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一章 夢は現実に
四.俺
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思い切り殴ろうとしたその瞬間、俺の拳は目玉の周りでぴたりと止まった。時が止まったかのように。
なんでだ……!?
すると、目玉は俺のことをぎろりと鋭い目付きで睨んできた。それから呆れたように問いかけてきた。
「オ前……オレ二何ヲシヨウトシタ……?」
「っ……」
「…………無駄ダゾ……?オ前ハオレ二攻撃デキナイ……」
「……は?」
じゃあ、こいつのことを殺すことが出来ない……!?
俺はだんだん殺気が消え失せていき、今度は恐怖心が強く芽生えてきた。そして、焦りも感じ始めていた。
どうすればいいんだ……!?
ずっとこいつと暮らさなければいけないのか……?こんな訳の分からないやつと。
いや、他に考えがあるはず……
あっと俺はあることを閃いた。
そうだ……出て行ってもらうのはどうだ……
これならいいだろう。
俺は、すっと拳を下ろし、今度は素直な言葉で伝えた。
「…………俺……今は一人でいたい気分なんだ。しかもお前のこと全然分かってないし、こんなやつと一緒にいても、何されるか分からなくて、とても怖いんだ。……だから、出て行ってくれないか」
「……オ前、本当二ソウナノカ?」
「え……」
「確カニ、オレハイキナリ現レタ。ソレニツイテハ本当二申シ訳ナイ」
目玉ほ少しうつむき加減で喋った。でも次の瞬間、すっと俺のことを真剣に見据えてきた。そして脳に直接話しかけてくる。それは、人間的な声で、胸に突き刺さってくるような言葉だった。
本当は心配されたいんじゃないのか――と。
俺はその言葉に、ドクンと心臓が揺れ動いた。そして目玉はまだ言葉を続ける。
ずっと一人で孤独の中。本当は悲しいんじゃないか?辛くて、苦しいんじゃないのか?それは何故か。周りに人がいないから。頼れる人がいないから。助けてくれる人がいないから。そして、心配してくれる人なんていないから。
そんな中でお前は一人で大丈夫なのか?
そう言い切った後、目玉はもう一度俺のことを見据えてきた。どうなんだ?とでも言いそうに。鋭いけど、どこか心配そうな目で。
何だよ……辞めろよ……辞めてくれよ……
俺のこと何も分かってないくせに……分かってないくせに――
なんで……なんで――
って、あれ……?
なんで俺……泣いているんだ?
意味が分からない。泣けるポイントなんてなかったはずなのに……
俺は……何で泣いている。
目には涙が溜まっていて、景色がぼんやりと滲んで見える。目玉の形がぼやぼやしている。涙が、ぽたと床に落ちた。
俺が悪いんじゃないのか――?
全部、俺のせいじゃないのか――?
こんな人生になってしまったのも。俺が――
目玉がこっちに近づいてくる。
次は何をするつもりだ。
俺は心の中で身構えた。
けれども、目玉は俺に優しく寄り添い、こう言ってきた。
お前が全て悪んじゃない。
そして、俺はお前に悪さなんて一切しない。殺すなんて以ての外だ。俺のことなんか全然分かってなくてもいいんだ。
そして、俺がここにやって来た理由――
それは……
『お前のことを守るため』だ。そして、『そばにいるため』だ。
お前はもう独りぼっちなんかじゃない。
もう周りに『人』がいるんだから――
「人……?人なんてどこに……」
俺は涙目で辺りをキョロキョロと見回してみた。人の姿なんてどこにもない。そして、目玉に焦点を合わせた。目玉は柔らかい眼差しで俺を見つめていた。俺は問いかけた。
「お前……人じゃないよな……」
「アァ、ソウダ。完全ナル人間デハナイ」
「はぁ……?完全なる人間ではないってどういう意味……」
「だよ」と言い切る前に、目玉は口を挟んできた。言ったことを聞き、心臓がドクンと大きく飛び跳ねた。そして、呼吸も瞬きも何もかも止まったような気がした。
『俺にはお前の兄の魂が宿っている』と――
なんでだ……!?
