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プロローグ 一人暮らし
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今年の春から高校生になる晴は、父正晴に頼んで一人暮らしをすることになった。
柳沢家は、普通の家よりは裕福な方で、周りから見れば豪邸、とまではいかないが、それなりに良い家に住んでいた。
住んでる家自体には文句のつけようがないくらい、良い家で、快適だった。
問題は暮らしの方だ。晴は七人兄妹で、妹が五人、姉が一人いる。男は晴一人だ。
だからなのか、妹達や姉が世話好きすぎる。ご飯の時一緒なのは当たり前だが、風呂の時は妹が二人程、部屋にいるときは入れ代わりで姉や妹が、リビングにいる時も、外に出る時も、庭に出る時も…
どんな時だって、姉妹が一緒だった。男兄弟だったり、一人っ子の知り合いから、羨ましいという声が飛んでくるが、そう良いものでもない…
ずっと、どこにいる時も一緒にいられたら疲れる。
特に妹達は元気が良すぎる…
だから、高校に進学と同時に一人暮らしを始めた。両親を説得するのは骨が折れた…特に母晴子
今の生活に何か不満があるのか?何か足りないものがあったか?など、説得というか、両親が親バカな為、俺が離れることに号泣しながら反対してきた。
その反対を押し切って、一人暮らしを始め、やっと一人になれる、落ち着いた暮らしができると、期待に胸を膨らませていた。両親が共働きで、家にほとんどいないため、家事は一通りできるが、姉妹達が世話好きなため、危うく何もできない駄目人間になるところだった。
そして迎えた、一人暮らし初日の朝、やっと一人になれたため、気持ちの良い朝を迎える…はずだった。
「お兄ーちゃーん!!」
そう言ってベッドに飛び乗ってきて、一人暮らし初日の朝を台無しにした人物がいた。
「んん…この声、小春か…」
聞き慣れた声なのですぐにわかる、次女の小春だ。小春は双子の妹で、春から一緒の高校に通うことになってる。
やけに機嫌の良さそうな表情をしながら、ベッドで足をばたつかせている。つい、「埃が立つからやめろ」
と注意して頭をはたく。それでも機嫌の良い小春に、いかにも出ていけと言わんばかりの不満顔で、唯一の疑問を投げかける。
「大体、なんでここにいるんだよ?」
すると、小春は口の端を徐々に上げていった。
そして、笑というよりはニヤニヤに近い表情に、不安を覚えつつ、小春の言葉を待つ。
「なんでって、私もここに住むことになってるからだよ?よかったねお兄ちゃん、こんなに可愛い妹がいつも側にいるんだよ?」
確かに小春は可愛い、具体的に言えば整った目鼻立ち、髪色は金髪とまではいかないが、それに近い色をしている。もちろんスタイルも良く、出るところは程よく出ていて、引っ込むところは引っ込んでいて、まさに、女子に求める理想の顔立ちとスタイルをしている。
晴は小春の発言に顔をひきつらせていた。
「それだけが理由なのか…?」
すると、うぐっと唸り小春が目を逸した。その分かりやすい態度に思わずため息が溢れた。
「他に理由があるんだな?小春、言ってくれ」
そう言うと、小春は何もしない?と言わんばかりの視線を向けてきた。
晴は何もしないからと付け足し、小春が口を開くのを待つ。晴の言葉を信じたのか、少し安堵した顔をし、恐る恐る口を開いた。
「お母さん達が、お兄ちゃんを一人にするのはやっぱり心配だから、誰か一緒に住んでくれって、そう言ったの。それだったら、高校一緒だし、こっちから通った方が近いし、色々便利だなーって、何よりお兄ちゃんと入れるし…」
最後らへんは、晴にとってちょっと嬉しい言葉だったが、それよりも両親の要らない心配に苛立ちを覚えていた。
「親父、母さん…意味が分からん!!」
思わず叫んで、毛布をひっくり返した。それに驚いたのか、小春はビクッと身体を揺らし、しがみついてきた。
「何もしないって言ったのにぃ」
そう言って、小春は瞳を湿らせた。涙目になっている小春に申し訳なさを感じ、反射的に謝る。
「あ、ご、ごめん…」
