あと6日で王太子を振り向かせたい王女は護衛にドキドキしている場合ではない!

ハートリオ

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48 主張し始める王女

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『妃とは何ですか?』

王太子は簡単すぎる質問に何故か背筋がヒヤリとする。

「もももちろん愛する伴侶の事だよ!これからの人生を共に生きて行く一生のパートナーだ!そしてそれは君しかあり得ないんだ、ピウス姫!」

自分がこんな事を言えば頬を染めて喜びの涙を流すはずのピウス姫に冷めた眼を向けられ悪寒に震える王太子。

「誰が見ても殿下の伴侶はそちらのご令嬢ですわ。6ヶ月前から王太子宮に住まわせ寝食を共にし王家秘匿であるアッロガーンス王家語を習得させ今は正式な場でお揃いの衣装を着てエスコートしている…何よりご令嬢は殿下の御子を妊娠している…彼女でなければ誰が妃に?」
「も、もちろん君だ!ピウ‥」
「私とは元々冷めた関係でしたしこの6ヶ月間に至っては一切の交流を絶っていましたよね。私から話しかけても拒絶されるだけ…今日のエスコートも断られましたよね…とても妃にしたいと思っている相手に対する態度ではありませんわ」
「それは…それは君が優しくなかったからだ!」

まるで取り付く島もないピウスに焦れた様に王太子が叫ぶ。

「…それはどういう意味ですか?」

突然の叫び声にピクリと肩を揺らすものの、ピウスは落ち着いた声で質問する。

「私が…何度頼んでも君は体を許してくれなかった!…そ、そんなにも蠱惑的なのに…魅惑的な体を見せつけておいて触れる事すら拒絶した!」
「それは‥」
「ああ!君に何度も言われたよ!『婚約契約書に体を繋げるのは正式に結婚した後と明記されている』ってね!だけど婚約者なんだ!18才でもう成人もしている!皆だって愛し合っている!自然な事なのに頑なに拒否するなんて冷たすぎるだろう!?」

ガクガク震えながら涙目で訴える王太子。

そんな息子が憐れで可哀想でどうしようもない母王妃も口を開く。

「そうよ!王女殿下が冷たいのがいけないのよ!ムラムラして苦しんでいる婚約者に優しく体を開くのが女の務めよ!私だって何度もお膳立てしてあげたのに‥」
「お膳立て?」
「‥ッ」

キラリ、ナイフの様に鋭く反応するピウスに王妃は息を呑む。

――この子、こんな子だった!?

(そうだわ…あれはうやむやなまま黙って済ませていい事ではないはず)

ピウスは予定に無かった事を――
未解決だった3年前の事件に決着を付ける決意をする。

「例えば私がアッロガーンス王国に到着した日に出された『王妃殿下の手作りお菓子』の事ですか?」
「‥!‥あ、あら、何の事かしら‥」
「今更…タップリと媚薬が入っていたプチタルトの事ですわ」
「なに‥何を証拠に‥」
「『王妃殿下の手作りプチタルト』を信頼出来る機関――帝国の薬物研究所で成分分析してもらいました。結果は酷いものでした。使用者に大量の死亡者が出た為世界中で製造・使用を禁止された違法薬物でした。その上、薬物研究所に提出したプチタルト一かけらだけで優に致死量を超えていました。アッロガーンス王妃はカラクテリスティカ第一王女に致死量の媚薬――つまり毒入りの菓子を食べさせたのです」

騒めく会場。

中でも1番目を丸くしているのは――
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