異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第百八話 歓迎会

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第百八話 歓迎会


「え~、では!ガーゴさんとジェスカさんご夫婦、これからよろしくお願いします!」
「乾杯!」
「よろしく!」

今日はお外でバーベキュー!
仕込みは前日に終わらせてあるので、後は焼くだけだ。

「うわっ、美味っ!」
「美味しい」
「これ、何の肉だい?」
「あ、あ~・・・ほれ、こっちも美味いぞ!」

ジローが何故か焦って、ジェスカさんに焼きトウモロコシを渡している。

「?」
「来た初日にこれがミトの実だって知ったら、二人ともひっくり返るからな」

何故隠すんだろうと首を傾げていると、隣でミトの実や野菜が刺さった串を焼いているエストが言った。

「確かに皆驚くけど、そんなに?」

幻のなんちゃら~とか、スーパーのポップで見た事あるぞ?

「生産量が少ないとか、年中販売は出来ないけど季節になれば出せます的な」
「いや、コイツもいだそばから生えてくるし。雪の中でも収穫できただろう」
「あ~、確かに」

あんまりにも鈴生りになっていたから、収穫し忘れたのかと思って採ったら、次の日には元に戻っていた。

「ダンジョンの最奥で、宝箱から一つ出るか出ないかって言えば分かるか?」
「なるほど・・・そんなに!?」
「やっと分かったか」
「じゃあ、これもかぁ。新しいのが収穫できたんだけど」

先日、ウズの実を初収穫したのだ。
見た目はスナップエンドウだが、中から小さな鶉の卵・・・に、似たものが出て来る。
ココの実の、小さいバージョンだ。
茹でて薄皮を剥き、串揚げにすると美味しい。

「エスト、口開けて」
「は?むぐっ」
「証拠隠滅」

注:油断している人の口に串揚げを突っ込むと危険です。ポーションの無い世界では止めましょう。

「クロも食べてみる?」
「キュ!」
「串は危ないから外そうねぇ」

串から外したウズの実揚げを小皿に乗せてあげた。
クロはお箸が使えないので、フォークでプスッと刺して食べた。

「キュ~!」
「お、美味しいかぁ。良かった」

スリスリしてくるクロ。気に入ったようで何より。
まぁ、この島で食べるだけだし、大丈夫だろう。

「エストはど・・・どうした?」

味の感想を聞こうとエストを見たら、後ろを向いてプルプルと震えていた。

「え?もしかして、串刺さった!?ポーションいる!?」
「い、いや・・・大丈夫だ」
「そう?口の中って治りにくいから、我慢したら駄目だよ?」

心なしか、耳が赤い気がする。

「大丈夫だ。それより、焦げるぞ」
「おぉう」

慌ててミトの実をひっくり返すと、ちょっとだけ焦げ目がついていた。
これくらいならセーフだ。

「ヒナ」

服を引っ張られて下を見ると、ノアがいた。

「ノアも食べる?」

そう聞くと、小さく頷いた。

「はい、どうぞ。串に気を付けてね」

渡そうとすると、首を横に振るノア。

「もしかして、ミトの実?」

また首を振るノア。そして、口を小さく開けた。
なるほど。食べさせてほしいのか。
串を口元まで持って行くと、パクリとウズの実を一つ食べた。

「おいひい」

もぐもぐと口を動かしながら嬉しそうにするノアが可愛い!
思わず頭を撫でてしまった。

「ん?」

ふとノアの後ろを見ると、猫達がノアの後ろに並んでいる。
いやいや、君達食べられないでしょうよ。

「あい」

満足したノアが外れると、コマがフルーツの乗ったお皿を差し出して来た。
猫達用に用意しておいたやつだ。
フォークで一つ、コマの口に「あ~ん」してあげると、嬉しそうにしてくれた。
そして頭を撫でてあげると、今度はミケ。
どうやら「あ~ん」の順番待ちらしい。
可愛いので、良し!
口に入れては頭を撫でてを繰り返していると、串の乗ったお皿が差し出された。

