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83. 救出

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「…すみません、ここら辺りなのですが…」

「いや、問題ない」

彼女が連れてきたのは、木々の侵略が少し遅れている場所だった。
彼はすぐさま、生命の神眼を発動してみると、まだ木々が到達していない部分に数十人のオーラが見えた。

「なるほど…ありがとう、正確な道案内だった」

「い、いえ…あの、助けられますか?」

「少しだけ、下がっていてくれ。直ぐにでも、助けよう」

さて、救助が必要な人達は全員、大分奥まで逃げている。
そして、ここらはまだマンション自体には侵食していない…

彼は心の中で状況を整理し、周囲の木々を纏めて、全て分解して収納した。

「さて、入り口を見つけないとな…」

どうやら、救助者は全員地下にいるようだった。しかし、電気は当然止まっているため、エレベーターは使えず、階段に至ってはボロボロで今にも崩れそうな程だった。

「チッ…仕方ない。空間操作」

彼はそう呟くと、突然外に巨大な石が召喚された。
それを見てみると、その石の上には先程まで地下に居た人達が座っていた。

「ぐっ…ふぅぅ…やっぱ、空間の入れ替えはあまりしない方が良いな。負担も、魔力消費も半端ない…」

そう、彼は地下と地上を丸ごと、空間操作で入れ替えたのだった。

「はぁ…良し、それじゃあダンジョンの外に行こう」

『少し休憩した方が良いわ』

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「…ああ、問題ない」

神がそう助言した瞬間、ヒョコっと横から出てきたのは、妹の芽衣だった。
流石、雷属性なだけはある。
家からここまで、車で1時間以上は掛かるのにも関わらず、電話してから10分程でこちらに来ていた。

「政府の人とかも、ダンジョンの外と中で救出と救助を急いでやってるみたい。
ここまで酷くはなかったみたいだけど…」

芽衣は、彼らと共にダンジョンの外へ歩きながら現状の報告をしてくれた。
そのおかげで、今がどんな状況なのかを理解出来た。

「それじゃあ…スマンが、芽衣。今からこのダンジョン全域の生命反応を確認するから、お前が電脳で皆に繋げてくれ。
だが、俺は気絶すると思うから…そうだな、俺もいっしよに外には運んでおいてくれ」

「…うん、分かった」

そう言うと、彼は直ぐに生命の神眼を空間操作に連携させ、ダンジョン全域をスキルの可動範囲関係なしに強制的に広げて確認した。

しかし、スキルの可動範囲というのは、このレベルならばここまでならば安全、そういった意味も込めて可動範囲としている為、それを強制的に広げると反動が当然くる。
そのため、彼は瞳からは血の涙が零れ、口からは吐血をしながら倒れるように気絶した。

「…はぁ、全く…また無茶するんだね。お兄ちゃん…取り敢えず、全員に電脳で…」

そういうと彼女は、予め雷でマーキングしていたハンター達に生存者の情報を全てマップとして脳内に表示した。
そして、それを確認したハンターの何人かが急いで紙に書き写し、外と中に居るハンター全員に報告をしながら、救助を急いだ。
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