異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第八十話 三日間

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第八十話 三日間


いざ、ヒノモトへ!とは言え、三日かかる。

「さて、柿♪柿♪」

先ずは、渋柿の皮をむきます。ヘタは少し残します。
ショリショリ、ショリショリ。
むいたら、ヘタに縄を括り付ける。縄一本に、柿二個。

「ここをこうして・・・」

猫達にやり方を見せる。四苦八苦しながらも、皆上手に出来た。
最初はゴム手袋に慣れない様子だったが、大丈夫そうだ。

「んしょ、んしょ・・・できた!」
「おお、コマも上手に出来たね!」

コマは、他の子達よりも少し時間がかかるが、出来るまで頑張る、頑張り屋さんだ。

「これで全部だね。じゃあ、食堂に行こうか」

鍋に水をはり、沸騰させる。
ボコボコ、ぐらぐらと、完全に沸騰させたら、縄を持って柿をお湯へ!

「1、2、3、4、5!」

入れるのは五秒だけ。これで柿の殺菌が出来る。
終わったら、縁側に下げた物干しに間隔を開けて吊るし、完了。

「皆、お疲れ様。お茶にしようか」

のんびりとした昼下がり。平和だなぁ。





「さて、次は梅肉か」

青梅をご用意ください。大量に。
爪楊枝で小さなヘタを取り、一つ一つ布で拭いていく。
それが終わったら、種を傷付けないように梅をすり下ろす。

「ぬぉぉぉ!」

これが結構な重労働なんだよね。
昔作った時は、次の日右腕が筋肉痛になった。
終わったら、ボウルとザルを用意。ザルに布を被せ、すり下ろした梅を入れて絞る。
使うのは、この汁の方だ。
汁を土鍋に移し、火にかけて沸騰させる。
沸騰したら弱火にして、コトコトコトコト・・・。
焦げ付かない様に混ぜながら、トロトロになるまで煮詰めていく。
汁の色が緑色から黒に近い濃い色になったら、完成。
ガラス瓶に移し替えて、常温保存。
梅約一キロから取れる梅肉エキスは、市販の鮭のフレークが入っている瓶一瓶か、もっと少ない。
因みに、これを冷蔵庫に入れると・・・爪楊枝が刺さらないか、折れる程の固さになるので要注意だ。
出来立てを味見。
爪楊枝の先にちょこっと付けてっと。

「くぁ!」

酸っぱい!
懐かしい味だが、超酸っぱい!
暫く悶絶しました。





夕方になり、ジローが帰って来た。

「ヒナ!」
「おかえり、ジロー」
「これ!」

ジローが勢いよく出したのは、朝入れたお弁当箱だ。

「どうだった?」
「美味しかった」
「じゃあ、良いじゃん」
「いや、美味しかったんだが・・・見た目がその・・・」

実は、ジローのお弁当、キャラ弁だったんだよね。
ご飯はうさちゃんとくまちゃん(笑)で、タコさん型ウインナーや、ハート形の玉子焼き等・・・久しぶりに力作だった。
これを開けた時のジローの顔を想像すると・・・ぶふっ。

「ヒ~ナ~?」
「いやぁ、ちょっとしたお茶目だって!可愛かったでしょ?ぶふっ」
「お茶目~?そのお茶目のせいで、ギルマスに笑われたんだぞ」

人前で開けちゃったんだ。見たかったなぁ。

「あはははは~・・・さぁ、晩御飯の用意しよぉっと」
「待てこら!」
「は~はっはっは~」

次は、何にしようかなぁ(笑)





「ん・・・はっ!?ここは?」
「目が覚めたか、ガルシェ」
「魔王様!申し訳ございません!不覚にも毒を」
「毒なぞ盛られてはいない。お前が食べたのは、これだ」

ベルが取り出したのは、ヒナにもらったおにぎり。

「食べろ。ヒナが作ったものだ」
「あのクソねむぐっ」

ベルは有無を言わさず、ガルシュの口におにぎりを突っ込んだ。

「んん!?ん・・ん!!・・・ん?」

ガルシュの顔が、驚きから途中眉間に皺が寄った(たぶん、酸っぱかった)が、段々と柔らかい表情へと変わっていく。

「美味い・・・」
「だろう!?やはり、ヒナのおにぎりは格別だ!これはウメボシと言って、ウメと言う果実を塩漬けにしたものらしいぞ!他にも、魚を焼いた物や肉等、色々あるのだ!」
「は、はぁ。その、魔王様・・・」
「お前の心配は分かっておる。だが、私はヒナに懸想なぞしておらぬ。我とヒナは・・・と、友だからな!」
「友、でございますか?」
「そうだ!共に運動をし、畑を耕し、同じ釜の飯を食い、語らう!」

力説をするベルだが、ガルシュは混乱していた。
運動?畑?どういう事だ?

