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二人の戦い

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「私達はこの街を守ることが最大の使命なのよ、本来の使命を忘れないで」

 真剣な表情で青葉が語りかける。

 そして青葉とルトは周りの冒険者の救護へ向かうため戦線を一時離脱する。
 シーホースと戦うのはとうとうイレーナと幸一の二人になった。

「──」

 シーホースと対峙する幸一とイレーナ。
 二人は魔力を補てんするために再び手をつなぐ。

 その行為にほんのりと顔を赤くする二人。すぐに互いを見つめ合う
 その中で幸一が話しかける

「ちょっと俺に策があるんだけどいいかな?」

「何?」

 そしてイレーナに急接近し耳元で話し始める。

「──うぅ……」

 その行為にイレーナの表情がこわばりフリーズし、顔がリンゴのように真っ赤になる。

「お、お、お、落ち着けイレーナ。魔力を補てんするためだ!! じゃあ作戦を話すぞ──」

 ひそひそとした声色でイレーナに作戦を話す。

「──っていうのはどうだ?」

「う、う、う、うん。いいかも──」

 そして作戦を話し終えると二人はつないでいた手を離し、シーホースを見つめる。

 まず動いたのはイレーナだった。一度シーホースをじっと見つめると一気に間合いを詰めていく。
 そしてその槍でシーホース相手に攻撃を仕掛ける。

「イレーナが仕掛けるの?」

 見ていた青葉がその行動に驚いて言葉を漏らす。隣にいたサラも続いて囁く。


「私の予想ではシーホースの相手は遠距離攻撃に対応できる幸君が中心になると予想していたのですが」

 サラの中に疑問点が生まれる、確かに障壁を破るなら近距離戦闘しかできないイレーナより遠くから威力の強い攻撃ができる幸一の方がいい。しかし今最初に突撃したのは幸一ではなくイレーナであった。

「うああああああああああああああああああああ」

 事実イレーナがどれだけ攻撃してもシーホースに有効打を与えることは出来ていない。


 それでもイレーナは構うことなく連続で斬撃をつなげていく。
 しかしイレーナの攻撃はすべて障壁に弾かれてしまう。

「イレーナ、お前なら出来る──」

 幸一はそう念じながらイレーナが攻撃している姿を見ていた。
 すると、今度はシーホースが攻撃に出る。


 シーホースが攻撃に転じようと腕を振り上げようとする。すると──。

「今だ!!」

 幸一が叫ぶ、するとイレーナは足に魔力を込め始め一気にシーホースに向かって突進する。
 魔力を足に込め踏み込んだ形になり通常の十倍近くの速さになる。

 その予想しなかった攻撃にシーホースはすぐに攻撃をやめ、急いで障壁を張ろうとする。

 しかしイレーナはそれでも進むのをやめない
 イレーナは槍の先端に魔力を集中させる。


 そして──。


 時空をつかさどる力、闇に立ち向かう勇気となりて、力なきものへ、希望となる力を!!
 ユリシーズ・リミテット・スラッシャー


 イレーナの渾身の術式、魔力を槍の一点に集中させ最高の威力で障壁に突撃する。すると──

 カチッ──。

 障壁にひびが入る。周りがざわめきだし歓喜の声が上がる。

「やった、ヒビが入った」

「イレーナさん、流石です」

 サラも思わず囁く。

「これならいけそう」

 しかし完全に障壁を破壊するには至らず彼女の体は障壁に衝突し落下する、その瞬間イレーナが叫ぶ。

「幸君、今!! いっけぇぇぇ!!」

「わかったぜ!!」

 後方で待っていた幸一が剣に魔力を込め術式を放つ。

      願いをとどかせし光、逆縁を乗り越え、踏み越える力現出せよ
          バーニング・ブレイブ・ネレイデス


 青い炎が幸一のエクスカリバーから出現し魔力を大幅に込めた強力な一撃が障壁に衝突、そして──。


 この場を包み込むような大爆発が起こる。


 ガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン




 とうとう障壁が音を立てて崩壊。障壁がガラスだったかのように割れて崩壊する。


「幸君、やるじゃん!!」

 思わず青葉がガッツポーズをして叫び周囲がざわめきだす。
 周りは明らかにイケイケムードになっていく。

「これ、行けるんじゃね?」

「幸一君、魔獣をやっつけちゃえーー」



 幸一は手を緩めずにさらに追撃をする。

(もう一回、今度はさっきより強く──)

       願いをとどかせし光、逆縁を乗り越え、踏み越える力現出せよ
           バーニング・ブレイブ・ネレイデス

 先ほどと同じ術式。しかしさっきより倍近くの魔力を込めて術式を解き放つ。

 障壁が無い今、幸一の攻撃は直接シーホースに向かっていく。

 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!

 そして幸一の放った攻撃がシーホースに直撃。大きい爆発音がこの場に鳴り響く。
 それを見た他の冒険者が叫ぶ。

「すごい、直撃したわ!!」



「とうとう直撃したわ。ダメージは──、どれくらい与えられたかしら??」

 青葉がシーホースを見ながらそう囁くと爆発で生じた煙が徐々に晴れていく。
 そこで皆が見た光景は──。







「やっぱりまだ息があるわ──」

 大分ダメージは受けているもののまだまだ十分戦えると言った状況だった。

 グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

 シーホースが天に向かって雄たけびを上げると今度はシーホースの反撃が始まる

 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーー

 口に中に赤い光が集約し、膨張。
 次の瞬間甲高い発射音と共に口から、巨大な光弾が全てを引き裂くかのような速度で発射される。

 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
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