料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子

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第3章 咲き誇る竜花と大龍の意志 料理屋「○」拡大成長編1

レジェンド達のエクササイズ〜美容と美食と美酒の宴〜3

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土曜日の夜、リナ、ジーク、バッツ、リュカ、ティグ、シルバーの6人は奥の小上がりで料理を待っていた・・・

ティグさんは律儀に日本酒を持参してくれて、嬉しい事に3本と、どうやら焼酎らしき酒も3本持って来てくれたので俺はテンション爆上がり!今日は張り切って作ってご馳走を喜んでもらおう

「お待たせしてすいません!今日の料理はすっぽん料理がメインになりますので、是非楽しんで明日のクエストに向けて力をつけて頂きたいです」

「わぁ初めて聞きます・・・すっぽん料理ってなんですか?」
リュカさん以外の人には食材までは言ってない

「とりあえず先入観なしで食べて頂きたいので食材は最後に教えますね」

・・・俺はニコニコして説明すると皆んなは楽しみが増したのか、ワクワクしながら笑顔になる
リュカさんは食材の中味を知っている為か1人だけ澄ました神妙な顔をしている

今日はコースメニューをわざわざ紙に書いて作ったので、皆んなの見える所に置いておく
やはり特別感が出る

まずはこちらをどうぞ!
すっぽんの串焼き、唐揚げ、玉子豆腐です

「わぁ、凄い綺麗な料理!」

驚くのも無理はない
実はすでに昨日迄にモノタ=ロウさんから和食に合いそうな異国の鍋や皿や籠、飾物、箸置きや綺麗な塗り箸を沢山買っちゃっていたので、明らかに今までと違う華やかな雰囲気の料理も出来るようになっていた

串焼きは綺麗に3点盛りにして中央に、小さめの籠に天紙を引き、唐揚げを乗せる
ガラス製の器に入った玉子豆腐はすっぽん出汁と玉子で蒸した一品、
それに海老の赤とエンドウの緑を乗せて、トロミをつけた薄口のすっぽん餡をかけて完成

実にテーブルの上が映える
皆も料理自体の美しさと綺麗な盛り付けに感動している

「こんなの宮廷でも見た事も食べた事ないですよ・・・」
「マスター・・・ちょっと気合い入り過ぎじゃないか?」
「めちゃくちゃ美味そうだけど、高そうー」

「まぁまぁ細かい事は気にせず食べて下さい・・・その為に作ったので!」

「では遠慮なく・・・」
ティグさんが先陣を切って串焼きを食べる
皆は反応を見る為かティグさんを観ている
ティグさんはみるみる笑顔溢れ

「・・・これは美味いぃ!マスターの料理は全部間違いないけど、別格だなあ!おい」

「ありがとうございます!」

・・・皆んなもそれを見て安心したのか次々と食べ始め笑顔が増えていく

「この玉子豆腐・・・すっぽんの出汁が
効いてて餡とも相性抜群ですねー」
「唐揚げもプリプリして美味しい、ウッドバードのから揚げとは全く別物なんですね・・・あっちも好きだけど、これも大好きになりそう」

・・・皆んな興奮しながら上機嫌だ
リュカさんもやけに静かだけど美味しく食べて満足しているようだ・・・凄く静かに興奮しながら噛み締めててなんか怖いけど・・・

「次はすっぽんの天麩羅です、塩かツユにつけてどうぞ・・・食べてる間にお鍋の準備もしちゃいますね、失礼します」

「ハァン・・・天麩羅も美味しい・・・同じ揚げ物でも全く違う感触で・・・ツユ最高」
「いや塩で食べるのもザクザク感が残って美味いですよー」

・・・塩派かツユ派の論争も起きているから楽しんで貰えているようだ

「ずっとここで食べて呑んで暮らしたい・・・」
シルバーさんは余程仕事のストレスが凄いのか、顔色も変えずにひたすら飲みながら料理を味わっている

「鍋は具材に火が通ったら食べれるのでポン酢やタレでお召し上がり下さい・・・最後に出汁で雑炊も作るので、出汁は少し残しておいてくださいね」

・・・皆の視線が鍋に集中している

待ちきれない餌を待つツバメの雛達みたいで思わずクスッと笑う

鍋の蓋から良い匂いが漏れる
間もなく蒸気が溢れて蓋がカタカタ言っている
「完成です!蓋を開けます」

・・・蓋を開けると蒸気がモワッと上に立ち上がり、さらに美味そうな匂いが立ち広がる

「わぁ!!」

・・・歓声が上がるほど観ていても楽しいようだ
この国は本当に料理を食べる事の楽しみ方を忘れてしまった国だとはいえ、こうやって皆んなで食べるとやはり心は喜ぶモノなのだと再認識した

