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3章

【閑話】真夏の聖地は地獄なのか天国なのか②

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ハーフエルフになった日暮お姉様と手を繋ぎ、更衣室から外への扉を開ければ真夏の日差しが私達の身体を包みこんだ。



「あっ…暑い…」


「本当だね…地面も照り返しで灼熱の暑さ…」




因みに私もお姉様も小心者の為、この衣装を着た姿でどっちが先に外に出るかで少し揉めた。そして出した結論が手を繋ぎ同時に外に出ようと結論を出した。

二人同時なら注目されるのも二分割されるのではとは何の根拠もない考えにいたった。


ドキドキしながらコスプレさんの聖地広場に向かえばお仲間が沢山でまったく浮いてない私達、逆に地味なのでは…?お手々を繋いで沢山のレイヤーさん達を見渡せばあまりの美しくさと精巧な衣装に魅力される。




「あかりちゃんこの衣装露出が激しいと思っていたの…でも此処では地味なのかも…」



大きく目を見開いた日暮お姉様は忙しく周りを見渡す。キョロキョロするお姉様に負けず劣らず私も沢山のコスプレイヤーに涎が溢れそうになるのを必死に抑えていた。



「なんだか私もそんな気がしてきました。私のメイド服は谷間がみえスカートだって短くて不安だったのですが…他の女神様方の腰のスリットの攻め方、歩いてるだけで太腿が丸見えでお美しいおみ足チラチラと眺め放題です…ハァハァ…そうかこれがピヨ男さんが言っておられたチ・ラ・リ・ズ・ム・くっはぁ~」




「あ…あかりちゃん…なんでそんなに呼吸が荒々しいの…」


「だってお姉様チラリズムですよ!チラチラ見えそうで見えないチラリズム~♪」



私のテンションがどんどん上がり、お姉様と向かい合い両手を握ってブンブン振るって喜ぶ。

このまま二人でダンスでも踊ってしまおうか♪

あちらに居るのはゲームキャラかしら、あちらは刀剣乱◯の男装さんなんとお美しい眼福です、すごいお目目にこれほどかというぐらい目の保養でございます。




「すみませーーん!!エミリ◯たんと、◯ムたんこっちに目線お願いしま~す!!」



なにやら私達の近くで同じキャラにコスプレされた方が居るみたいだ。キョロキョロ周りを見渡すが、カメラを構えた男性が私達を見てるだけ…

あれ?何処にいるだろう?向い合わせでお姉様の両手を相変わらず握りながらキョトンとすれば、カシャカシャとシャッター音が聞こえる!?

声かけた方は1人だったのに撮影してる方々は2~3人居て私達を撮影されている!?



「あ…あか…あかりちゃん私達なんだか撮影されてるよ…」


「そう…みたいですね…」



小心者の二人は驚きの余りビクビクと脅える。

どんどん向い合わせた二人の身体はお互いを守る様に近付いて、ピタリとくっつけばチビッ子な私はお姉様にハグされていた。



「うわぁぁ~エミリ◯たんとレ◯たんの百合ポーズきたぁぁぁ!こっちこっちもっと目線お願いします!」



プルプル脅える私達を余所にカメラ小僧達が興奮しながら何か言ってる。

恥ずかしくて恥ずかしくて私達は確実に涙目で赤面してる、一瞬カメラ小僧達を見て慌ててお姉様の方に目を戻す。

お姉様もオロオロしながらも私を抱き締めてくれながら脅える。一瞬でも撮影する方々を見れば恐ろしいほどシャッター音が聞こえて、そちらを見れない…



「レ◯たんもっとエミリ◯たんの胸に埋まる感じで…うわぁ~涙目でエッロ…」



何を要求してるだ!!

ジリジリ二人で後退してもカメラ小僧達も私達にジリジリ前進してくる、それも先程までは立っていたのにいつの間にか膝立ちでカメラ構えてるぞ…


おやおやおや…


まさか貴様らお姉様を見上げる形で撮影しようとしてるのか…オイオイ1人膝立ちから匍匐前進ほふくぜんしんでもするのかな、灼熱のアスファルトによく身を伏せられたな…感心はするが



イラッ!!


その体制で撮影されたら…!!



「お姉様下がって!!」


「えっ!?あかりちゃん…?」



お姉様を私の背後に隠し、私はカメラ小僧達に仁王立ちする。


コスプレイヤー撮影の注意事項をお前らは知らんのか!!

・多人数の撮影者で取り囲む

・ポーズの強要

・極端なローアングルからの撮影

・胸やお尻、局部などをアップで撮影

これらの事は禁止事項なのだ、見てからの素人丸出しの私達にコイツらはパンチラ撮影でもする気だったんだ。


片手に密かに握り締めていた武器をブンブン頭の上で廻す。ママ作成鎖付き棘鉄球が此処で火を吹くとは予想外だったが、私のお姉様を卑猥な目線を送る輩に容赦などしない



「お前らぁぁぁぁ!!撮影許可してないだろぉぉ!それもどんなアングルで撮影しようとしてるんだぁぁぁ!!」


「やっべぇぇ…バレた…」



先程までグイグイ前進してきた痴漢共が戸惑い動きが止まった



「オッイ!騒がられると厄介だ!チビッ子は放っておけ、エミリ◯たんだけ拉致って別の場所いくぞ!!」


「そうだな…!!」



匍匐前進野郎と膝立ち野郎が一斉に立ち上がり三人ががりで私達に向かってくる。

ヤバい…威勢よく喚き散らしたが、私は只のチビッ子なモブ娘だった。さすがに野郎三人に勝てる見込みなんてあるわけないじゃないか、一生懸命私のモーニングスターを投げつけて妨害するがしょせん中身はサッカーボールたいしたダメージを与えられない。



ヤバいお姉様が痴漢野郎達に拉致られちゃう…

どんどん会場の壁際まで追い詰められてる…

私の背後で脅えてプルプル振るえるお姉様



誰かぁぁぁ助けてぇぇぇ…



「お゛い!!」



白い影が私の目の前を横切ったと思ったら、艶やかな赤毛の紳士がお姉様を守る様に立ち塞がる。



「そこまでだ…俺の可愛い真由にお前ら何か用かぁぁぁぁ!!」



さすが体育会系男子、怒鳴り声が大きくよく響き渡る。それも卑怯だ地毛かよ悔しいがすごく似合ってる。赤ピヨさんめ完全チートじゃないかラインハル◯様が似合いすぎてる、そして登場の仕方がかっこよすぎるよ!私だってついついその勇ましい登場に見惚れてしまうじゃないか…


愛しいの騎士様の登場にお姉様は安堵し、赤ピヨさんの背後から抱きついている。



「達也君…達也君…」


「真由遅くなってごめんな…もぉ~大丈夫だから、怖かったな怖かったな」



これで大丈夫…本当よかった…


ホッと肩の力が抜けた痴漢カメラ小僧達はラインハ◯様の登場で慌てて逃げ出した、赤ピヨさんの威嚇の怒鳴り声は周りの方々の注目浴びてるし奴らもこれ以上悪さは出来ないだろう。




「真由この衣装すごく可愛いけど…ダメだろ布地が少な過ぎだし、胸元も足だってそんな大胆で…真由って元々色白だけど胸元はもっと白いんだな…てててて目のやり場に困るだろ…」


「達也くん…達也くん…でも…あの…」


「真由がカインや小野に協調したい気持ちもわかるけど…帰ったら色々とお話合いだからね。」



いやいや…私も嫌嫌コスプレする事になってるんですが…

でも赤ピヨさん貴方お姉様に抱き付かれて、すごく幸せそうな顔してるじゃない。うわぁ~嬉しいそう満面の笑みでデレデレじゃない役得だなぁ~とか思ってるでしょ、このムッツリスケベめ!!



「あかりん…頑張ったね!」


「ピヨ男さん遅いです…」


「ごめんね…更衣室出た途端に、なんだか知らない人々に囲まれて一緒に撮影して欲しいと頼まれ赤井と共に身動きがとれなかった。でもあかりんの『お前らぁぁぁぁ』て怒鳴り声が聞こえて慌てて駆けつけたんだよ…」


「私だって…私だって…怖かったんですから…」



少し怒りながらピヨ男さんに振り返れば、黒髪の目付きの悪い男性がいる。

それもジャージ着てコンビニ袋を提げていた、これが巷の蔓延るヒキニートって奴ですわね!



「あの…どちら様ですか…?」


「あかりん酷い!!不機嫌なのもわかるけど…君のためなら何度でも死ねる!」


「死んじゃダメですよ…たった一つの命なんですから大切にして下さい。っってついついスバ◯君のキメゼリフに突っ込んでしまった…」


「ふふふふふ~可愛いすごく可愛いよ!青髪も似合ってるし小さいのに凄くおっきくて…クッハァー」


「ちょっちょっ!!おっきくてって何処見てるんですか目線が私の谷間見てますよね!?こらぁ~抱き上げないでくださいクンクン嗅がないの、このメイド服スカート短いからパンチュが丸見えになりますから」


「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いて言葉で足りないそんな表現なんかじゃ表せないよ。」



やーめーてー!私を持ち上げて飛行機してクルクル回さないで、周りの皆様がすごく注目しているから


あっ…完全目が逝ってらっしゃる…



この子この聖地でテンションが上がり過ぎて、メーター振り切れちゃってる。完全に脳ミソがパッカーんして大興奮、「活動維持に問題発生!頭部破損、損害不明!」「駄目です!完全に制御不能です!」



ピヨ男暴走モード突入!!

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