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ふぅと息をはく

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「ナタリー、そろそろとって……」
「いいですよ?つけた感じもわかったので、改良しますね?アンナリーゼ様のために」
「私の?」
「もちろんです!」
「……これは、いいかなぁ?」
「そういうわけにはいきませんよ?ハニーアンバー店で売るものですから!」


 いい笑顔でナタリーに答えられると、反論ができない。ハニーアンバー店と言われれば、私が頷くしかないことを知っているのだろう。
 悔しい気持ちは隠したまま、「早くとって」とお願いした。渋々というふうではあったが、ナタリーはぎゅうぎゅうと締めた紐を緩めてくれた。
 ふぅと息をはく。久しぶりに新鮮な空気を体に取り込んだ……そんな気分だ。


「安心しすぎではありませんか?」


 声の方を見ると、柄の違う同じようなものを持って微笑むナタリー。「次ありますからね?」と私に近寄ってくるので、アデルを引き寄せ背中に隠れる。


「ちょ、ちょっと!アンナ様」
「何よ?」
「それはこっちのセリフです!」
「主人が困っているのだから、助けなさいよ!」
「主人より、ナタリー様のほうが怖いので……ナタリー様、アンナ様をどうぞお納めください」



 そういって、アデルに裏切られ、ナタリーは満足気に微笑んでいる。私は、アデルを睨んで「裏切者!」と罵ってやる。


「何と言われようと、ナタリー様に逆らう気はありませんから!」
「いいわよ!アデルなんて減俸9割にしてあげるから、覚悟さない!」
「9割はひどいです!人でなし!」
「それはどっちよ!」
「アンナ様です!」
「リアンに振られればいいわ!」
「リアンさんは、そんなことで振ったりしません!」
「私がそう差し向けてあげるわよ!」


 薄情者のアデルに売られ、今ではナタリーに身柄を拘束されるところだ。一連をステイが見ており、クスクス笑っている。
 余程私たちの会話がおかしかったのだろう。ステイにも助けをお願いするするつもりだったが無駄のようだ。


「私が代わりにつけようか?」
「いいのですか?アンナリーゼ様がとても嫌そうなので」
「構わないわ。早速付けましょうか」


 ナタリーに手渡されたものを付けていく。ナタリーが「失礼します」と声をかけて、付けていく。ステイは、泣き言一つ言わずに、あっという間に装着がおわった。
 自分が装着しているのをみていれば、きっとステイの方が適任なのだろう。私は、ステイに近寄っていくと「素敵ですね!」とお世辞を忘れずに二人で伸びた。
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