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いろいろなお菓子の話
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キティが微笑む。さっき話したお菓子の話が頭の中をぽわぽわと浮かんでいるのだろう。
「キティは嬉しそうね?」
「それはもちろんです!他の方が作るお菓子なんて、滅多に食べられませんから」
「確かに……リアンやデリアはどんなお菓子が作れるのですか?」
「……どうだろう?作ってもらったことがないからわからないわ!」
「アンナリーゼ様?」
ニコニコとナタリーに笑いかけると、ウィルが大笑いを始める。見切り発車ならぬ、想像でリアンならおいしいお菓子を作れると言っていることに気が付いた一同。ナタリーもセバスもキティでさえ深いため息をついた。
「……リアンを呼びましょうか」
メイドに言って、孤児院からリアンを呼び寄せた。リアンがくるまでのあいだはキティの独壇場。食後のお菓子ならサッパリしたゼリーや小さなタルト、季節のものならマカロンなんてどうだろう?とワクワクした表情で候補をあげていく。お菓子の知識はさすがで、そのキラキラと眩しい目を輝かせていることに少しあとずさりする。
それを目ざとく見ていたのがウィルで、クスっと笑っていた。
「何?」
「いや、姫さんでも後ずさることってあるんだなぁーって思って」
意味ありげにいうので、小首を傾げて誤魔化しておく。ウィルに指摘されたとおり、眩しいキティの煌めきクラクラした。
「……アンナリーゼ様も今のキティのようですよ?」
「毎回毎回なぁ?アンバー領のことも新しいことも好きすぎるよなぁ」
「本当ですよね?当然のように私もキティの話を聞いてましたけど、まさか……アンナリーゼ様が引いているとか」
「えっ?えっ?あの……アンナリーゼ様、あの……」
「引いてなんていないわよ!キティのお菓子への情熱はやっぱりすごいなぁーって思って。ハニーアンバー店の喫茶を一人で切り盛りしているのですもの」
「あっ、誤魔化した」
「誤魔化してないです!本当にすごいと思っているのよ。私にはない知識だもの」
「お菓子を食べることは出来ても、作りませんからね?私たち」
ナタリーが私を見てニッコリ笑った。そう、私は作らない。クッキーならお手伝い程度はできるが、それ以外は無理だ。私は大雑把すぎるので、お菓子作りには向かないのだ。ナタリーは、きっちりしているからできそうではあるのに、『私たち』を強調しているあたり、作らないのだろう。
「おいしいお菓子を頬張っている姿が可愛いなんて、ジョージア様に言われて頬を緩めるくらいでちょうどいいんじゃね?」
「あぁ、確かに。ダリアも甘いものを食べている姿がとても愛らしいんだ」
「御馳走様です。新婚の幸せに当てられてしまいましたわ!アンナリーゼ様」
「これは是非とも甘いお菓子でこのやさぐれた心を幸せで満たしてあげたいわ!」
芝居がかった私とナタリーを見て、今すぐにでも!と飛び出して行きそうなキティをウィルが首根っこを捕まえている。失礼な扱いだ。
「こらっ、キティの成すべきことは厨房ではなくて、ここ。結婚式とお茶会に出すお菓子の話をしないとだろ?」
「……そうでした。アンナリーゼ様は何かこれが食べたいというものがありますか?」
「うーん……そうね?他国にはドーナツというこんな丸い形のした油であげたお菓子があるそうよ?麦を使ったお菓子らしいから、そういうのは作れないかしら?」
「わかります!そのお菓子。とてもおいしいですよ。次のお茶のときにお出ししましょうか?」
「簡単に作れるものなの?」
「えぇ、大丈夫ですよ。あとは何かありますか?」
うーんと唸っていると、リアンがお呼びでしょうか?と部屋に入ってくる。いつもの面々の中にキティがいるのを見て、不思議そうにしている。
「リアンはお菓子を作ることができる?」
「……お菓子ですか?子どもたちが食べるくらいのものなら出来ますが、何かあるのですか?」
「今度の結婚式とお茶会のときに、何種類かのお菓子を出したいなと思って、その草案と参戦してほしいなって」
「私がですか?お客様にだすようなものは……さすがに憚れます」
「リアンのマドレーヌ、うまいと思うけど」
「ウィル様!」
「何それ。私も食べたい!」
「アンナリーゼ様まで」
せっかく貴族が集まるので、麦や砂糖を使ったお菓子、果実酒を使うものなど、領地の宣伝になるようにしたいのだと懇願する。
「それなら、パンプディングというのはいかがですか?今は木苺らベリー系がなる時期なので乾燥させるのです。パンにミルクと卵を入れて蒸すのですが、ほんのり甘さのなかにベリーの酸味を入れて大人も楽しめると思います」
「なにそれ、おいしそう。作ってみて!」
「わかりました」
「私も、私も食べてみたいです!」
キティも初めて聞くのか、キラキラした目でリアンを見ている。一歩下がったことはみなが見ていた。
「……私、いつもあんな感じなの?」
「だいたいはあんな感じですよ?」
「新しいものをみたら、もっとグイグイと前に行きますよね?」
「好きなことに一生懸命なのはいいことじゃない?」
