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1章
【10】モンスターと魔獣って何が違うの?
しおりを挟む軍の先行隊が到着して、セドリックとニコラが話をしている。
結局、デュラハン以降モンスターとか魔獣とかは現れなかった。
なんでも、モンスターはダンジョンの魔素が具現化したもので、ダンジョン内ないし周辺でしか現れなくて、倒すと魔素の結晶だけが残るらしい。それが魔石ね。
それとは別に、何かの原因で、普通の生物が自身が産み出した以外の魔素を異常に吸収して突然変異したのが魔獣なんですって。
元々生物だから死体は残るし、繁殖したりするらしい。
だいたい魔素が多く発せられる、ダンジョン周辺で出現するらしいけど、モンスターと違って出くわしたら必ずダンジョンが在るって訳じゃないらしいわ。
デュラハンの死体は町外れの小屋でそのまま保管してる。魔素が多いと腐りにくいんですって。でも好き好んで肉を食べる人も居ない。
肉以外は質の良い素材として良い値が付くんだけど、今回見たいな珍しいケースだと、調査の為とか言って軍に安価で引き取られるのが関の山らしい。
「魔獣は調査隊が持ち帰るってさ」
セドリックが戻って来て言う。
「やっぱり。幾らかくれたの?」
「調査した後返すから賃金は無しだって」
「何それ。そんなの信じたの?」
「相手は兵士なのよ?むやみに事を荒立たせたくないでしょ」
先行隊は6名。その6名ともリネット見たいな翼が生えてる。
鳥人って区分されるらしいわ。多勢な上にみんな空飛べるとか、ケンカはしたくないわね。
機動力と視野の広さから調査隊には鳥人が多いんですって。
リネット曰く「安月給で規律も厳しいとか私には向いてないのよ」ってスカウトを断ってるから、あまり顔を合わせたくはないらしい。
「そろそろ行こうか」
やっと警備から解放される。さすがにみんな疲れが見えるわね。
交代制とはいえ、ずっと警戒しながら見廻りしてたんだもん。無理無いわ。
「本当に助かったよ。ありがとね」
村長達に見送られて村を出た。
そう言えばデュラハンに追われてた2人組は、アタシ達に擦り付けてそのまま逃げてったらしいわ。
アイツ等、アタシは顔覚えてるからね。いつか出くわしたらお礼の1つでも言わせてやるんだから。
4日かけてマディナって街に向かう。
別ルートなら3日位で着く村が在るらしいけど、ここで頑張れば1日早く王都に到着するし、宿もある。
「早くお風呂に入れたいからね」
深く同意。
アタシも入りたい!獣臭くて堪らんのよ。
道すがらロジバールさんもルーシに色々な事を教えてくれた。
どうもアタシが居ない間にルーシの境遇を聞いたみたいね。
今は必要ないし理解出来ない事も、とりあえず聞いておけばいざ覚えなきゃいけなくなった時に取っつき易くなるって事で難しい話もしてくれた。
国やお金の話とか。アタシの方が勉強になったわ。
街には昼を2時間ほど過ぎた頃に到着した。
3メートルは有る木製の塀に覆われてて、しっかりした門には門番も立っている。
普通冒険者なんて身なりしてると身分証明と荷物検査をされるらしいけど、ロジバールさんの持ってる通行証のお陰でほぼ素通り。
そんな上等な通行証持ち合わせてるなんて、よっぽどお金持ちか高貴な方の執事さんなんだと、みんな薄々は気付いてる。
ってか執事雇ってる時点でお金持ちは確定よね。
「いい時間だし、宿決めとかなくちゃね」
「それでしたら『アルファンド』はいかがでしょうか?」
「有名な宿よね。部屋数多いけど、ちょっと割高じゃないかしら」
「護衛中の宿泊代はこちらで持ちますよ」
「それは助かるわ。ありがとうございます」
「元からそう言う契約だったので、お気になさらないで下さい」
「それじゃぁお言葉に甘えてアルファンドに行ってみようか」
「まだ日も高いからダメなら他当たれば良いしね」
って事で来ました。ホテル『アルファンド』。
中心地区にある街1番のホテル。