そう言って、小春の頭を撫でた。すると、分かりやすく小春の機嫌が良くなり、単純だなぁと思いつつこれを本人に言うと何かされそうだったので、心の内に留めておくことにした。
それにしても、晴は一人暮らしを両親に要求したつもりだったが、両親に何を言っても無駄だと理解した晴は、ため息をつき、小春がここに住むのを了承した。
(まぁ、小春だし、いいかな)
小春は比較的利口な方だ。ちゃんと晴の言うことを聞くし、適度に甘えてくるから、そう手間でもない。一番手間が掛かるのは、六女の咲希だ。まだ小学2年生のため、甘えたい盛りなのは分かるが、それが一日中だと気を休める事すらできない。さらに寝るときまで一緒なのだから、もう少し姉達に甘てくれと願うばかりだった。
これは、五女の凪沙も同じだ。もう、小学6年生になるというのに、晴と咲希と毎日一緒に寝て、毎日一緒に風呂に入ってる。これで、もう小学6年生になるんだから一人で何でも出来るようになれと注意すれば、泣きついてくるから考えものだ。その度に許してしまう晴も大概なのだが。そんなこんだで、色々と大変だった毎日からやっと抜け出せると思うと、晴は嬉しくてたまらなかった。決して妹達が嫌いというわけではないが、一度妹達から離れて暮らしてみたかった。その願いをやっと叶えられたのだから、嬉しいに決まっている。
そんなことを考えながら、ベッドの隣で顔を枕に埋めている小春を見ていると、晴の視線に気がついたのか、こっちを見て首を傾げる。他の姉妹に比べたら小春は可愛い方だ。だからと、手を伸ばし頭を撫でた。すると、小春があまりにも嬉しそうにはにかむので、晴も小春ならいてくれてもいいかなと思った。
「さ、朝ごはんにしようか」
「はーい」
多分、楽しい生活になりそうだと期待に胸を膨らませ、キッチンに向かう。
「お兄ちゃん、私が作ろうか?」
そう言って顔を覗いてくる小春に、晴は首を振る。
「でも…」
小春が眉を下げ、しょんぼりしているのを見て、多分、ここに住むから何かしたいんだと悟った晴は、
「なら、交代で家事を分担するか」
そう提案すると、小春は表情を明るくさせ、元気よく「うん!」と頷いた。
晴と小春の高校入学まであと4日!!!!
柳沢家は、普通の家よりは裕福な方で、周りから見れば豪邸、とまではいかないが、それなりに良い家に住んでいた。
住んでる家自体には文句のつけようがないくらい、良い家で、快適だった。
問題は暮らしの方だ。晴は七人兄妹で、妹が五人、姉が一人いる。男は晴一人だ。
だからなのか、妹達や姉が世話好きすぎる。ご飯の時一緒なのは当たり前だが、風呂の時は妹が二人程、部屋にいるときは入れ代わりで姉や妹が、リビングにいる時も、外に出る時も、庭に出る時も…
どんな時だって、姉妹が一緒だった。男兄弟だったり、一人っ子の知り合いから、羨ましいという声が飛んでくるが、そう良いものでもない…
ずっと、どこにいる時も一緒にいられたら疲れる。
特に妹達は元気が良すぎる…
だから、高校に進学と同時に一人暮らしを始めた。両親を説得するのは骨が折れた…特に母晴子
今の生活に何か不満があるのか?何か足りないものがあったか?など、説得というか、両親が親バカな為、俺が離れることに号泣しながら反対してきた。
その反対を押し切って、一人暮らしを始め、やっと一人になれる、落ち着いた暮らしができると、期待に胸を膨らませていた。両親が共働きで、家にほとんどいないため、家事は一通りできるが、姉妹達が世話好きなため、危うく何もできない駄目人間になるところだった。
そして迎えた、一人暮らし初日の朝、やっと一人になれたため、気持ちの良い朝を迎える…はずだった。
「お兄ーちゃーん!!」
そう言ってベッドに飛び乗ってきて、一人暮らし初日の朝を台無しにした人物がいた。
「んん…この声、小春か…」
聞き慣れた声なのですぐにわかる、次女の小春だ。小春は双子の妹で、春から一緒の高校に通うことになってる。
やけに機嫌の良さそうな表情をしながら、ベッドで足をばたつかせている。つい、「埃が立つからやめろ」
と注意して頭をはたく。それでも機嫌の良い小春に、いかにも出ていけと言わんばかりの不満顔で、唯一の疑問を投げかける。