クスクス笑う面々に戸惑うのは私とキティ。お互いを見つめ合って困った表情を二人ともが作った。
「キティは嬉しそうね?」
「それはもちろんです!他の方が作るお菓子なんて、滅多に食べられませんから」
「確かに……リアンやデリアはどんなお菓子が作れるのですか?」
「……どうだろう?作ってもらったことがないからわからないわ!」
「アンナリーゼ様?」
ニコニコとナタリーに笑いかけると、ウィルが大笑いを始める。見切り発車ならぬ、想像でリアンならおいしいお菓子を作れると言っていることに気が付いた一同。ナタリーもセバスもキティでさえ深いため息をついた。
「……リアンを呼びましょうか」
メイドに言って、孤児院からリアンを呼び寄せた。リアンがくるまでのあいだはキティの独壇場。食後のお菓子ならサッパリしたゼリーや小さなタルト、季節のものならマカロンなんてどうだろう?とワクワクした表情で候補をあげていく。お菓子の知識はさすがで、そのキラキラと眩しい目を輝かせていることに少しあとずさりする。
それを目ざとく見ていたのがウィルで、クスっと笑っていた。
「何?」
「いや、姫さんでも後ずさることってあるんだなぁーって思って」
意味ありげにいうので、小首を傾げて誤魔化しておく。ウィルに指摘されたとおり、眩しいキティの煌めきクラクラした。
「……アンナリーゼ様も今のキティのようですよ?」
「毎回毎回なぁ?アンバー領のことも新しいことも好きすぎるよなぁ」
「本当ですよね?当然のように私もキティの話を聞いてましたけど、まさか……アンナリーゼ様が引いているとか」
「えっ?えっ?あの……アンナリーゼ様、あの……」
「引いてなんていないわよ!キティのお菓子への情熱はやっぱりすごいなぁーって思って。ハニーアンバー店の喫茶を一人で切り盛りしているのですもの」
「あっ、誤魔化した」
「誤魔化してないです!本当にすごいと思っているのよ。私にはない知識だもの」
「お菓子を食べることは出来ても、作りませんからね?私たち」
ナタリーが私を見てニッコリ笑った。そう、私は作らない。クッキーならお手伝い程度はできるが、それ以外は無理だ。私は大雑把すぎるので、お菓子作りには向かないのだ。ナタリーは、きっちりしているからできそうではあるのに、『私たち』を強調しているあたり、作らないのだろう。
「おいしいお菓子を頬張っている姿が可愛いなんて、ジョージア様に言われて頬を緩めるくらいでちょうどいいんじゃね?」
「あぁ、確かに。ダリアも甘いものを食べている姿がとても愛らしいんだ」
「御馳走様です。新婚の幸せに当てられてしまいましたわ!アンナリーゼ様」
「これは是非とも甘いお菓子でこのやさぐれた心を幸せで満たしてあげたいわ!」
芝居がかった私とナタリーを見て、今すぐにでも!と飛び出して行きそうなキティをウィルが首根っこを捕まえている。失礼な扱いだ。
「こらっ、キティの成すべきことは厨房ではなくて、ここ。結婚式とお茶会に出すお菓子の話をしないとだろ?」
「……そうでした。アンナリーゼ様は何かこれが食べたいというものがありますか?」
「うーん……そうね?他国にはドーナツというこんな丸い形のした油であげたお菓子があるそうよ?麦を使ったお菓子らしいから、そういうのは作れないかしら?」
「わかります!そのお菓子。とてもおいしいですよ。次のお茶のときにお出ししましょうか?」
「簡単に作れるものなの?」
「えぇ、大丈夫ですよ。あとは何かありますか?」
うーんと唸っていると、リアンがお呼びでしょうか?と部屋に入ってくる。いつもの面々の中にキティがいるのを見て、不思議そうにしている。
「リアンはお菓子を作ることができる?」
「……お菓子ですか?子どもたちが食べるくらいのものなら出来ますが、何かあるのですか?」
「今度の結婚式とお茶会のときに、何種類かのお菓子を出したいなと思って、その草案と参戦してほしいなって」
「私がですか?お客様にだすようなものは……さすがに憚れます」
「リアンのマドレーヌ、うまいと思うけど」
「ウィル様!」
「何それ。私も食べたい!」
「アンナリーゼ様まで」
せっかく貴族が集まるので、麦や砂糖を使ったお菓子、果実酒を使うものなど、領地の宣伝になるようにしたいのだと懇願する。
「それなら、パンプディングというのはいかがですか?今は木苺らベリー系がなる時期なので乾燥させるのです。パンにミルクと卵を入れて蒸すのですが、ほんのり甘さのなかにベリーの酸味を入れて大人も楽しめると思います」
「なにそれ、おいしそう。作ってみて!」
「わかりました」
「私も、私も食べてみたいです!」
キティも初めて聞くのか、キラキラした目でリアンを見ている。一歩下がったことはみなが見ていた。
「……私、いつもあんな感じなの?」
「だいたいはあんな感じですよ?」
「新しいものをみたら、もっとグイグイと前に行きますよね?」
「好きなことに一生懸命なのはいいことじゃない?」
クスクス笑う面々に戸惑うのは私とキティ。お互いを見つめ合って困った表情を二人ともが作った。
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