「味付け、何?」
「初めての味」
「美味しい」

おお、思いのほか食いつきが良い。

「味付けは、これとこれ」

醤油の入った瓶と壺に入った顆粒出汁をアイテムバッグから取り出して、食卓の上に置いた。

「「「ほうほうほう」」」
「美味い」
「よかったらそれも使ってね」
「「「うむ」」」
「有難くいただくよ」

ノナさん達の家を出て歩いていると、強い風が吹き抜けた。
空を見上げると、いつもの満天の星空が雲で隠れている。
明日は雨かな。





「カッパ、久しぶりだなぁ」

やって来ました、クレッセリア国王都。
しとしとと雨が降る中、ポンチョ型カッパを着て歩く。
これなら耳も隠れるから、変に絡まれる事も無いだろう。

「ん?」

広場に人だかりが見えたので、行ってみた。
そこには大きな立て札が立ててあった。
前に来た時には無かったな。

「白い魔獣だって」
「怖いわぁ」
「オークを吹っ飛ばしたらしいぞ」

んんん?
立て札には、こう書いてあった。


   王都近辺にて、巨大な白い魔獣が目撃された。
   オークを凌駕する程の凶暴性がある為、馬車や人を襲う可能性有り。
   有力な目撃情報には銀貨一枚。
   捕獲した者には、別途報酬が出る事とする。

                       クレッセリア王国騎士団



ご丁寧に、似顔絵付きで懸賞金掛けられた!こんな怖い顔してるかなぁ?
マ~ジか~・・・何故?
女騎士を助けただけなのに!
良かった、人型で来て。

「もうここには来ない方が良いかもなぁ」

討伐と書いていないだけマシだけど。
う~ん、自分が捕獲対象になる日が来るとはねぇ。
女性だけの騎士団も見られたし、もう良いかな。
来る時に使った路地裏の扉を使い、そのまま島へと戻った。

「うぉ!?」

強い風にあおられてちょっと驚いた。
急いで家の中へ入ると、イヤーカフスが鳴った。

「はいはい」
『ヒナ様』

セバスだった。

「どうしたの?」
『嵐が近付いているようです。どうされますか?』
「どうされますかって・・・ああ、そっか。島が動くから、嵐を避けられるんだ」
『はい』

ふむ、便利だ。
台風くらいの風じゃ家は大丈夫だけど、畑が心配だもんね。
でも、次に行きたい国と言われてもピンと来ない。

「ねぇ、風任せってできる?行先を決めず、風に流されるまま」
『風任せ、ですか。少々お待ちください。ツバキ、可能ですか?』

ツバキの所にいたのか。

『まっかせてぇ~、だそうです』
「ふふ。じゃあ、お任せします」

セバスのものまねって、口調だけで声はセバスのままだから、面白いんだよね。
しかも真顔だし。

「ヒナしゃま、おかえりなさい!」
「キュ~!」
「ただいまぁ」

さて、今度はどんな国かなぁ。
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