20 / 120
1章
【19】冒険者登録
しおりを挟む「どうだったの?」
中央広場で待っていてくれたメンバーと合流。
「ああ。ギルドに向かいながら話すは。お前達の馬車に俺も乗れるか?」
「はい。荷物積んでないので大丈夫ですよ」
「僕達も乗れるかい?」
とガイウスさん。
「ええ、大丈夫ですけど」
「お前は自分の馬車があるじゃないか」
「いいじゃないか。僕も乗って見たいんだよ。君に説明任せとくと雑過ぎてちゃんと伝わるか不安だしね」
「同感ね」
とニコラ。他の人も頷く。
「おい、お前。」
「ほら。決まりだね」
「セドリック様、今回は私に操縦させて頂きたいです」
ロジバールさんが申し出る。
「いいですが、どうしてですか?」
「セドリック様も荷台にいらした方が聞き取り易いと存じますので」
「それは良いね。じゃぁ、隣はルーシ君が座ると良いよ」
荷台では教会での成り行きを説明してる。
外に声が漏れないようにみんな小声だ。操縦席の2人もあまり聞き取れていないと思う。
ジークリットさんとガイウスさんが義理の兄弟って件の時はさすがにビックリした声が漏れてたけど。
「それで、わたし達のパーティーに入れる事になったの?リネットはOKしたの?」
「してないわ。返事求められなかったからだけど」
「俺はつもりって言っただけだからな。相談も無しに勝手に決めるつもりはない。なんなら断ってもいいしな」
「でも、あの感じだとメルヴィル様は決定だと思ってるだろうね。司教様の思惑断ると心証悪いんじゃないかな。後見人の僕としても皆さんと一緒なのがベストだしね」
アタシ達からしても断られたらショックよ。
「ヴィオラはいやなの?」
「嫌って訳じゃないけど、これって依頼じゃないのよね?」
「ああ。そうだ」
「それじゃぁ、自分の食いぶち位稼いで貰わなきゃ困るし、最低でも自分の身位は守ってくれないとダメよね」
「それを培う為だって話さなかったか?」
「だから依頼ならともかく、わたし達に他で稼げって言うならダンジョン潜らなきゃならないし、ずぶの素人が急にAランクに入って一緒の行動したら怪我じゃすまないわよって言ってるの」
ジークリットさんの口振りにイラっとしたのかヴィオラは声を荒げる。
彼女が言っている事は正しいと思う。自分達の事もルーシの事もちゃんと考えてて、一番年下なのに一番しっかりしているかもしれない。
言葉はきついけど優しい娘。
「うーん、なら提案なんだけど」
ガイウスさんが一度腕を組んで、それをまたほどいてから言う。
「僕が指名依頼を出すから、それを受けてくれないかい?」
「どんな依頼?」
「そうだなぁ、家のボディーガードと合同訓練をしよう。週末に3ヶ月くらいかな」
「それは良いと思うけど、その成果次第でパーティーに加入させるか決めてもいいかしら」
ニコラが答える。
「それが良いね。その間はルーシを家で預かって毎日特訓させよう」
何となく話が纏まった所でギルドに到着。
「先に長室に行っててくれ。準備してくるは」
側面奥の入口から入る。
そこは小洒落た通路でソファーとテーブルまである。
位の高い人用の入口なのかしら。
そこから中に進むと階段に出た。
ジークリットさんは前に向かったので、アタシ達は先に3階に上がり長室に入って彼を待つ。
待ってる間に依頼内容を打ち合わせしてるみたい。
「待たせたな」
ほどなくしてガイウスさんが入ってきた。
「失礼します‥‥」
彼に続いて入ってきたレイニーがギャラリーの多さに少したじろぐが、知った顔ばかりだと分かると直ぐに落ち着いた。
「みなさんこんにちわ」
「ご足労かけまして申し訳ございません」
ガイウスさんが丁寧にお辞儀する。
「いえ。とんでもないです。ご丁寧にありがとうございます」
ガイウスさんとレイニーは初対面かしら。
「早速だが、彼のギルド登録をしてくれ」
ジークリットさんがルーシの肩を抱いて言った。
そしてそのままルーシを3人掛けソファーに座らせ、自分は対角の1人掛けに座る。
「わかりました」
レイニーは軽く会釈してから、ルーシの前に座った。
同時位にガイウスさんがルーシの横に座る。
「ギルド長、形式通りに進めてもよろしいですか?」
「ああ。そうしてくれ」
「わかりました。では、今回担当させて頂きます、レイニー・ネ
メリンと申します。よろしくお願いいたします」
アリアと比べてだいぶしっかりした娘ね。
「登録にあたって始めに説明させて頂きます」
ギルドは1度登録すれば全国でサービスを受けられる。
サービスって言い方が正しいかはあれだけど、冒険者、就労、日雇いと依頼、募集。全てが利用可能。