「・・・大人の受付はしておりません」

ジローだった。

「差別だ!」
「区別です」

やれやれだ。

「ムッツリ馬鹿はこれだから嫌ねぇ」

クレス、もっと言ってやって。

「ヒナちゃん。あ~ん」
「あ~ん」

条件反射で口を開けてしまった。
口の中にメロンの甘さが広がる。

「美味しい?」
「うん」

そりゃあ、さっき猫達が食べていたのと同じだからね。
去年収穫した、島産メロンだ。

「ふふん」

何故か勝ち誇った様な顔をジローに向けるクレス。

「くっ・・・ヒナ、ほら!」
「いや、メロンの後にミトの実はちょっと・・・」

ジローが差し出したのは、ガッツリ味付けされたミトの実。
味が混ざりそうなので、遠慮しておく。

「ぷっ、あはははは!」
「ジェスカさん」
「さん、なんて付けなくて良いよ!これから世話になるんだし。あたいもヒナって呼ぶからさ。堅苦しい事は苦手なんだ」
「分かった」

ジローとクレスがまた言い合いを始めたので、追い払っておく。

「ヒナ、あんたには感謝してる」
「え・・・結構無理やりっぽかったと反省してるんだけど」
「反省なんかする必要ないよ!こんな楽しい気分になったのは、本当に久しぶりさ」

ジェスカの視線の先には、ジロー達と話すガーゴさんがいる。

「酒も飯も美味いし、人も良い」
「偶にちょっと煩いけどね」

ジローとクレスがギャアギャアと言い合い、アヌリが静観。キャロルが偶に参加して、ワイワイと楽しそうだ。

「冒険者がいるとは聞いていたけど、Sランクが二人もいるとはねぇ。もう直ぐBランクに上がる子もいるし。それに、ドラゴンの子供やらフェンリルやらいるわ」

そのドラゴンは焼きトウモロコシに夢中だし、フェンリルはバーベキュー串に夢中だ。

「あはははは・・・」
「ここの食べ物は畑で作ってるんだろう?手が必要な時は言っとくれ。あたいも旦那も、何時でも手伝うからさ」
「ありがとう。その時は、お願いします」
「そう言えば・・・ヒナは冒険者にはならないのかい?」
「へ?む、無理無理無理!」
「そうかい?クラーケンを一撃で倒したって聞いたから、大丈夫だと思うけどねぇ。あんたなら、あっという間にSランクになれるだろうさ」
「ジェスカ・・・それ、誰から聞いた?」
「えっと・・・ああ、ジローって」

勢いよく地面を蹴り、スピードを殺さずにそのままジローの背中へ飛び蹴りを入れた。

「ぐはっ!?」
「余計な事を・・・」

そのまま踏みつけると、アヌリが羨ましそうにジローを見た。

「ぐふっ!待て、話せばわかる!」
「あぁん?」
「ってか、どうせすぐバレるだろう!ここにはリシュナやベルガシュナードだって来るんだから!」
「そう言う問題じゃねぇ」

まったくこの、顔意外駄目男がぁ!

「リシュナって、あの女帝かい?」
「ベルガシュナード・・・魔王の名前」
「「そんな馬鹿な」」

ガーゴとジェスカは「まさかぁ」と言って笑い始めた。

「いや、ほんと」
「ア~ヌ~リ~、ちょっと黙ってようかぁ」

ジローを踏んだまま、アヌリの顔面を掴んだ。

「むぐぅ、むぐむ」
「はい?」

もしかしたら息が出来ないのかと思い、少し手を緩めた。

「もう、死んでも良いですぅ」

しまった。ご褒美になってしまった。
慌てて手を離すと、「あうぅ」と名残惜しそうにされた・・・鳥肌が立ちそう。
本当に全く、やれやれである・・・。

この数日後、リシュナがドングリを持ちに来た事で、ガーゴとジェスカが卒倒。
そして次の日の朝にベルと出会い、その後数日間寝込んだのであった・・・。
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