異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第七十六話 勢ぞろい?

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第七十六話 勢ぞろい?


儀式が終わったその日の夜、帰って来てからも大騒ぎ。
ご飯を食べて、やれやれと一息ついた時には、日付が変わりそうだった。
自宅の方のキッチンでお茶を飲んでいると、リシュナから通信が入った。

「もしもし!何も言わずに帰って、ごめんなさい!」
『はは!良い。楽しい余興だった』
「うう・・・その、迷惑かからなかった?」

私とエストはリシュナの招待客として行っている。
少し調べれば、リシュナの関係者だと直ぐにばれるだろうな。

『色々と聞かれたが、適当にあしらっておいた』
「やっぱり、聞かれたんだ・・・」
『あの程度、迷惑の内に入らぬ。それに、この我にしつこく聞いてくる者なぞ、おらんからな』
「本当に申し訳ないです」
『そう気にするな。そうだの・・・そんなに気に病むのであれば、プリンで手を打とう』
「そんなんで良いの?」
『あれに勝る甘味なぞ、この世にあるものか』
「そこまで!?」

それから暫く、いかにプリンと言うものが素晴らしいかを聞かされた。

『そうそう、本来の舞手の事じゃが』
「ああ、怪我したって子?そう言えば、あの時もう島にはいなかったんだよね」

その場にいてくれれば、持ってるポーションで治せたんだけどなぁ。

『その娘、逃げておった』
「逃げ?何故?」
『あの祭り、十年に一度の祭りでな。前回の舞手が、祭事の数日後に病死したらしい』
「あらら」
『元から身体が弱かったらしいのだが、その話がねじ曲がって広がったようじゃ』
「もしかして、始祖の呪いだぁとか?」
『そんな所じゃな。後は、生贄にされただの、王の妾になっただの・・・まぁ、十年もあれば、噂なんぞ原型を留めておる物の方が少ないからな』
「ああ、最初は魚の骨だったのが、ひれやら尻尾やらが付けられて、魚になって戻って来るやつね」

偶に品種改良されたりとか、魚が象になって帰ってくる事もある。恐ろしい現象だ。

『ははは!確かにな。舞手に選ばれたのは良いが、直前で怖くなったらしい。今回は泉の事もあったからな』

祭事が終わった後の事と泉の事が重なって、プレッシャーに負けた、と。

『外傷では直ぐに嘘だと分かってしまうから、足を挫いたと言ったらしい』
「捻挫でもポーションで治るよね?」
『ああ。だが、娘が痛いと主張してな。ポーションでも治らないとなると・・・』
「始祖の呪いだぁって?」

いくらポーションでも、仮病は治せないからなぁ。

『解呪の出来る神官を神殿に呼びに行っている間に、逃げたらしい』
「あ~・・・」

神官が来ちゃったら、呪いじゃないってバレるもんね。

「でも、詳細が分かってるって事は、見つかったんだよね?まさか・・・」
『最初は、極刑だと言われておった』

やっぱり!

『だが、その娘が逃げた事によってお主が代わりとなった。幸か不幸か、結果的に泉が蘇り、始祖の生まれ変わりまで現れた、と最近就任した神官長が主張してな。娘は王都追放。神官長が始祖の生まれ変わりにその身を捧げると言う事で、決着した』
「そっか。まぁ、極刑よりは・・・ん?始祖の生まれ変わりって」
『ヒナじゃな』
「神官長?」
『アヌリと言ったな。お主の所におった者であろう』
「ほわっ!?」

神官長がアヌリで、アヌリが神官長で・・・身を捧げる?

『あ奴、「これで私は名実共にヒナ様の物・・・」とか呟いておったぞ』
「おおお・・・なんてこったい・・・」

怖い!

『まぁ、思想はアレじゃが・・・これで噂は払拭されるだろうな』
「え?」
『始祖の生まれ変わりとやらが泉を元の姿に戻した事で、泉が涸れた原因とされる「現王が始祖の怒りを買った」と言う噂は消える』

そんな噂まであるんだ。土着信仰って、一歩踏み外すと怖いなぁ。

『トーナの王も、首の皮一枚繋がったというわけじゃのぉ』
「首の皮?」
『王とて万能ではない。民の怒りを買えば、己が身に返る』
「王様って、大変だねぇ」

リシュナも女王様だもんなぁ。
うちに来た時くらい、寛げると良いけどなぁ。
ここにあるのは、下宿とうちだし。
温泉、とか?
いやいや、ここは浮島だ。
造れても、露天風呂・・・あ、良いかも!

『ヒナ?』
「ああ、ごめん」
『トーナ国王がお主に会いたいと言っておったが』
「謹んで、遠慮します」
『そう言うと思うて、断っておいた。ついでに、しつこくするとヒナは二度とトーナの地を踏まぬと脅しておいた』
「あはは、ありがとう」

リシュナは本当に私の事をよく分かってくれているなぁ。
本格的に、何かお礼を考えないとね!





次の日の朝、お昼前に迎えに来て欲しいと、アヌリから連絡が入った。
少し・・・いや、かなり行きたくないが、島にある石にアヌリの登録をしないと、転移石を使えない。
まぁ、アヌリがいる限り、捕まってどうこうって事も無いだろう。
偶にストーカーっぽい言動があるものの、恋情とかを感じた事はない。
彼はただ、「踏まれたい」だけ。それはそれでどうかと思うが・・・。
他人の趣味趣向は、下手に触れない方が世の中平和です。巻き込まれない限りは。

「さて、そろそろ行こうかな」

転移石を発動させると、小島の橋へと出た。

「あ、アヌ・・・リ!?」

何だか知らないけど、人が沢山いる!?

「ヒナ様」

白いローブを纏ったアヌリが、ゆっくりと片膝をつき、私に頭を下げた。
すると、彼の後ろに立っていた十数名も、同じように地に膝をついた。
アヌリの真後ろに、周りとは違う服装をした人がいる。まさか・・・。

「此度は、泉を復活させていただき感謝申し上げます」

アヌリの馬鹿ぁ!こんなに人がいるなんて、聞いてないぃ!

「つきましては、トーナ王国国王より、御礼申し上げたく」

アヌリの真後ろの人が、深く頭を下げた。
あうぅ・・・勘弁して!何故王様!?王様って、簡単に頭下げちゃ駄目でしょ!

「再びお姿を拝謁賜りました事、恐悦至極に存じます」
「あの、立ってください!皆さんも!私はそんな」

居た堪れない!今直ぐ帰りたい!

「なんと・・・そのお姿に違わず、お心まで美しい・・・」

人の話を聞かないのは、種族的な習慣ですかいね!
ちょっと待った・・・まさか、全員アヌリ的なアレじゃないよね?
辛うじて顔を上げてくれたが、全員もれなく恍惚とした顔を向けている。
そう、アヌリが「踏んでください」と言う時に見せる顔だ。
い~~~~や~~~~!

「我等、ヒナ様に踏まれ隊、永劫の忠誠をヒナ様に!」
「はい?」
「良い名です」

アヌリがそう言うと、周りもうんうんと頷いた。

「因みに、あちらが「見守り隊」」

後方、お城側の門の両側、こちらを除いている数名。

「崇め隊は、石造の作成中」
「まだいるの!?ってか、石造って!?」
「はい。ああ、少数派ですが「爪を研がれ隊」もおります。私は、総合隊長です」

頭が痛くなってきた・・・。

「アヌリ、ヒナ様を頼んだぞ!」
「もちろんです。片時もお傍を」
「冒険者なんだから、冒険しに行け!」

さっさと帰ろう、そうしよう!

「それでは皆さん、さようなら!」

アヌリの腕を掴み、転移石を起動。島へと帰って来た。

「疲れた・・・儀式より疲れた」
「・・・帰ってこれた」

噛みしめる様に呟いたアヌリの横顔は、まるで宝物を取り戻した様な優しい笑顔だった。

「さぁ、行きましょう!お土産も沢山ありますから!」
「はいはい」

いつものアヌリに戻ったようだ。
やれやれ、また騒がしくなるねぇ
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