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90. 天城の宝物庫

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天帝との戦闘が終わったあと、彼は城の物を次々に収納していき、最後に宝物庫へと訪れた。

「多分、ここら辺に…」

〚何を探しているのだ?〛

「あった」

【仙丹】
不老不死となると言われている霊薬

「ゴクッ…」

彼は、西遊記の話にあった宝物庫の仙丹を探し出すと、それをすぐさま飲んだ。

『仙丹の所有者が現れました。
また、仙丹の力により、半永久的な不老不死となり得た人物が現れました。
不老不死は、自らが死を望まぬ限り、永遠にあらゆる攻撃を無効化します』

すると、ワールドアナウンスとスキル獲得時の単体へのアナウンス、その両方が同時に流れ、狙い通り不老不死となれた様だった。

〚…小僧、その道は…茨の道だ。それも、終わりの見えぬ道だぞ〛

「関係ねぇよ…俺がしたいことをするだけだ」

そう言って彼は、宝物庫の物を全て回収すると、最初の神から得た扉で元いた場所へと戻った。

「…さて、家へ帰ろう」

これからは…芽衣を、絶対に守ってやらねぇとな…もう、これ以上傷付くのは見たくないんだ…

「ボキッ…ふぅむ、痛み自体は普通にあるみたいだな…」

彼はそう言うと、骨を折っては回復の繰り返しで、どんどん骨を強くしていくようにその行為を続けた。
人間の骨は、毎日のように古い骨を壊してはより頑丈な骨を作り上げるために新しい骨を再生させていくらしい。
彼は、その行為を無理矢理引き起こし続けたのだった。

〚…仙丹でいう不老不死は、耐性を高めていくものだ。
物理攻撃で壊れれば壊れるほど、物理に強くなっていき、燃やされれば段々と火に耐性を持っていく。
だが、小僧よ…
一線だけは、我のように越えるでないぞ〛

「…?なんの事だか分からないが…まぁ、その時になればおしえてくれ」

彼はそう言うと、一旦骨を折るのはやめ、家の扉を開けた。
すると、扉の音に気が付いたのか、直ぐに奥の方から芽衣が出てきて、泣きながら突進してきた。

「うぐっ…はは、ただいま」

「…ん、おかえり。お兄」

この笑顔をずっと守りたい、彼はそう思い、再び彼女を守ることを心に誓った。
…誰にも、その誓いは教えずに…

「…なぁ、芽衣」

「なに?」

「…いや、やっぱなんでもない。
とりあえずあ、未央ちゃんのダンジョンでの教育はお前に任せてもいいか?」

「?うん」

「んじゃ、俺はちょっと武器でも作ってくるわ」

彼はそう言うと、スキル:鍛冶場召喚を使って転移した。
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