「そしてこれが、新作!くろわっさんだ!」

バターの良い香りがふわりと漂う。
ベルがクロワッサンを二つ取り出し、一つをガルシュに渡した。

「お前も食してみよ」
「は、はい」

二人の喉が、ゴクリと鳴る。
そして同時に、かぶり付いた。
サクサクとした触感が楽しく、零れ落ちる欠片さえも逃したくないと、残りを一気に口の中へと入れた。

「「・・・美味」」

恍惚とした表情の二人。
それもそうだろう。ヒナが作るものは、幻と言われる食材を多数使って作られている。
それに加え、ヒナは料理人のスキルを持っている。
たとえこの世界にあるパンを、レシピと作り方を全く同じにしてヒナが作ったとしても、かなりの美味しさになるだろう。

「ん、コホン。魔王様があのク・・・猫の所へ行く理由は分かりました」
「そうだろう!」
「ですが・・・」
「ああ、分かっている。他の者達とも話す。ヒナもこちらに向かっているからな」
「向かっている?」
「あの島は動くらしくてな。島ごとこちらに来るらしい」
「では、また・・・」

思わず垂れそうになった涎を、慌ててハンカチで拭うガルシェ。

「さぁ、行きますよ、魔王様!」
「お、おう」

二人は大急ぎで執務室へと向かうのだった。





「え、この島、ヒノモトに向かってるの!?」
「うん」
「マジか」

明日にはヒノモトに着くだろう夜、ジローとクレスに話をした。

「こうしちゃいられないわ!ヒナちゃん、被服室使うわね!」
「へ?あぁ、うん」

あっという間にクレスが食堂から走り去った。
久しぶりの帰郷だから、新しい服でって事か?

「ジローはどうする?」
「う~ん・・・明日は依頼も受けてないが・・・」
「何年も帰ってないんでしょう?」
「まぁ、そうなんだが・・・いや、覚悟を決めるか」
「覚悟?何かやらかしたの?」
「ヒナは俺を何だと思って」
「腹ペコ筋肉エルフ?」
「単細胞ムッツリ筋肉馬鹿」
「おい、エスト!」

エスト、酷いな(笑)
ギャアギャアと言い合いを始めたジローとエスト。
うんうん。仲が良いのは良い事だね。





「とっても良く似合うわぁ!」
「うぅ・・・」

朝っぱらから、疲れております。
朝食が終わり、そろそろヒノモトが見えて来ると言う頃だった。
クレスに呼ばれて被服室へ向かうと、問答無用で人型に変身するように言われた。
それから、あれよあれよという間に着替えさせられたのだが・・・。

「髪はアップにしてぇ・・・」

まだ終わらないのか。
かなり着崩したような着物?洋服?襟元が思い切り開き、肩まで見えている。
胸元はレースで隠れているはいるが、ミニスカートでがっつり足が出た。

「ヒノモトの伝統衣装とか・・・」
「よく分かったわね!多少は改良したけどね。ああ、靴はこれ履いてね」

ぽっくりだ!草履よりも高さがあり、イメージ的には花魁が履くアレだ。
とても一晩で揃えたとは思えないくらい、凄い着物なんだよなぁ。

「あのぉ・・・これで行くんだよね?」

念の為、聞いてみた。念の為!

「もっちろん!さぁ、皆が待ってるわよ!」

あうぅ・・・恥ずかしい・・・。
布面積だけなら、トーナで着た衣装の方が少ないんだけどね。
クレスに引っ張られ、食堂へと向かった。

「皆、見て頂戴!」

うう、逃げたい。

「ヒナしゃま、きれい~!」
「とっても、きれい!」
「キュ~!」

クロと猫達が集まって来て、目をキラキラとさせる。

「あ、ありがとぉ」

脱ぎたいとは、言えなくなってしまった。

「うっ・・・」
「う?」

呻く程酷い?と思ったら、ジローが自分の鼻を押さえていた。指の隙間から、赤い色が・・・鼻血!?

「ヒナちゃん、とってもキレイ!あぁん、依頼が無ければ、私も行けたのに!」
「その・・・綺麗だ」

キャロルとエストに褒められた!
クレスはとりあえず、カメラを置け!
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