「すっぽんの鍋は凄くプルプルですね」

「そうなんです!このプルプルがコラーゲンという成分を含んでいるので、めちゃくちゃ肌に良いです、というかすっぽん自体が物凄い栄養価の高い健康食品だし、完全美容食材ですね」

・・・完全美容食材と聞いた女性陣の動きと勢いはとても早くバッツとジークは乗り遅れたようで

「おいおい俺とジーク一切れずつしか食えてねぇぞ」

「そこは4人の美女に囲まれているのだから我慢して下さいね」
シルバーさんの笑顔にバッツさんは諦めたようだ

こっそりリナさんはジークさんに一切れ恥ずかしそうにあーんしている
・・・ジークさんも恥ずかしそうに笑顔で食べる
「おい?ちゃっかり熱々な事してんじゃねぇ・・・羨まし過ぎて堪んないんだが」

ティグさんに突っ込まれて2人はさらに頬を染める
・・・可愛い2人だ
少しだけ後押ししようかな

「皆さんお酒飲まれますよね?苦手な人います?」
「あっ俺あんまり飲めないんだよ・・・」
意外にもティグさんが手を上げる

「分かりました!他の人は大丈夫ですね?」

・・・俺は貰った日本酒と浄化した生き血を混ぜた飲み物を5人に、ティグさんにはジュースでだす

「これは苦手な人もいるので無理にとは言いませんが、生き血を使った料理です、もちろんこれも美容に良いし、男性の精力剤としても使われる栄養価の高い飲み物です」

「生き血・・・でも美容に良いなら試してみます」
「さすがに俺でも生き血は飲んだ事ないぜ」
「・・・精力剤・・・」

皆んなが一斉に生き血を飲み干す

「これが料理って言うんだから凄いよな」
「何だかジワジワ身体が火照る感じがする・・・」

「身体には良い物ですので、じっくり効いてくると思います・・・では締めの雑炊に行きます」

俺は残しておいた出汁を使い雑炊をつくり皆さんに振る舞う

「すき焼きの時も雑炊は美味しかったけど、すっぽんの雑炊は出汁が濃厚で奥深いからまた美味しいですね」
「すっぽんを丸ごと食べているような錯覚してしまうね」
「いやぁこんな豪勢な決起会は凄いな!毎回やりたいくらいだよー」

「皆さん本当に満足頂けたようで本当にこちらも嬉しい限りです・・・明日もよろしくお願いしますね」

「おう任せてくれよマスター!」
「食った分はしっかり働きますよ!」
「終わったらまたすっぽん食べたいくらいだよ」
「しかし・・・今更だけどすっぽんって何なんだい?」
「私も商人としてそれなりに知識は有りましたが初めて聞きましたよ?」

「あー答えは亀ですよ・・・亀」

「亀ってどこで買ったんですか?」
「いや買ってないです・・・獲ってきましよ」
「どこで?」
「山岳ダンジョンの奥の方です」

「・・・ん?山岳ダンジョンの奥の方・・・?」

「マスター・・・まさか・・・その亀って甲羅になんか着いて無かった・・・?」

「あーそれは取って有ります、鍋には入って無いですよ」

「いや、そこじゃなくて・・・その着いてた物って・・・まさか・・・」

「あーミスリルですね」

「???」
ほぼ全員ポカンとしてる

・・・ここで初めてリュカさんが口を開き、
「ミスリルタートルじゃよ」

「えええええ??!!!」

「ミスリルタートルの鍋じゃ!お前たちの腹に入ったのはおそらく時価白金貨10枚は超える大物じゃぞ・・・明日、どれだけの働きで返さなきゃいかんのかのう?楽しみじゃわ」

リュカさんは皆んなの驚愕した顔を見て今日一番の笑顔で喜んでいる

・・・時価1,000万?そんなにこっちでは価値があるのか?でも多分ミスリルが高いんだろうな・・・

リュカさんの少し意地悪なドッキリに皆んな恐れ慄いてる

「ミスリルタートルを食べるなんて・・・」
「白金貨10枚アワワワ」
「信じらんねぇ」
「俺はマスターに足を向けて寝れねー」
「一体いくら払えば良いんですか・・・?」

「大丈夫です・・・いつも通りの飲んだ金額だけで!すっぽんは試食の意味もあったのでサービスですよ」

「いやいやいや、それは有難いけど・・・マスター心臓に悪いからそういうのは早めに言ってくれよー」

「どうじゃ、いつも儂がマスターに驚かされとるのを経験してみて・・・規格外じゃろう?」

「マスター今度何かしらやる時は必ず先に確認取って下さいね」

「・・・はい・・・自重します」

皆んなが俺に半ば呆れたような笑顔になる
・・・うーむ自重って言ったけど難しいかもなーとりあえずいつも通り頑張ろう
俺は明日に向けて気持ちを整えるのであった


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