レンガ造の5階建ての隣に木造3階建てがくっついてる。
レンガ造の方は正方形で、木造は同じ奥行きに幅は倍ある。
レンガが高級で木造が一般なんだろうなぁって外見で分かる。
セドリックとヴィオラは馬車守で残こるので、他の4人とアタシで受付に向かった。
「いらっしゃいませ」
レンガと木造の会わせ目木造寄りに入口があり、入るとすぐにカウンターがあった。
「3人部屋2つ空いてるかしら」
ニコラが聞く。
「そちらのペット様もご一緒ですか?」
受付はベテラン感のある女性だ。
「ペットじゃなくて従魔だから、主人に含むか1名に数えていただける?そしたら4人部屋と3人部屋になるけど。それか大部屋があればそれでもいいわ」
「さようごさいますか。今、お調べいたしますので、少々お待ち下さい」
従魔にはそんなルールがあるのね。
象を従魔にしても同じなのかしら。
ま、そこは臨機応変よね。きっと。
「申し訳ごさいません。只今、一般客室ですと4人部屋1部屋しかご用意出来ません」
「そう。残念ね」
ニコラが直ぐに引き下がる。元々期待してなかったぽいわ。
適当に泊まれる宿とって、大浴場行くとか馬車で話してたもんね。
「ハイクラスは空いてますでしょうか?」
ロジバールさんが前に出る。
「はい。空室でございます。ですが、そちらも4人部屋になっております」
「素泊まりで構わないので7人泊まる事は可能でしょうか」
「広さ的には大丈夫ですが、定員オーバーなので宿泊料金を1.5倍頂きますがよろしいでしょうか」
「はい。構いません」
「畏まりました。でわ料金の方は前払いとなっております」
馬車にリネットとニコラが少しポワンとして戻って来たので、ヴィオラが訝しむ。
「どうだったの?」
「ハイクラス取ってくれたわ‥‥」
ポワンとしたままリネットが答える。
「ハイクラス?」
「そう。そっちの2階だって‥‥」
レンガ造の方を指差す。
「高そうな方じゃない」
「うん。大銀貨8枚だって‥‥」
「大銀貨8枚!?」
月に大銀貨20枚稼げばいい方って物価らしいわ。
「いいですか?そんな高い宿とってもらって」
「命を助けて頂いたお礼だと思って下さい。1部屋のみですのでむしろ手狭かもしれませんが」
「狭い事ないでしょ。狭くても文句ないし!お礼にしてはやり過ぎじゃない?」
「主人から自由に使っていいと言われてるお金ですので。お礼と言うのもお恥ずかしい限りではございますが」
「どのみち、もう支払っちゃってるし、そう言う事でいいんじゃない?早く馬車停めて行きましょ」
ニコラの一言でその場は収まった。
ホテルの裏に広場があり、そこに荷台を停めて、馬を小屋に連れていってから部屋に向かう。
受付の左側にレンガ造への扉があり、入ると踊場程度のスペースの先に階段があった。
2階から宿泊施設みたいで、1階の部屋はスタッフオンリー。
階段登って反対側が部屋の入口。1つの階に1部屋しかないっぽい。
部屋に入ると女性陣が歓喜した。
「すごい!」
「なにこの広いリビング。ここだけで全員泊まれるわよ!」
「見てみて!寝室が2部屋ある!ベッドもおっきいわ!」
「ほんとだ。それにフカフカよ!」
3人とも少女に戻ったみたい。気持ちは分かるわ。
「え?!トイレと浴室まであるわ!」
「うっそ、ほんとだ。チャンと魔工具付いてるから水も流れるじゃない!」
「浴室なんてお湯ですわよ!」
女性のキャッキャに付いて行けない男性陣。
「私、教会に用がありますので、出掛けて参りますね」
ロジバールさんが彼女たちをニコニコ見ながら言う。
「じゃぁ、俺も付いていきます。護衛もありますし」
「そうですね。それじゃぁお願い致します」
「ルーシも行くかい?」
「うん!」
街初めてだもん、まだ見たり無いわよね。
「それでは私どもは出掛けて参りますので、みなさんはゆっくりくつろいで居て下さい」
「「「 はーい 」」」
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