すると、目玉は俺のことをぎろりと鋭い目付きで睨んできた。それから呆れたように問いかけてきた。
「オ前……オレ二何ヲシヨウトシタ……?」
「っ……」
「…………無駄ダゾ……?オ前ハオレ二攻撃デキナイ……」
「……は?」
じゃあ、こいつのことを殺すことが出来ない……!?
俺はだんだん殺気が消え失せていき、今度は恐怖心が強く芽生えてきた。そして、焦りも感じ始めていた。
どうすればいいんだ……!?
ずっとこいつと暮らさなければいけないのか……?こんな訳の分からないやつと。
いや、他に考えがあるはず……
あっと俺はあることを閃いた。
そうだ……出て行ってもらうのはどうだ……
これならいいだろう。
俺は、すっと拳を下ろし、今度は素直な言葉で伝えた。
「…………俺……今は一人でいたい気分なんだ。しかもお前のこと全然分かってないし、こんなやつと一緒にいても、何されるか分からなくて、とても怖いんだ。……だから、出て行ってくれないか」
「……オ前、本当二ソウナノカ?」
「え……」
「確カニ、オレハイキナリ現レタ。ソレニツイテハ本当二申シ訳ナイ」
目玉ほ少しうつむき加減で喋った。でも次の瞬間、すっと俺のことを真剣に見据えてきた。そして脳に直接話しかけてくる。それは、人間的な声で、胸に突き刺さってくるような言葉だった。
本当は心配されたいんじゃないのか――と。
俺はその言葉に、ドクンと心臓が揺れ動いた。そして目玉はまだ言葉を続ける。
ずっと一人で孤独の中。本当は悲しいんじゃないか?辛くて、苦しいんじゃないのか?それは何故か。周りに人がいないから。頼れる人がいないから。助けてくれる人がいないから。そして、心配してくれる人なんていないから。
そんな中でお前は一人で大丈夫なのか?
そう言い切った後、目玉はもう一度俺のことを見据えてきた。どうなんだ?とでも言いそうに。鋭いけど、どこか心配そうな目で。
何だよ……辞めろよ……辞めてくれよ……
俺のこと何も分かってないくせに……分かってないくせに――
なんで……なんで――
って、あれ……?
なんで俺……泣いているんだ?
意味が分からない。泣けるポイントなんてなかったはずなのに……
俺は……何で泣いている。
目には涙が溜まっていて、景色がぼんやりと滲んで見える。目玉の形がぼやぼやしている。涙が、ぽたと床に落ちた。
俺が悪いんじゃないのか――?
全部、俺のせいじゃないのか――?
こんな人生になってしまったのも。俺が――
目玉がこっちに近づいてくる。
次は何をするつもりだ。
俺は心の中で身構えた。
けれども、目玉は俺に優しく寄り添い、こう言ってきた。
お前が全て悪んじゃない。
そして、俺はお前に悪さなんて一切しない。殺すなんて以ての外だ。俺のことなんか全然分かってなくてもいいんだ。
そして、俺がここにやって来た理由――
それは……
『お前のことを守るため』だ。そして、『そばにいるため』だ。
お前はもう独りぼっちなんかじゃない。
もう周りに『人』がいるんだから――
「人……?人なんてどこに……」
俺は涙目で辺りをキョロキョロと見回してみた。人の姿なんてどこにもない。そして、目玉に焦点を合わせた。目玉は柔らかい眼差しで俺を見つめていた。俺は問いかけた。
「お前……人じゃないよな……」
「アァ、ソウダ。完全ナル人間デハナイ」
「はぁ……?完全なる人間ではないってどういう意味……」
「だよ」と言い切る前に、目玉は口を挟んできた。言ったことを聞き、心臓がドクンと大きく飛び跳ねた。そして、呼吸も瞬きも何もかも止まったような気がした。
『俺にはお前の兄の魂が宿っている』と――
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