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第百三十五話 くせになりそう
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第百三十五話 くせになりそう
「では、参ります。ふぉぉぉぉ!」
かき氷機のレバーを思い切り回すと、あっという間にフワっとしたかき氷が出来た。
「ふぅ‥‥さぁ、どんどん作るからね! あ、シロップはそこに置いてあるから」
アヌリとお出掛けしてから数日後、皆にかき氷を出しております。
用意したシロップは、イチゴ、メロン、マンゴー、抹茶にブドウ。全部島で採れた物で作った。勿論、ミルクも用意してある。モー実を煮詰めて作りました!
「氷ねぇ‥‥うわ、うまっ!」
「ふわっふわ!ん~、美味しい!」
ジローとキャロルは気に入ったみたいだが、あまりにガツガツ行ったので止めようとしたんだけど‥‥。
「「ぬ⁉」」
二人が揃ってこめかみを押さえた。
「あ~、急いで食べるとああなるから、気を付けてね」
「「もっと早く言ってよぉ」」
この二人、最近似て来たな‥‥。
「温かいお茶も用意してあるから、飲みながらね」
「ふむ、この抹茶が美味いのぉ。苦みと甘味が良い」
「ノナさん、それにミルク掛けても美味しいですよ」
「「「ふぉっふぉっふぉっ」」」
「美味いが、ちと冷えるの」
私も小さい頃、食べ過ぎてお腹壊した事あるな。ふむ‥‥夏、夏‥‥。
チリン、と縁側に吊るした風鈴が鳴った。平和だなぁ。
夏と言えば、スイカ、蚊、か‥‥いや、しりとりではなく‥‥う~ん。
幼い頃の夏と言えば、祖母が好きだった水饅頭だな。ふむ、水饅頭か。
流石にホームセンターでは売っていない。あんこを作る材料はあるが、くず粉かぁ。くず粉の原料である葛は簡単に育つが、中々に難しいと近所のお爺さんが言っていた。
くず粉の原料は葛の根っこ。その根っこは若いと、細く縦横無尽に広がるので、原料になる程までに肥大化となると、数年掛かるらしい。しかも、採れる冬には土から上は枯れているので、見つけるのも大変。見つけても、急斜面とかにあるので、掘り出すのも大変。
近所のお爺さんは自分の山で掘っていたらしいが、高齢で止めてしまったのだとか。
「葛かぁ」
「ありますよ」
「ふぉう! びっくりしたぁ」
セバスです。普通に出て来いってんだ!
「少々危険ですが」
「セバスが「危険」とか言うの、珍しいね。魔獣がいる山とか?」
「いいえ。この島にございます」
「え、マジ? 行く!」
と言う事で、次の日にセバスについてやって来ました。島の、端っこ。
「ここって、初めてセバスに会ったような‥‥?」
初めてこの島への扉を開いた時に繋がっていた場所に近い。
「はい。今でも昨日の様に思い出せます」
「いや、そこまで昔でもないしね」
片手の指でも余裕な年数ですよ。
「こちらです」
セバスが指したのは、崩れ掛けた地面の、斜面! 所々から太い根が出ている。
「葛って、ツルじゃなかったっけ?」
「まぁ、そうですね」
「これ、大樹だよね?」
太い根の上には、幹が物凄く太い樹。私が両手を広げても、抱えられない程ありそう。
「樹齢五百年くらいでしょうか」
「わぁ~お。ってか、上ふっさふさだけど、でんぷん取れるかなぁ」
確か、夏の間に光合成で蓄えた栄養分が、冬にでんぶんとして貯えられるとかなんとか‥‥。
「まぁ、行って来るね」
箒を取り出し、いざ! 根っこに近付くと、その太さがよく分かる。私の腕より太そう。
「それじゃあ、ちょっと失礼」
ナイフで根を少し傷付けると、白濁した汁が溢れてきた。これはでんぷんがたっぷり含まれている証拠なのだと、近所のお爺さんが教えてくれた。
「大丈夫そうだな。じゃあ、何本かもらいます!」
土が下に落ちて迷惑にならない様に大判の風呂敷を広げ、せり出している根っこに四方を括った。
「くっ‥‥このっ‥‥」
根の周りの土を取り除き、根を切り出してはアイテムポーチへと入れていく。普通はやらないらしいが、ここまでの大木となると何があるか分からないので、栄養剤と防腐剤を混ぜた樹用の薬を塗っておいた。
「こんなもんかな」
掘り出したのは、全部で五本。少ないと思われるかもしれないが、一本一本が直径三十センチ以上あるのだ。
「ただいまっと」
「お帰りなさいませ」
無事、着地。
「そう言えば、危険って言ってたけど‥‥何もなかったね」
「ヒナ様」
「ん?」
「空に浮く島。崩れかけている斜面。そこからせり出した根。それを切る。普通は、危険です」
「‥‥‥さぁ、戻るぞぉ!」
普通なんて、人それぞれさ!
