異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第百十八話 新たな葛藤

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第百十八話 新たな葛藤


「部屋を用意して・・・の前にクリーン掛けて、ノミやらダニやらはあれを使」

考えながら歩いていると、脳内にピロ~ンと音が聞こえた。
な、懐かしい!ゲーム時代に聞いた音!

『猫を飼った事により、スキル発現』

猫が猫を飼った・・・それは、赤いリボンを付けた某白いね・・・。

『スキル:ニャリンガル。猫の言葉が分かるようになりました』

「ふぉおっふ!?」
「どうしたの?」

突然叫んだ私を不思議そうに見つめるクレス。

「い、いや~」
『主?』

あるじ!?

「えっと・・・」

私を案内してくれた猫。彼は黒猫だ。

『我が家族を救って頂き、感謝申し上げる』

黒猫がペコリと頭を下げた。マジか。本当に言葉が分かる様になったみたいだ。
色々と聞きたい事はあるが、身重の子もいるし、子猫達も心配だ。

「・・・早く、皆が休める所を作るね」
『ありがとうございます』

今度は女の人の声がした。箱の中の母猫の声か。

「ヒナちゃん?どうしたの、ニャアニャア言っちゃって」
「へ?ニャアニャア?」
「まるで、猫達と会話してるみたいで可愛いけど」

私は普通に喋っているつもりだが、クレスにはニャアニャア言っている様に聞こえるみたいだ。
まぁ、この外見なら違和感はないから良いか。
皆に猫を紹介しつつ、家に入る。

「さて、部屋は」

使っていない部屋が一階にあったな。

「ここにしようか」

日当たり良好。広さは十二畳。三家族なら大丈夫だろう。
キャットタワーやクッション、ご飯やお水の器を用意。
落ち着ける様に大き目の箱にクッションを入れ、母猫と子猫達はそちらへ。
同じ箱をもう二つ用意し、身重の子達を案内した。

「どうかな?」
『ありがとうございます!安心して子供を産めます』
「何か足りない物があったら、いつでも言ってね。ご飯は何が良いかなぁ」

スキル:ホームセンターでキャットフードを検索してみると、これでもかって程の種類が出て来た。
自給自足を目指すなら、島の食材を使って作った方が良いんだろう。
だが、今のこの子達は圧倒的に栄養不足。
先ずはちゃんと栄養バランスを考えて作られた物で回復してもらって、それから応相談かな。
言葉が通じるって、素敵!

「先ずは、妊婦さんと母猫さん用ね」

超有名キャットフード、ロイヤルニャナン!
カリカリとウェットを用意。

「これ、どうかな?」

こっちからすると、異世界の物だからなぁ。
猫達がフンフンと匂いを嗅ぐと、一口食べた。

『美味しい!』
『美味しいです!』
『こんなに美味しい物、食べた事ないです!』

おお、高評価!
安心していると、後ろからゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきた。

「君達は、こっちね」

父親猫達にも用意してあげると、ガツガツと勢いよく食べ始めた。
口に合ったようで、良かった。
ちょっと美味しそう・・・いや、駄目だろう!
美味しそうにご飯を食べる猫の動画を見た時は、こんな気持ちにならなかったのに!

「いかん、いかん」

気を紛らわす為に、猫用トイレを用意。
部屋の扉に穴を開け、猫用扉を取り付けた。

「島を案内したいから、一人ついて来てほしいけど・・・」
『我が行きます』

名乗り出たのは、黒猫だった。
奥さんはお腹いっぱいになったのか箱の中に戻り、子猫達におっぱいをあげている。
うぅ、可愛い・・・まだ目も開いていない子猫を間近で見られるなんて!

「じゃあ、行こうか」

先ずは家の中を案内し、下宿の食堂に向かった。
丁度猫達が休憩中だったので、黒猫を紹介・・・ややこしいな。

「皆!新しく家に来た子だよぉ」
「わぁ!ねこさんだぁ!」

君もだけどね、ミケ。
ニャ種から生まれているから、正確には猫ではないけど。

「よろしくぅ」
「よろしくね」
『よろしくお願いいたす』

さっきから気になっていたけど、この黒猫さん、言葉がちょいちょい武士っぽいと言うか、硬い?

「ニャアって言ったぁ!」
「キュ!」

コマ達にも、普通に「ニャア」と聞こえているみたいだな。

「子猫もいるし、お腹が大きい子もいるからね」
「こねこ!」
「なにかあったら、言ってね。ぼくたち、おてつだいするから」
『感謝する』

なんて優しい子達!
皆の頭を撫でてから食堂を出ると、家の周辺を案内してあげた。

「ここは浮島。一応柵はしてあるけど、落ちると・・・まぁ、この高さなら分かるだろうけど、危ないからね」
『なんと、空に浮く島とは』
「それから、畑にはカルガモのモニュナさん一家がいる。あ、ポチにも紹介しなきゃね」

ナーブには聞きたい事もあったし、丁度良い。

「ナーブ!ポチ!」
「主!」
「ヒナ、その子、新しい子?」
『な・・・フェンリル!』

黒猫さんの背中の毛が逆立った。

「大丈夫だよ」

ポチの頭を撫でてあげると、尻尾をブンブンと勢いよく振った。
黒猫さん、フェンリルを知っているのか。

「よろしくな!」
「よろしく」
『こ、こちらこそ、よろしくお願いいたす』

ポチは元の大きさよりも小さくなってもらっているが、それでも大型犬よりは大きいからなぁ。
まぁ、その内打ち解けるだろう。

「ナーブ、この種なんだけど」
「ん。これは、ハニーの種、だね。とっても甘い蜜が採れる樹になるよ」

蜜!そっちのハニーか!

「土でも水でも芽吹かないらしいんだけど、どうしたら良い?」
「土に魔力、必要。普通の土じゃ無理。でも、ここなら大丈夫」
「そっか。ここの土なら私の魔力が入っているから」
「ん」

ナーブがこくんと頷いた。
彼が言うなら、大丈夫だな。後で植えてみよう。

「ありがとう!」

二人と別れ、家に戻ってきた。

「他にも鍛冶場と神社があるけど、また追々ね」

あまり奥さんから離れるのは心配だろうしね。

『主は』
「ヒナで良いよ。ああ、自己紹介がまだだったね。私の名前は、ヒナ。一応、獣人。この浮島の主、かな。ここには冒険者やエルフのお婆さんや賢者なんかもいる。偶に古龍とか来るけど、クロのお母さんだから心配しないでね。魔王も来るけど、畑を手伝いに来てくれてるだけだから、安心して」
『はぁ・・・』
「あと、ここに閉じ込めるつもりはないよ。ここが合わないと思ったら、言ってね。さっきの町に戻る事も出来るし、他の住みやすそうな場所が良いなら探す事も出来るから」

黒猫さんは数秒目を閉じると、フルフルと頭を横に振った。

『きっとその日は、来ないでしょう』
「そう?」
『ヒナ様の温情、末代まで』

この子、本当に猫か?
そっと頭を撫でてみると、ゴロゴロと喉が鳴る音が聞こえてきた。

「そろそろ戻ろうか」
『はい』
「そうだ。さっきのご飯、どうだった?」
『とても美味でした』
「良かった」

美味しそうだったもんなぁ・・・っと、いかん!超えてはいけない一線だ!
自分の新たな一面に葛藤しながら、家へと戻った。
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