ただ、プランによって登録内容が変わるから、目的を絞って登録した方が時間短縮になるとの事。
「もちろん後からでも追加登録で利用可能です。ご希望はございますか?」
「‥‥冒険者」
「‥‥かしこまりました。では年齢確認の為、左手の甲をお見せください」
差し出された手の甲を見てる。紋章を確認してるのね。
「はい。大丈夫です。ありがとうございました。確認ですが、未成年でいらっしゃいますか?」
「はい」
「ですと、後見人を立てる必要がありますが」
「あ、それ僕です」
ガイウスさんが食い気味に名乗る。
彼の名前聞いてレイニーの目が丸くなった。
目の前の人が突然公爵様だって分かったら大体みんな同じ反応ね。
そのまま隣のジークリットを見る。彼が頷く。
「‥‥失礼しました。では、冒険者についてのみのご説明をさせて頂きますので、こちらにご記入しながらお聞き下さい」
登録用紙ね。ちょっとキメの粗い紙と万年筆を渡され、ルーシが名前から書き出す。
大丈夫だろうけど、初めての事だからアタシも用紙を覗いてフォローしてあげなきゃ。
冒険者は主に魔石採集と依頼遂行を行う。
ギルドはパーティー制を推奨しているので、個人の評価は公表せず、パーティーランクのみ公表する。
ランクはS.A.B.C.D.Eとあり、Sランクパーティーは現在存在しないらしい。
死亡リスクが高いので任意だけど、遺書を書いておく事を薦められたわ。
「記入はおすみですか?」
全部は書けてない。
「彼は読み書き慣れてないから、残りは君が代筆してくれるか?」
ジークリットさんがフォローする。
「わかりました」
慣れてないのは確かだけど、書きようがないのよ。
「‥‥お名前は、ルーシ様。名字を教えて頂けますか?」
ルーシに名字は、たぶんない。
サーリエと同じが常かもしれないけど知らないし、同じにしたくないわ。
「ないです」
「ない?分からないって事ですか?」
「彼は辺境出身で、みんな同じだから、名字って習慣がないんですよ。彼はペレグリノ。ルーシ・ペレグリノです。」
ガイウスさんが咄嗟に嘘を付いてくれた。
ルーシ・ペレグリノ。なかなか格好いいんじゃない?
「では、お住まいは宿になりますか?」
「しばらくは僕の家に滞在します」
「では、こちらに記入お願いします。一緒に誓約書の方にもサインをお願い致します」
ガイウスは渡された2枚の用紙に素早く書き込んで返した。
「ガイウス、書面ちゃんと読まないでいいのか?」
誓約書だもんね。
「大丈夫。さっきからこっそり読んで置いたから」
そうなんだ。やるわね。
ジークリットさんも分かってて聞いた節があるわ。
「‥‥後は大丈夫そうですね。では、プレートの製作をしてきますね」
そう言ってレイニーが立ち上がる。
「レイニー」
扉に手を掛けた位でジークリットさんが引き留める。
「なんですか?」
「下で何か聞かれても黙っててくれな」
「‥‥大丈夫です。ギルド長に口説かれたって言っておきますね」
「え?いや‥‥ ちょっと‥‥」
レイニーが冗談言いっぱなしで出ていってしまったのでジークリットさんが困惑している。ちょっと可愛らしいわ。
「ジークリットさん!彼女とそう言う関係だったの?」
「どういう関係だよ!ただの上司と部下だは」
「あれは脈ありな発言でしょ」
ニコラも茶化す。
「貶めようとしてるだろあれは」
「そうでしょうか。広めて既成事実にしようとしているのでは?」
まさかのロジバールさんまで。
「それは良いね。彼女が義理の妹か。良さそうな子じゃない?お兄さん」
「お前らふざけるなよ!」
ジークリットさんの顔が赤くなって、さらに可愛らしいわ
0
あなたにおすすめの小説
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話のパート2、ここに開幕!
【ご注意】
・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。
なるべく読みやすいようには致しますが。
・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。
勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。
・所々挿し絵画像が入ります。
大丈夫でしたらそのままお進みください。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる