33 / 120
1章
【32】さらに下層へ
しおりを挟む2層目3層目は、1層目と造りが一緒で地図が1枚で済む。
むしろ地図なくても迷ったりしない道程だし、モンスターもゴブリンが少し増えて来るだけで初心者が経験積みやすい安心設計。
3層目で多くて4匹×2組か5匹。例外はあるらしいけどそれは希なので、アタシ達は出会さなかった。
流石のヴィオラだって1人でゴブリン5匹相手すれば引っ掻き傷くらい負う事もあるらしいけど、ルーシは無傷。
本当は食らってもすぐ治っちゃうだけなんだけどね。
それでも危なっかしいって感じではなかったので4層目に行くことが決定した。
ゴブリンがちょっと増えた位じゃ、パーティーで戦うには易しすぎるからって、ルーシには説明してたけど、あの意気った若者にバカにされた影響は大きいと思う。
そんな若さを垣間見せても、根は真面目なしっかり者達なので、とんでもない事にはならないでしょう。
今日のリネットの腰袋ははじめからパンパンだ。
「なに入ってるの?」
ルーシに聞いてもらう。
「桃の木の薪よ。持ってれば3層目まで気楽に進めるし、4層目では焚き火に使えるしね」
4層目は今迄よりもっと地図が必要ない。需要無さすぎて正確な地図が存在しないレベル。
その理由は階段ちょっと下ればすぐに分かった。
「綺麗でしょ」
天井から地面まで12メートル。上層の様な間仕切りは無く、
壁が外周を覆い数十本の柱が不規則に天井を支えてる。
その柱が仄かに青白く光っててダンジョン内をほんわか照らしてる。
「魔光石を水晶が包んで出来た柱らしいわ」
酔狂なお金持ちが観光目的で来るのも頷ける。
壁づたいに階段が伸びていて、踊り場が2箇所。
「降りるのは良いけど、登るの辛いのよね」
とヴィオラ。600段はシビレるわよね。
「あまり進む気は無いんだけど、他の人の邪魔にならない程度には移動しようか」
階段を降りきると方向転換して壁沿いを歩く。
「四方囲まれたら困るから壁際を進むのよ」
リネット、ニコラを囲む様にルーシ、セド、ヴィオラ。
ルーシが先頭で左は壁ね。
「コボルトの攻撃はなるべく受け止めない様にして。もし受けてしまって、それが爪じゃなくて牙だったら迷わず武器を捨てなさい」
4層目は、別名『コボルト狩場』。
数は3層目のゴブリンとおんなじ位らしいけど、ゴブリンよりもチームワークがいいから厄介なんだとか。
アタシの見立てだと、開けてて薄暗い地理も難易度上げてる要因に思えるけど、5層目の『コボルトの巣』に行った事ある人からすれば易しい環境なのだとか。
相手に見つかりやすいけど、こちらも見つけやすいからとか。
モンスターが先にこちらに気付いてるって感覚が上層にはあまり無くて、それだけで精神的に疲れる。
今もジリジリ来てるし。
横に5体。後ろに5体。4足歩行で体を低くして、こちらと歩みを揃えてる。
横の5体は徐々に幅寄せしながら2体だけ前に出た。
大きく曲がってアタシ達の前、30メートル辺りで立ち上がる。
「囲った気ね」
横の3体は50メートル位距離を取ってる。
後ろのは100メートル。前横のとは別グループっぽい。
「リネット、前の1匹射抜いた後こっちの1匹頼めるか?」
とセド。
「任しといて」
「その後は援護で。残りの2匹は俺がやる。ヴィオラとニコラは後ろの警戒宜しく」
「「「了解。」」」
「ルーシは前の1匹任せた。リネットの1射目で向こうから迫って来るだろうからそれを迎え撃つ。来なかったら待機。こっちから攻めには行かない事」
了解。アタシはルーシのフォローしてるわ。
「それじゃ、行くよ」
リネットの矢は頭部に命中。コボルトが煙になる。
それ切っ掛けで全体が襲って来る。前の残り1体も4足に戻って駆けてくる。
リネットが2射目を射る音。横の前側1体が煙になる。
前の1体がルーシ目掛けて飛び込んでくる。
ゴブリンみたいに高く飛んで落ち際に攻撃してくるジャンプじゃなくて、迫り上がってトップで攻撃してくる感じ。速い!
タイミングを合わせられなかったルーシがディアボロスでガードする。
その柄にコボルトが噛みつき、腕をルーシの胸元目掛けて伸ばしてきた。
ディアボロスを手放し後ろに飛んでギリギリ回避。ルーシは膝を付いてしまう。
コボルトがディアボロスを吐き捨てる。
『血の鍵』はモンスターに効果無いみたい。
「ナナチャ『火炎』!」
リネットの声で咄嗟に火ィ吹いた。
調節ミスって強めの炎。コボルトが黒こげになり煙る。
その炎に横のコボルトが怯んだのが見えたけど即座に真っ二つになって煙ってた。
「後ろも迫ってるわよ。セド、ヴィオラの応援。ルーシは武器拾ってその場で警戒。まだ居るかもしれないから見張ってて」
とニコラ。息つく暇もない。
後ろの5体は先頭1体の5角形な配置で迫ってくる。
先頭の1体がヴィオラ側にジャンプ。その瞬間2人が前に出る。
セドは剣を左手に持ち換えて右脇に構え、右手で飛んできた左の1体を突き飛ばしてから剣を両手で持ち直し、奥のもう1体とまとめて薙ぎ切る。
ヴィオラは先頭の1体を逆薙ぎで仕留め、2体目は横にステップしながら薙ぎる。そのまま手首を返さず3体目を突き刺す。
ヴィオラは剣技してるって感じでカッコいい。アタシはセドリックの力押しがタイプだけど、ルーシはヴィオラを参考にして欲しいかな。
また移動して、はじめにリネットが射抜いたコボルトの魔石を拾う。
リネットが一緒に矢も拾って何かを確認してるわ。
「うん。まだ使えるね」
「今日はここで陣取ろうか」
隊列そのままで移動を終了。後は向かって来た奴を倒せばいいのね。
基本、1方向からの敵であれば前衛のみで対応。リネットの矢とニコラの魔力はなるべく温存。
早々に斜め前から1体。横から2体、立ち上がった状態で走って来る。
「ルーシが前の1体。横のは俺が行く」
横のは奥にもう2体居るわ。4足歩行で前の奴に隠れてる。
アタシは見えるけど、人間じゃ暗くて気付き辛いかも。
「後ろに2体隠れてるって!」
「了解。ヴィオラ、左右で分担しよう」
「了解」
ルーシは両手を振り上げたコボルトの胴を裂く。
セドとヴィオラは剣を振り下ろし、前を仕留めて奥のに備える。
だが、奥のコボルトは前の奴が煙る前に、肩借りて高くジャンプしていた。リネット達を狙ってる。
「ごめん!」
ヴィオラが言うが早いか、矢と氷の杭が空中のコボルトに突き刺さる。
「ふう。今のはイレギュラーだったな。ルーシ、ナナチャ、助かったよ」
セドに誉められちゃった。
やったぁ
0
あなたにおすすめの小説
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話のパート2、ここに開幕!
【ご注意】
・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。
なるべく読みやすいようには致しますが。
・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。
勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。
・所々挿し絵画像が入ります。
大丈夫でしたらそのままお進みください。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる