異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第百二十話 これだから、異世界は!

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第百二十話 これだから、異世界は!


出産ラッシュから数日が経ち、猫家族達も落ち着いて来た。

「随分慣れてるねぇ。それとも、本能的な感じ?」

母猫達が凄く手慣れている感じがして、思わず聞いてしまった。
動物は子供を産むと、子供を包む膜を舐めて綺麗にしたり、排せつを促したりと、何をすれば良いか分かっている。
誰に教えられるわけでもないのに、凄いんだよなぁ。

『私達は皆、初めてではないのです』
『私は七回目です』
『私は六回目です』
「ベテランママさんだったんだね!」

猫は発情期がある。
子供に乳をやっていると来ないらしいが、子猫の成長は早い。
失礼して猫達を鑑定してみると、皆十歳を超えていた。

『私はこの子達が最後と思っています』
『私もです』
『私も』

一度の出産が三匹だとして、七回‥‥二十一匹!

『残りの生は、主人と共にゆっくり過ごしたく思っております』
『そうだな』

黒猫さんが少し照れながら、奥さんの顔を舐めた。
ラブラブ~!
他の子達も幸せそうで、何より。
長居すると、飛んでるハートがクリティカルヒットして砂吐きそうだ。

「それじゃあ、必要な物があったらコマ達か私に言ってね!」

そう言って部屋を出た。
部屋の扉には猫用の扉も付けてあるので、出入りは自由。
母猫達が交代で散歩に出たりしている。
気分転換は必要だよね!

「ヒナしゃまぁ!」
「コマ。そんなに慌てて、どうしたの?」

猫家族の部屋を出ると、コマが廊下を走ってきた。

「はたけ!たいへん!」

こんなに慌てた様子のコマは初めてだ。
時間が惜しい。コマを抱き上げ、窓から飛び出た。

「何があったの!?」

急いで畑に向かうと、他の猫達が畑を前にして立ちすくんでいた。

「ヒナさま!だ‥‥」

だ?まさか、大魔王とか!?

「だいほうさくなのぉ~!」

だいほうさく?何?新種の魔王?
とりあえず、誰も怪我はしていないみたいだ。
ほっとして畑を見て、びっくり。
今朝見た時は、そろそろ実が生り始めるかなと言う頃だったのに、目の前の畑には既に収穫時期を迎えた野菜で埋め尽くされそうになっていた。

「これは‥‥」

土に異常はないし、肥料も変えていない。
何故?

「ヒナ」

首を傾げていると、ナーブがやって来た。

「冬に、来たでしょう?」
「冬に?ああ、白いフワフワ!」

冬の精霊だっけ。

「そう言えば、土地が肥沃になるって言ってたね」
「覚えていてくれたんだ。嬉しい」

ごめん、ついさっきまですっかり忘れてました。とは、口に出せません。

「あの白いフワフワのおかげで、大豊作になったと」
「そう」
「ならば、やる事は一つだね!」

畑作業用の服に着替えた。

「収穫するぞ~!」
「「「「「お~!」」」」」

縁側で大賢者と将棋をしていたエストと、昼寝をしていたジローを捕獲。
皆で大収穫となった。
キジの頭より大きい春キャベツや、コマの目よりも大きなトマト等、未だかつてない大豊作!
夕方近くまで掛かって収穫し終わり、それぞれ仕分けしている時だった。
何やらコソコソと話している二人。

「エスト、これ見てみろよ」
「は‥‥ぶふっ!」

図体のデカい男二人が、背中丸めてコソコソと‥‥。

「何やってるのかな?」

背後から声を掛けると、二人の背中がビクッとなった。

「い、いや~!これは」
「その、な」
「何を隠したの‥‥あぁ~」

コソコソとやるからバレるのにと思いつつ二人の見ている物を覗き込むと、そこには・・・セクシーな姿の様に見える大根があった。
成長過程で石に当たったりして、曲がったり二股に分かれたりする。
まるで人が足を組んでいるような形に見えたり、セクシーなポーズを取っている様に見える。根菜に多い。

「ヒナ、これは」
「ふっ‥‥甘いな」

私はそっと、ポーチからニンジンを取り出して二人に見せた。
そのニンジンは三股に分かれ、まるで疲れたおじさんが足を組み、何かに寄りかかっているように見えた。

「「ブフッ!」」

二人が噴き出した。
まったく‥子供なんだから。
それから暫く、変なポーズ野菜が島でブームとなったとか‥‥。





「フンフフ~ン」

箒にまたがり、空のお散歩‥‥と言うわけではない。箒で飛んではいるけど。
昨日、ツバキから遺跡を見つけたと教えてもらった。
箒で行ける距離だったので、今日は久しぶりにクロと二人でお出かけしている。

「キュ~!」

嬉しそうに私の隣を飛ぶクロ。

「確か、川の近くにあるって言ってたね。あ、あそこか」

森の中に、人工物っぽい物が見えた。
近くに川も流れている。

「クロ、行ってみよう」
「キュ!」

確実に人は住んでいないらしいので、そのまま降り立った。

「おぉ~」
「キュ~」

元々は小さな村だったらしいが、今は崩れかけた石造りの家っぽい建物に、蔦植物がはっている。
人が減って放棄されたか、魔物に襲われたか。崩れた感じを見ると、経年劣化と言うよりは壊された感じがする。

「住んでいた人達には申し訳ないけど、廃墟好きとしては、ちょっとワクワクするなぁ」

建物の中を覗いてみると、壊れた木製のテーブルや食器が床で埃を被っていた。

「あ‥‥」

村の奥、幾つもの石が等間隔に並べられていた。石にはそれぞれ名前が彫ってある。たぶん、お墓だ。綺麗なお花も供えられている。ん?花?その花はまだ生き生きとしていて、ついさっき摘んだ様に見える。
ここには誰も住んでいない‥‥はず。いや、きっと、昔住んでいた人が偶々お墓参りに来たとかだな。こんな森の中に?
その時、何かが聞こえた気がした。

「キュ?」

クロ聞こえたのか、キョロキョロと周りを見渡している。と言う事は、空耳じゃないのか。

「‥‥‥か」
「ひゅい⁉」
「キュ」
「だ‥‥‥か‥‥‥」

低い、男の人の声だ。

「キュ!」
「あ、クロ!」

クロが森の中へと飛んで行ってしまった。

「やれやれ。その好奇心の旺盛さは誰に似たんだか」

クロが飛んで行った方に歩いて行くと、川辺に出た。

「キュ!」
「うわぁ!お、俺なんて食っても美味くないぞ⁉」

クロが、生首と、喋っている。
地面の上に、ちょこんと置かれた(?)生首。いやいや、生首なら喋れないよね!きっと、首から下が地面に埋まっているんだな!って、どんな状況よ!

「おいおい!チビドラゴンの次は、猫の魔獣かよ!」
「誰が魔獣だ」
「喋った‥‥‥」
「いや、こっちの方がビックリですが。埋まっている理由とか聞いても良い?」

もしかしたら犯罪者かもしれないし。
そうでなくても、誰かの恨みを買って復讐されて‥‥かなりえげつない復讐の仕方だけど。

「ん?埋まってるって、何が?」
「その首の下」

顔だけだが、中年男性。人の恨みを買う様な人には見えないなぁ。

「埋まってないぞ」
「へ?」
「というか、それで困ってたんだ!さっき手を洗おうと思って川に来たんだが、足を滑らせちまってなぁ‥‥流された」
「はい?」
「身体が、流された」

なんてこったい。
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