あと6日で王太子を振り向かせたい王女は護衛にドキドキしている場合ではない!

ハートリオ

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10 むっちむち!

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ピウス姫の言葉が上手く聞き取れなかった私は優しく聞き返す。

「すまない、よく聞こえなかった…今何て?」
「いえ、何も。お気になさらないで」

ん?2回言うのは恥ずかしい事を言ったのかな?

『あなたが好きッ』とか?
いやいやまさかそんないくら何でも…なぁ?…ハハハハッ

追求すればその頬にもう一度朱が戻るのだろうか…

だが…まぁいい。

か、か、可愛い笑顔に誤魔化されてやるのも男の優しさというもの…(赤面)

「悪いんですけどぉ、テナ様は私と約束してるのですわぁ」
「!‥あ、そうでしたか…では仕方ありませんね…」
「…え?…いや私は別に約束など…ォッ」

クピドゥスがまたも私の腕にオッパイを押し付けて来るッ

こうなると私はもう思考停止となってしまう。

私が情けないのではない。

哀しいかな、男とはそういうものなのだ――

「…重そうなバスケットですのねぇ…一生懸命さをアピールすればテナ様に優しくしてもらえるとでも目論んだのかしらぁ…お生憎様だわぁ、テナ様はもう私に夢中なのぉ…クッククク、せっかくのお弁当、捨てるのは勿体ないから後ろにいる護衛にでも食べさせたらぁ?」

私が口を挟もうとする度クピドゥスがオッパイをギュッと押し付け黙らされる。

結局何も主張できないまま昼食の誘いは断る形になってしまった。

ピウス姫の手作り弁当…
正直、食べたくて仕方がないのだがッ!

「テナ様ぁ、早く行きましょう、私すっかり冷えてしまったみたいなのぉ」
「えっ!冷え‥いけませんわ!」

ピウス姫がハッとした顔でそう言うが…

王立学校は制服着用が決まり。

王太子の私といえど皆と同じ制服で通っている。

女生徒の制服はワンピースドレスで。

袖もスカート部分も膨らませることなく上半身もスッキリと体に沿ったシンプルなデザイン。

胸元は大きく開いているが女子は皆フィシューという白いスカーフを入れ込みカバーしている。

春には少し早いこの時期、女生徒はそのドレスの上にケープを着ている。

だがクピドゥスはケープを着ていない。

胸元を隠すフィシューも使っていない。

保温よりもセクシーを選んで自らそうしているのだから自業自得だ。

同情する必要はまるでないのだが…

…はッ!

ピウス姫が自分が来ているケープをサッと脱いで‥

オ、オオオオッ(脳内咆哮)

そうだ、コレだッ!

思い出した、思い出したぞ!

私が君から離れた理由――

それは君のその、あまりにもけしからん超ナイスバディ…

『私をどうするつもりだッ!?』と問い詰めたくなるほどの蠱惑的なぁぁぁ!

「冷えは女性の大敵です!どうぞこれを羽織って体を温めて!さぁ、さぁ早く!遠慮は要らなくてよ!‥あの?」
「い、いらないわよッ!‥テ、テナ様行きましょう!ほらッ‥ちょッ‥う、動けこのぉッ‥ぬぐぅッ‥くぬぅッ‥」

クピドゥスに急かされようが引っ張られようが微動だにしないテナークス。

爛々とした双眸はピウスの白くて豊かで艶やかなオッパイにド釘付けで――

ガッ!
「はぅッ!?」

まさかの実力行使ッ!

クピドゥスがテナークスの股間を鷲掴みにしている!

それまで保っていたぼんやり顔を鬼顔に変えたクピドゥスに対してテナークスの虚ろな目は視線が定まっていない。

「ハッハッむっちむちの胸の谷間…」
「ウッ‥それは幻よ!忘れて!とにかく行きましょう…空き教室で抜いてあげる」
「ハッハッむっちむち…」

ヨロヨロしながら校舎へ向かっていく二人をポカンとした表情で見送るピウス。

と、手に持っていたケープをサッと取られて――
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