*
作業場へ直行すると、先ずは根っこを綺麗にして、粉砕。
本当は洗うだけでも大変な作業だが、この世界は超便利。クリーンの魔法で綺麗にしたら、適度な大きさに切って潰していく。切り刻むと言うよりは、繊維状になるまで解すって感じだ。
「お隣のお爺ちゃん、ありがとう!」
暇な時にお茶を飲みに来ては、色々教えてくれた。
大きな樽を用意し、水を半分程入れる。樽の上に板を置く。
解した葛を分けて布袋に入れ、板の上で水を含ませてやさ~しく、揉む。
「なんか‥‥ふみふみしてるみたいだな」
子猫の時によく見られる、アレだ。みぎ~、ひだり~、みぎ~、ひだり~。あれって確か、母猫の乳を飲む時にやるんだよね。いやぁ、うん。ちょっとくせになりそう。
「おっと、いかん、いかん」
白い水が出なくなったら次の袋に変えて、またふみふみを繰り返す。
全部終わったら、樽を涼しい場所に一晩置く。すると、白いでんぷんと茶色い水に分離される。茶色い水を捨て、新しい水を入れて混ぜる。
「うわっ、泡が出て来た」
これはアクらしく、全部綺麗に掬い取る。それが終わればまた一晩置く。これを一週間以上繰り返すのだが、ここは魔法の世界。要は、でんぷんを洗って分離してを繰り返せば良いんだよね。
「重力操作」
樽の水に圧を掛け、でんぷんだけを樽の下へと押す。最初の水よりは、少し薄い茶色になった。水を代えてまた混ぜ、魔法で沈殿させる。これを五回程繰り返すと、分離される水が無色透明な水になった。
後は残った真っ白のでんぷんを取り出し、完全乾燥。石鹸程の大きさに切り分ければ、出来上がり! って、これを魔法どころか機械も無しで作るとか、凄いとしか言えない。
「美味しい水饅頭を作るぞ!」
「では、参ります。ふぉぉぉぉ!」
かき氷機のレバーを思い切り回すと、あっという間にフワっとしたかき氷が出来た。
「ふぅ‥‥さぁ、どんどん作るからね! あ、シロップはそこに置いてあるから」
アヌリとお出掛けしてから数日後、皆にかき氷を出しております。
用意したシロップは、イチゴ、メロン、マンゴー、抹茶にブドウ。全部島で採れた物で作った。勿論、ミルクも用意してある。モー実を煮詰めて作りました!
「氷ねぇ‥‥うわ、うまっ!」
「ふわっふわ!ん~、美味しい!」
ジローとキャロルは気に入ったみたいだが、あまりにガツガツ行ったので止めようとしたんだけど‥‥。
「「ぬ⁉」」
二人が揃ってこめかみを押さえた。
「あ~、急いで食べるとああなるから、気を付けてね」
「「もっと早く言ってよぉ」」
この二人、最近似て来たな‥‥。
「温かいお茶も用意してあるから、飲みながらね」
「ふむ、この抹茶が美味いのぉ。苦みと甘味が良い」
「ノナさん、それにミルク掛けても美味しいですよ」
「「「ふぉっふぉっふぉっ」」」
「美味いが、ちと冷えるの」
私も小さい頃、食べ過ぎてお腹壊した事あるな。ふむ‥‥夏、夏‥‥。
チリン、と縁側に吊るした風鈴が鳴った。平和だなぁ。
夏と言えば、スイカ、蚊、か‥‥いや、しりとりではなく‥‥う~ん。
幼い頃の夏と言えば、祖母が好きだった水饅頭だな。ふむ、水饅頭か。
流石にホームセンターでは売っていない。あんこを作る材料はあるが、くず粉かぁ。くず粉の原料である葛は簡単に育つが、中々に難しいと近所のお爺さんが言っていた。
くず粉の原料は葛の根っこ。その根っこは若いと、細く縦横無尽に広がるので、原料になる程までに肥大化となると、数年掛かるらしい。しかも、採れる冬には土から上は枯れているので、見つけるのも大変。見つけても、急斜面とかにあるので、掘り出すのも大変。
近所のお爺さんは自分の山で掘っていたらしいが、高齢で止めてしまったのだとか。
「葛かぁ」
「ありますよ」
「ふぉう! びっくりしたぁ」
セバスです。普通に出て来いってんだ!
