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supplementary tuition番外編
秘密は蜜より甘く 5
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どうしたら、自分はその秘密に寄り添えるのだろうか。
少しでもその心の近くにいけるのだろうか。
考えても答えなど出ないのだからと、夢月は心に決めたのだ。
「誰よりも、側にいるから」
夢月はその手の平に頬を寄せる。
有都に宛てた言葉と言うより、自分の中での覚悟だった。
秘密が秘密のままであっても、打ち明けられたとしても、ただひたすらに側にいる事。
「夢月、ほんと煽るのうまい…………」
頬の柔らかさを確かめるように撫ぜ、有都が口付けを落としてくる。
夢月の下唇が有都の唇に優しく挟み込まれ、余韻の様に舌先を感じた。
脈絡がない夢月の独白を察したような丁寧なキスに、夢月も舌先で応える。
有都が口付けの為に夢月の上に身体を落とした事で、挿入が深まり、更なる刺激を求めた膣内が震えた。
いつしかしっかりと握られた手がシーツの上へと押し当てられ、緩やかな抽挿が始まる。
その行為を「可愛がる」と言う人もいるけれど、有都のそれは正にそんな感じで、甘い蜜の中にどっぷり浸る様な濃密で蕩けるような時間だ。
最上級の告白みたいに、愛情が溶け込んでいる。
そんな時間を過ごした翌朝、夢月はいつものように有都を見送ると、出掛ける準備をした。
大丈夫、やれる。
心の中で何度か唱えながら、家を出る。
今日の外出は有都には伝えていない。
秘密がこうして膨らんでいくのだろう。
「やぁ、来てくれて嬉しいよ」
車に寄り掛かりながら悠都が片手を上げた。
悠都に会う事も、清水蓮の面会に応じた事も、有都には言わない約束をした。
「おはようございます、悠都さん」
「おはよう、夢月ちゃん。体調はどうかな?」
ニコニコと屈託ない笑顔は、夢月が待ち合わせ場所に現れた事を心底喜んでいるようだ。
「寝不足です、って目元に書いてあるよ」
ちょんちょんと、悠都が自分の目の下を指差す。
今日のことを思うと寝付けない夜だった。
寄り添う有都の体温に安らぐほどに、秘密が重い。
「約束、守って頂けますよね?」
夢月は真っ直ぐに悠都を見上げた。
悠都が明かした真実は、有都に話すべかどうかまだ分からない。
有都が納得した上で抱えている秘密なら、それでいいのかも知れない。
だけれど、清水蓮と面会した事だけは隠したままでいるべきではないのだ。
清水蓮とこれから交わすであろう会話も、有都は知るべきだと思う。
「とりあえず面会を済ませれば、有都くんに今日の事を打ち明けてもいいって」
「それでいいよ。申し訳ない、君にまで重荷を背負わせて」
悠都は悲しげな色を瞳に浮かべ、そっと微笑んだ。
少しでもその心の近くにいけるのだろうか。
考えても答えなど出ないのだからと、夢月は心に決めたのだ。
「誰よりも、側にいるから」
夢月はその手の平に頬を寄せる。
有都に宛てた言葉と言うより、自分の中での覚悟だった。
秘密が秘密のままであっても、打ち明けられたとしても、ただひたすらに側にいる事。
「夢月、ほんと煽るのうまい…………」
頬の柔らかさを確かめるように撫ぜ、有都が口付けを落としてくる。
夢月の下唇が有都の唇に優しく挟み込まれ、余韻の様に舌先を感じた。
脈絡がない夢月の独白を察したような丁寧なキスに、夢月も舌先で応える。
有都が口付けの為に夢月の上に身体を落とした事で、挿入が深まり、更なる刺激を求めた膣内が震えた。
いつしかしっかりと握られた手がシーツの上へと押し当てられ、緩やかな抽挿が始まる。
その行為を「可愛がる」と言う人もいるけれど、有都のそれは正にそんな感じで、甘い蜜の中にどっぷり浸る様な濃密で蕩けるような時間だ。
最上級の告白みたいに、愛情が溶け込んでいる。
そんな時間を過ごした翌朝、夢月はいつものように有都を見送ると、出掛ける準備をした。
大丈夫、やれる。
心の中で何度か唱えながら、家を出る。
今日の外出は有都には伝えていない。
秘密がこうして膨らんでいくのだろう。
「やぁ、来てくれて嬉しいよ」
車に寄り掛かりながら悠都が片手を上げた。
悠都に会う事も、清水蓮の面会に応じた事も、有都には言わない約束をした。
「おはようございます、悠都さん」
「おはよう、夢月ちゃん。体調はどうかな?」
ニコニコと屈託ない笑顔は、夢月が待ち合わせ場所に現れた事を心底喜んでいるようだ。
「寝不足です、って目元に書いてあるよ」
ちょんちょんと、悠都が自分の目の下を指差す。
今日のことを思うと寝付けない夜だった。
寄り添う有都の体温に安らぐほどに、秘密が重い。
「約束、守って頂けますよね?」
夢月は真っ直ぐに悠都を見上げた。
悠都が明かした真実は、有都に話すべかどうかまだ分からない。
有都が納得した上で抱えている秘密なら、それでいいのかも知れない。
だけれど、清水蓮と面会した事だけは隠したままでいるべきではないのだ。
清水蓮とこれから交わすであろう会話も、有都は知るべきだと思う。
「とりあえず面会を済ませれば、有都くんに今日の事を打ち明けてもいいって」
「それでいいよ。申し訳ない、君にまで重荷を背負わせて」
悠都は悲しげな色を瞳に浮かべ、そっと微笑んだ。
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