異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第七十七話 ぬか漬け

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第七十七話 ぬか漬け


「・・・行ってまいります」

俯き、顔に「渋々です」と書いてありそうなアヌリ。
彼が島に来てから数日が経ったが、ほぼ毎日の恒例になっている。

「ほら、行くぞ!」
「うう、ヒナ様・・・」
「はい、行ってらっしゃい!」

アヌリがジローに引きずられ、転移石へと向かった。

「やれやれ」

島で私の傍にいると言ったアヌリだが、手伝いは足りているので丁重にお断りした。
というか、冒険者だろうに。
ジローやクレスと同じように、十年分の家賃を持って来たアヌリ。
それに加え、トーナ王国で作られている工芸品やら、布やらをお土産として貰った。
最近、皆がお土産を持って帰って来るので、食堂に棚を作ったんだよね。
何だかよく分からない人形やら置物やら・・・ありがたいが、微妙な見た目の物もあるんだよねぇ。
何かの花を、誇らしげに掲げるハニワみたいな物とか。

「おっと、今日は大事な日だった!」

急いで小屋へと向かった。

「わぁ、凄いな!」

小屋の中には、しっかりと乾いた稲が大量に置いてあった。
ここは糸と同じく、昔ながらの方法で・・・と言いたい所だが、膨大な時間と作業が必要となるので、ゲーム内で使っていた道具を使う。

「箱に入れるとあら不思議!茎、ぬか、白米に分かれて出て来る!」
「何やってんだ、ヒナ」

思い切り、独り言をエストに聞かれた!

「・・・収穫した稲を、お米にしております」
「そうか」

何故か微笑まれた。

「へぇ。こんな風になるんだな。この粉は?」
「ぬか漬け作ろうかと」
「?」

あれ、知らない?

「今朝出したキュウリの漬物が、ぬか漬け」
「ああ、あれか」

これからは島産のお米も食べられるし、これでまた一歩、自給自足に近付いた!





「久しぶりだな」

せっかくなので、ぬか漬けの準備をしよう!
小さい頃は、祖母の手伝いで作っていた。

「分量はうろ覚えだけど」

用意するのは、ぬか、水、塩、唐辛子、昆布と少量の味噌。
先ずは、ぬかをフライパンで乾煎りする。
水を沸騰させて塩を完全に溶かして、冷ます。冷めたら、唐辛子と昆布、それに味噌を入れる。

「ここからが肝心」

乾煎りしたぬかに、さっきの水を加えて行く。
耳たぶくらいの柔らかさになるまで、入れて混ぜてを繰り返していく。

「こんなもんかな。うっ、ちょっと作り過ぎた。でも、この匂い・・・懐かしいぃ」

完成したぬか床を二つの木桶に移して、通気性の良い布で蓋をする。食堂の床下収納(漬物用に作った)に入れて、終わり。
一晩寝かせ、野菜を入れるのは明日だ。
ゴム手袋に着いたぬか床を一口。

「うん、良いねぇ。ダイフクも食べる?」

ダイフクを手の平に乗せると、ぬか床を食べて綺麗にしてくれた。

「美味しい?」

ダイフクがプルンと震えた。
どうやら美味しかったようだ。
ダイフクの寝床(石鹸置きトレイ)に戻してあげると、まだプルプルと震えている。
大福と言うより、水饅頭だな。

次の日の朝、朝食の準備をしに食堂へ。

「おはよう、ダイフク・・・と、どちら様?」

ダイフクの寝床に、ダイフクと同じ大きさのプルプル出現。
鑑定してみると、ダイフクの分体と出た。
名前の所が空欄になっているから、ダイフクとは別の個体という事なんだろう。

「名前かぁ・・・ネリってどう?」

和菓子の練り切りから、ネリ。見た目がコロンとしているから。我ながら安直。
ネリがプルン、と震えた。気に入ったようだ。

「これからよろしくね」

プルプルと震える二・・・匹?で良いのか?新しい住人が増えました。





空が抜ける様に晴れた日のお昼過ぎ。
朝集めた落ち葉を、縁側からじっと見つめる。

「焼き芋が食べたい!」

そうと決まれば、準備だ!
濡らしたキッチンペーパーで芋を包み、更にホイルで巻く。
在庫もほしいから、多めに巻き巻き・・・終わったら庭に出て、集めた枯れ葉の山へ投入。
枯れ葉に火をつけると、ほどなくしてモクモクと白い煙が立ち始めた。

「何をしている」
「ぅわぁ!?」

突然聞こえた声に驚いて横を見ると、魔王がいた。

「火を焚いているのか」
「焼き芋が食べたくてね」
「焼き、芋?芋を焼くのか?」
「あれ、食べた事ない?」

魔王がこくんと頷いた。
芋はこの世界にもあるけど、誰もやった事が無い?いや、魔王だからか?
まだ時間がかかるので、とりあえず縁側でお茶を飲む。

「ヒナ・・・その・・・あの・・・」
「どうした?」

急にモジモジし始めたぞ?

「我と・・・友達になってくれぬか!?」

ポク、ポク、ポク、チーン。

「ぶふっ!」

思わず噴き出した。
だって、魔王が!お友達って!

「むぅ・・・我は、本気で・・・」
「ごめん、ごめん!あまりにも予想外だったから。しかも、今更!」
「どういう事だ?」
「あれだけ毎日来ておいて、今更じゃない?」
「そう、なのか?」
「私はとっくに、友達だと思ってたけど?」
「そ、そうか!」

頬を染める、イケオジ・・・可愛いが、魔王だ。

「あ、そう言えば、名前聞いてない」
「そ、そうか。我の名は、ベルガシュナードだ」
「ベ・・・」
「ベルで良い」
「ありがとう。どうもカタカナが多いと、覚えられなくて」
「かた?」
「何でもないよ。じゃあ、これからよろしく、ベル!」
「あ、ああ!」

いやぁ、この歳になって「お友達になりましょう、そうしましょう」的な事をするとは・・・ちょっと照れる。
それはベルも同じだったようで、少し頬が赤い。

「甘い匂いがするのぉ」
「キュ~」

ナイスタイミング!
クロと猫達が、匂いにつられてやって来た。

「今、焼き芋焼いてるから、少し待ってね」
「やきいもぉ!」
「キュキュ~」

食べられるのだろうか?
猫達は偶に果物を食べているが、基本的におさかなのクッキー意外は食べない。
まぁ、あげてみれば分かるか。

「そうだ、皆も呼ぼうか」

折角の、この世界初(多分)の焼き芋だ。皆で食べたい。
エストを捕まえ、ノナさん達も呼んで来た。
暫く待つと、山になっていた枯れ葉が完全に燃え尽き、黒い灰の中から焦げたホイルを取り出していく。

「熱っ!熱っ!」

軍手をしていても伝わって来る熱を我慢しながら、芋をパクっと二つに割る。
中から黄金色のお芋が現れ、甘い香りがふわりと上がる。

「食べてみる?」
「あい!」
「キュ!」

いや、クロが食べるのは知ってる。
猫達とクロにはミトン型の鍋掴みを着けてもらい、半分ずつ渡す。
皆にも軍手を着けてもらい、芋を配っていく。

「それじゃあ、いただきます!」

一口食べると、ホクホクトロリ!甘くて、香ばしくて・・・とにかく美味しい!

「おいひぃ!」
「キュ~!」
「ヒナしゃま、おいしいです!」

猫達も食べられるみたいで、良かった!

「うむ、美味いの」
「「「ふぉっふぉっふぉっ」」」
「芋にこんな食べ方があるとはなぁ」
「あ、芋をそのまま焼くと、炭になるからね」

直接火の中に放り込むと、焼けるかもしれないが、炭になる確率が高い。

「・・・美味いな」
「ああ」

エストとベルが、意外とほっこりしながら食べていた。
もう一口・・・空は高く、お芋は美味しい!
今度は栗も入れてみようかなぁ。
因みに、芋はそのまま入れると炭になるが、栗はそのまま入れると爆弾になるので要注意!
皮に切れ目を入れないと、飛ぶし爆ぜる。そして何故か向かってくるので、気を付けよう!
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