「少々危険ですが」
「セバスが「危険」とか言うの、珍しいね。魔獣がいる山とか?」
「いいえ。この島にございます」
「え、マジ? 行く!」
と言う事で、次の日にセバスについてやって来ました。島の、端っこ。
「ここって、初めてセバスに会ったような‥‥?」
初めてこの島への扉を開いた時に繋がっていた場所に近い。
「はい。今でも昨日の様に思い出せます」
「いや、そこまで昔でもないしね」
片手の指でも余裕な年数ですよ。
「こちらです」
セバスが指したのは、崩れ掛けた地面の、斜面! 所々から太い根が出ている。
「葛って、ツルじゃなかったっけ?」
「まぁ、そうですね」
「これ、大樹だよね?」
太い根の上には、幹が物凄く太い樹。私が両手を広げても、抱えられない程ありそう。
「樹齢五百年くらいでしょうか」
「わぁ~お。ってか、上ふっさふさだけど、でんぷん取れるかなぁ」
確か、夏の間に光合成で蓄えた栄養分が、冬にでんぶんとして貯えられるとかなんとか‥‥。
「まぁ、行って来るね」
箒を取り出し、いざ! 根っこに近付くと、その太さがよく分かる。私の腕より太そう。
「それじゃあ、ちょっと失礼」
ナイフで根を少し傷付けると、白濁した汁が溢れてきた。これはでんぷんがたっぷり含まれている証拠なのだと、近所のお爺さんが教えてくれた。
「大丈夫そうだな。じゃあ、何本かもらいます!」
土が下に落ちて迷惑にならない様に大判の風呂敷を広げ、せり出している根っこに四方を括った。
「くっ‥‥このっ‥‥」
根の周りの土を取り除き、根を切り出してはアイテムポーチへと入れていく。普通はやらないらしいが、ここまでの大木となると何があるか分からないので、栄養剤と防腐剤を混ぜた樹用の薬を塗っておいた。
「こんなもんかな」
掘り出したのは、全部で五本。少ないと思われるかもしれないが、一本一本が直径三十センチ以上あるのだ。
「ただいまっと」
「お帰りなさいませ」
無事、着地。
「そう言えば、危険って言ってたけど‥‥何もなかったね」
「ヒナ様」
「ん?」
「空に浮く島。崩れかけている斜面。そこからせり出した根。それを切る。普通は、危険です」
「‥‥‥さぁ、戻るぞぉ!」
普通なんて、人それぞれさ!
*
作業場へ直行すると、先ずは根っこを綺麗にして、粉砕。
本当は洗うだけでも大変な作業だが、この世界は超便利。クリーンの魔法で綺麗にしたら、適度な大きさに切って潰していく。切り刻むと言うよりは、繊維状になるまで解すって感じだ。
「お隣のお爺ちゃん、ありがとう!」
暇な時にお茶を飲みに来ては、色々教えてくれた。
大きな樽を用意し、水を半分程入れる。樽の上に板を置く。
解した葛を分けて布袋に入れ、板の上で水を含ませてやさ~しく、揉む。
「なんか‥‥ふみふみしてるみたいだな」
子猫の時によく見られる、アレだ。みぎ~、ひだり~、みぎ~、ひだり~。あれって確か、母猫の乳を飲む時にやるんだよね。いやぁ、うん。ちょっとくせになりそう。
「おっと、いかん、いかん」
白い水が出なくなったら次の袋に変えて、またふみふみを繰り返す。
全部終わったら、樽を涼しい場所に一晩置く。すると、白いでんぷんと茶色い水に分離される。茶色い水を捨て、新しい水を入れて混ぜる。
「うわっ、泡が出て来た」
これはアクらしく、全部綺麗に掬い取る。それが終わればまた一晩置く。これを一週間以上繰り返すのだが、ここは魔法の世界。要は、でんぷんを洗って分離してを繰り返せば良いんだよね。
「重力操作」
樽の水に圧を掛け、でんぷんだけを樽の下へと押す。最初の水よりは、少し薄い茶色になった。水を代えてまた混ぜ、魔法で沈殿させる。これを五回程繰り返すと、分離される水が無色透明な水になった。
後は残った真っ白のでんぷんを取り出し、完全乾燥。石鹸程の大きさに切り分ければ、出来上がり! って、これを魔法どころか機械も無しで作るとか、凄いとしか言えない。
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