変異した世界で俺だけズルいスキルで無双タイム？

86. 病院

「急いで下さい！急患です！
道をあげてください！」

ん
…急患？何の話だ？

彼は今、管理局が運営しているハンター用の病院に来ていた。

「ふぁぁぁ…あー、ねみぃ」

そして、欠伸をしながら立ち上がると、自分が病院に運ばれている事に気が付いた。

「うおっ…あぶっ…ちょっ…よっと」

俺は、急に上体を起こしたからかバランスを崩しかけた為、すぐに担架から降りた。

んー、あの時の反動…もう超速再生で治ってるな。
ただ…目が、見えないけど…
まぁ、しょうがないよなぁ…あんな無茶したんだし。
一応、超速再生で少しずつ治ってきているみたいだけど…
それでも、だいぶ遅い。

「！？…ま、待って下さい！貴方は患者なんです！」

「？…ああ、大丈夫です」

彼はそう言うと、直ぐに空間操作のスキルで、周囲の空間を把握しながら病院の外へと歩いていった。

「それにしても、空間系のスキルは便利だなぁ…可動範囲自体はまだ少ないが…それでも、範囲内なら物体の位置全部把握できる…し…」

そう言いながら、上を見てみると…目には見えない、何かが空の上に集まっているのを確認した。

「あれは…神の、力…だよな」

『急いでそこから離れて！』

すると、神託の神からそう告げられ、彼は急いで転移した。

『エラーが発生』

しかし、転移が発動出来ず、彼は何かに拘束され、天へと昇った。

〚すまない。我がもう少し、しっかりしていれば…〛

すると、孫悟空がそう言ってきたので、あれの正体について聞くと、天界の者の仕業だと教えてくれた。
孫悟空が知っている天界となると、間違いなく西遊記に出てくるもので、しかも…孫悟空が暴れた場所だ。

「…これ、もしかしてめちゃくちゃ不味いか？」

〚どうだろうか。流石に、別の神話の相手を滅することは無いはずだが…〛

『私達も直ぐに向かうから、絶対に死んではいけないわよ。
なんとしてでも生き残りなさい』

2人がそうやって、真逆の返答をすると、急に冷や汗が止まらなくなった。
しかし、自分を拘束している何かはそのような事は関係ない、とでも言うかのようにそのまま天界へと彼を連れていった。

「ｸﾞﾆｬｯ…うっ…誰だ空間捻じ曲げた奴！
強制的に捻じ曲げたらこっちの反動がエグいの分かってんだろうな！」

…空間を無理矢理捻じ曲げ、天界へと招待された彼は、開口一番大声でそう叫ぶと、辺りには天使やら神やら神獣やら…兎に角、神聖な生物で一杯だった。

「ようこそ、お越しくださいました」

「はぁ？テメェらが誘拐したんだろうが！」

「誘拐？…少々お待ち下さい」

歓迎しているかのように振舞ってきた神は、誘拐と聞くと眉間を寄せ、どこかへと転移した。