「大体、なんでここにいるんだよ?」
すると、小春は口の端を徐々に上げていった。
そして、笑というよりはニヤニヤに近い表情に、不安を覚えつつ、小春の言葉を待つ。
「なんでって、私もここに住むことになってるからだよ?よかったねお兄ちゃん、こんなに可愛い妹がいつも側にいるんだよ?」
確かに小春は可愛い、具体的に言えば整った目鼻立ち、髪色は金髪とまではいかないが、それに近い色をしている。もちろんスタイルも良く、出るところは程よく出ていて、引っ込むところは引っ込んでいて、まさに、女子に求める理想の顔立ちとスタイルをしている。
晴は小春の発言に顔をひきつらせていた。
「それだけが理由なのか…?」
すると、うぐっと唸り小春が目を逸した。その分かりやすい態度に思わずため息が溢れた。
「他に理由があるんだな?小春、言ってくれ」
そう言うと、小春は何もしない?と言わんばかりの視線を向けてきた。
晴は何もしないからと付け足し、小春が口を開くのを待つ。晴の言葉を信じたのか、少し安堵した顔をし、恐る恐る口を開いた。
「お母さん達が、お兄ちゃんを一人にするのはやっぱり心配だから、誰か一緒に住んでくれって、そう言ったの。それだったら、高校一緒だし、こっちから通った方が近いし、色々便利だなーって、何よりお兄ちゃんと入れるし…」
最後らへんは、晴にとってちょっと嬉しい言葉だったが、それよりも両親の要らない心配に苛立ちを覚えていた。
「親父、母さん…意味が分からん!!」
思わず叫んで、毛布をひっくり返した。それに驚いたのか、小春はビクッと身体を揺らし、しがみついてきた。
「何もしないって言ったのにぃ」
そう言って、小春は瞳を湿らせた。涙目になっている小春に申し訳なさを感じ、反射的に謝る。
「あ、ご、ごめん…」
そう言って、小春の頭を撫でた。すると、分かりやすく小春の機嫌が良くなり、単純だなぁと思いつつこれを本人に言うと何かされそうだったので、心の内に留めておくことにした。
それにしても、晴は一人暮らしを両親に要求したつもりだったが、両親に何を言っても無駄だと理解した晴は、ため息をつき、小春がここに住むのを了承した。
(まぁ、小春だし、いいかな)
小春は比較的利口な方だ。ちゃんと晴の言うことを聞くし、適度に甘えてくるから、そう手間でもない。一番手間が掛かるのは、六女の咲希だ。まだ小学2年生のため、甘えたい盛りなのは分かるが、それが一日中だと気を休める事すらできない。さらに寝るときまで一緒なのだから、もう少し姉達に甘てくれと願うばかりだった。
これは、五女の凪沙も同じだ。もう、小学6年生になるというのに、晴と咲希と毎日一緒に寝て、毎日一緒に風呂に入ってる。これで、もう小学6年生になるんだから一人で何でも出来るようになれと注意すれば、泣きついてくるから考えものだ。その度に許してしまう晴も大概なのだが。そんなこんだで、色々と大変だった毎日からやっと抜け出せると思うと、晴は嬉しくてたまらなかった。決して妹達が嫌いというわけではないが、一度妹達から離れて暮らしてみたかった。その願いをやっと叶えられたのだから、嬉しいに決まっている。
そんなことを考えながら、ベッドの隣で顔を枕に埋めている小春を見ていると、晴の視線に気がついたのか、こっちを見て首を傾げる。他の姉妹に比べたら小春は可愛い方だ。だからと、手を伸ばし頭を撫でた。すると、小春があまりにも嬉しそうにはにかむので、晴も小春ならいてくれてもいいかなと思った。
「さ、朝ごはんにしようか」
「はーい」
多分、楽しい生活になりそうだと期待に胸を膨らませ、キッチンに向かう。
「お兄ちゃん、私が作ろうか?」
そう言って顔を覗いてくる小春に、晴は首を振る。
「でも…」
小春が眉を下げ、しょんぼりしているのを見て、多分、ここに住むから何かしたいんだと悟った晴は、
「なら、交代で家事を分担するか」
そう提案すると、小春は表情を明るくさせ、元気よく「うん!」と頷いた。
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