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17 夕刻、其々の企み2
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「ちょっと!
困りますよ!
ドアは静かに開け閉めしてもらわないと!」
古い喫茶店を買い取ってそのまま古さを生かしてカフェとして経営しているオーナーが声を荒げる。
注意した相手がガッシリとした大きな体の男だと分かって一瞬怯むが、強い視線を変える事は無い。
二十代の美女は無敵だ。
大抵の男は恐れる必要がない。
秒で下僕化させる自信があるのだ。
「すみません、気を付けます」
意外にも礼儀正しく頭を下げた男は近くの男子校の制服を着ている。
(橘高生――あそこの男って、ちょっと調子狂うのよね‥‥)
普通、男が自分に向けて来るチヤホヤ感が橘高生には無い様な気がする。
自分が魅力的過ぎて刺激が強すぎて逆に無反応なのかしらと分析しているが。
丁度いい、コイツでちょっと確かめてみようかな。
そんな風に決めて、カフェオーナーは蠱惑的に微笑み、艶のある声を出す。
「あぁ、いいのよ。
こちらこそ、強く言ってしまってご免ね?
大きな音にビックリしてしまって‥‥」
「コーヒーお願いします」
「――え?…え!?」
注文してサッサと奥の席に向かった橘高生は、自分に向けるべきメロメロな表情を微妙な容姿の金髪ロン毛男子に向けて声を弾ませる。
「連絡くれてありがとう、すももちゃん!
俺、最高にうれしいよ!
でもいいのかな‥‥アイドルと二人きりで会うなんて、禁止事項のはず‥」
「声デカい。
早く座って」
「わ、分かった。
…ソレ食べてるんだ。
やっぱりアイドルは可愛いなぁ」
「コレは僕と同じだからね」
「え?」
「栗スイーツはもうすぐお役御免なのさ。
春になればフレッシュな苺ちゃんが主役になって、渋皮付きの茶色いコイツはみんなに忘れ去られるのさ」
「すももちゃん!
俺は、ずっとすももちゃんを応援し続けるよ!
確かにみんなはもう『ゆーとりん』の話題でもちきりだけど、俺は違う!
すももちゃんはいつまでも俺のアイドルだよ!」
「本当? 信じていいの?」
「もちろん! 俺、すももちゃんの為なら何だってやるよ!」
「ありがとう、実はね、やって欲しい事があるんだ‥‥」
「もちろん!‥‥えッ‥‥」
アー、ソッチか、ナルホド、ナルホド‥‥
カフェオーナーは深く納得し、注文されたコーヒーに鼻クソでも入れてやろうかしらと眉を吊り上げる。
自分の魅力が通用しない種族は彼女にとっては敵である様で。
時代と逆行する感覚は、彼女が美人で、小さな頃から他の女子に対して圧倒的優位を保ち続けて来たからか。
(『男族』は『女族』のものよ!
得体の知れない種族にハイスペックな男を持ってかれるなんて絶対イヤ!)
女族の中に敵はいない。
一人勝ちのはずの猟場で彼女には理解出来ない魅力で猟場を荒らし何故か良質な獲物を奪っていく種族に危機感を募らせる彼女もまた優秀なハンターではある?
困りますよ!
ドアは静かに開け閉めしてもらわないと!」
古い喫茶店を買い取ってそのまま古さを生かしてカフェとして経営しているオーナーが声を荒げる。
注意した相手がガッシリとした大きな体の男だと分かって一瞬怯むが、強い視線を変える事は無い。
二十代の美女は無敵だ。
大抵の男は恐れる必要がない。
秒で下僕化させる自信があるのだ。
「すみません、気を付けます」
意外にも礼儀正しく頭を下げた男は近くの男子校の制服を着ている。
(橘高生――あそこの男って、ちょっと調子狂うのよね‥‥)
普通、男が自分に向けて来るチヤホヤ感が橘高生には無い様な気がする。
自分が魅力的過ぎて刺激が強すぎて逆に無反応なのかしらと分析しているが。
丁度いい、コイツでちょっと確かめてみようかな。
そんな風に決めて、カフェオーナーは蠱惑的に微笑み、艶のある声を出す。
「あぁ、いいのよ。
こちらこそ、強く言ってしまってご免ね?
大きな音にビックリしてしまって‥‥」
「コーヒーお願いします」
「――え?…え!?」
注文してサッサと奥の席に向かった橘高生は、自分に向けるべきメロメロな表情を微妙な容姿の金髪ロン毛男子に向けて声を弾ませる。
「連絡くれてありがとう、すももちゃん!
俺、最高にうれしいよ!
でもいいのかな‥‥アイドルと二人きりで会うなんて、禁止事項のはず‥」
「声デカい。
早く座って」
「わ、分かった。
…ソレ食べてるんだ。
やっぱりアイドルは可愛いなぁ」
「コレは僕と同じだからね」
「え?」
「栗スイーツはもうすぐお役御免なのさ。
春になればフレッシュな苺ちゃんが主役になって、渋皮付きの茶色いコイツはみんなに忘れ去られるのさ」
「すももちゃん!
俺は、ずっとすももちゃんを応援し続けるよ!
確かにみんなはもう『ゆーとりん』の話題でもちきりだけど、俺は違う!
すももちゃんはいつまでも俺のアイドルだよ!」
「本当? 信じていいの?」
「もちろん! 俺、すももちゃんの為なら何だってやるよ!」
「ありがとう、実はね、やって欲しい事があるんだ‥‥」
「もちろん!‥‥えッ‥‥」
アー、ソッチか、ナルホド、ナルホド‥‥
カフェオーナーは深く納得し、注文されたコーヒーに鼻クソでも入れてやろうかしらと眉を吊り上げる。
自分の魅力が通用しない種族は彼女にとっては敵である様で。
時代と逆行する感覚は、彼女が美人で、小さな頃から他の女子に対して圧倒的優位を保ち続けて来たからか。
(『男族』は『女族』のものよ!
得体の知れない種族にハイスペックな男を持ってかれるなんて絶対イヤ!)
女族の中に敵はいない。
一人勝ちのはずの猟場で彼女には理解出来ない魅力で猟場を荒らし何故か良質な獲物を奪っていく種族に危機感を募らせる彼女もまた優秀なハンターではある?
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