料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子

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第1章 揚げ出し鶏と淡い恋 料理屋「〇」黎明編1

エールとから揚げとライムの香り5

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「 いらっしゃいませー」
「いらっしゃいませだにゃー」

もう8組目だ・・・

いつもお客様が来ない事を嘆いていたが…一体何事か…という程に今日はお客様が来ている

パタパタと一生懸命に料理とエールを運んでいたミャオが厨房に駆け込んで
「にゃー…今日は昨日と違って凄いにゃ…みんなから揚げとエールが目当てみたいだにゃ…」
「とりあえず水分補給してもう少し頑張ろうな!」
「ゴクゴク…ミャオ頑張るにゃ!」小さく握りこぶしを2つ小脇に掲げ…ミャオはホールに出ていく

お客様が言う「おねーさん、から揚げとエールおかわりねー」
他のテーブルのお客様も「こっちもお願いねー」

「はいニャー♡」
ミャオも頑張っている

俺も久しぶりに汗をかいてひたすら油と格闘していた
しかしこのから揚げ祭り…まさか昨日の…リナさんが?

とか思っていたら…

「いらっしゃいませにゃ♡・・・あっリナさんだにゃ!昨日に続きありがとにゃ♡」
「昨日は御馳走様!あんまり美味しかったからまた来ちゃったよ…と思ったけどこれは凄いね!」
見渡すとほとんどの席が埋まっている…空いてたカウンターに案内され座る

少し厳つい感じのお客様がリナさんの来店に気づくと
「おぅリナじゃねぇか…お前さんがとんでもなく旨え店があるってギルドで言ってるから気になって仲間と来ちまったぜ」
「あっ…ジンさんwさすが今一番勢いのあるBランクパーティー『銀狼の牙』の皆さんね・・・抜け目がないなー」
「よせやい・・・あんたんとこのパーティーには敵わないぜ…しかし、本当に旨い!」
「から揚げは食べた?」
「当り前よ!!もう5皿は食っちまったな!ガハハハッ」
「あたしの分残ってるかな・・・?」困った顔で笑っているリナさんに

「大丈夫ですよ!まだあります!」
「エールもすごい飲んでくれてるにゃー♡リナさんもエールかにゃ?」
「あぁ頼むよ!から揚げと…野菜料理も忘れずにな!」
「はいニャー♡」「はいよw」ミャオと同時にオーダーを承る

どうやらリナさんは高ランクの有名なパーティーのメンバーらしく慕われてる高名な冒険者だったのだ
昨日の今日でうちの宣伝をしてくれた途端に他の冒険者の人たちが来店してくれたというわけで…

実にありがたい!!本当にリナさんには感謝感謝だ!!

「うーん♡やっぱここのエールは美味しいわ♡」
リナさんにお通しとエールをはこぶと直ぐに飲み干す勢いで飲み始めた…ジンさんも隣に腰掛け話をしている
「冷えたエールがこんなに飲みやすいとはなw俺たちもいろんな飯屋に行ったが…疲れた体に染みわたるうまさだな」
「お通しも珍しいわよね・・・今日は何だろう…少しゴリゴリの歯ごたえだが、実に酒がすすむw」

「今日のお通しはウッドバードの砂肝の塩ペッパタレ炒めですね!」俺はから揚げを出しながら説明し
「お待たせしましたサラダとから揚げです・・・から揚げはライムもついてますが、サービスで甘辛タレもつけました」

「来た来た♡最高ー♡」
すぐに熱々のから揚げにライムを絞り始め、から揚げを食べエールを飲み干すと甘辛タレバージョンも一口食べる

「凄いわね!から揚げって凄い奥深いわ!このタレで食べるとさらにエールが美味しくなる!」リナさんはべた褒め

すかさずジンさんが
「おいおいマスター俺たちにもその甘辛タレのやつくれよぉぉ!!教えてくれないのは罪だぜぇ」

「これは失礼しました!リナさんは2度目の来店でしたのでついサービスしちゃいましたw」

「じゃあ次は俺たちも来たらサービス頼むぜ!これからいっぱい飲みに来るからな!気に入ったよ」

「これはウッドバードをまた仕入れなきゃいけないですね・・・」俺がつぶやくとリナさんが

「うちのパーティでも今度ウッドバード見つけたら狩って来ようかな・・・マスターに卸してサービスしてもらお♡」
「そりゃいいや!」ガハハハッとジンさんと楽しそうに話している

喜んでもらえて非常に嬉しいが・・・

「そしたら料理屋じゃなくから揚げ屋さんになっちゃうな…」俺が苦笑いしていると
「ウッドバードも今頃引っ越しの相談しているにゃ♡」

「違えねえな!」ガハハハッとジンさんの笑い声が店に響きお店はさらに賑わいを増すのであった



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