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第一章

10 ドレスの謎

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あまりの衝撃光景に、私は涙目でカタコトになりながら声を上げる。



「ステラッ!?
何をやっているんだ!?
君、腕、ソレ、」

「‥‥ディング様?
何を驚かれているのですか?
素手で、という事ですので、ドレスの袖を外しているだけです。
このドレス、関節の部分で脱げますから、良かったです。
ルク、そのまま引っ張ってくれる?」



侍女ルクがそのまま引っ張ると、肘から下の腕が外れた!?

なッッッ‥‥あ!?

中から、細くて真っ白い腕が出て来た!?

どういう事だ!?

丸太の様な太い腕も、コッペパンを5個並べた様な指も、全部『ドレスの一部』だとでも!?


ッッッ!

それにしても、何と美しく、しなやかで艶めかしい腕なのだ‥‥アッ!

カロンが自分で着けていたスカーフをシュッと外して、美しく蠱惑的な腕にサッと巻き付けてしまった‥‥

カロン、
貴様、
クビだッ!



「‥あ、すみません。
お目汚しで‥‥」

「いえ、逆です」

「‥‥まぁ‥‥」



――何だそのシットリした雰囲気はッ!

カロン、鞭打ち1000回の上クビだぁぁッ!


‥‥そ、そうだ、このドレスの謎を解く前に魔法契約など結んではいけない!

私の中で言いようのない何かが必死に私に警告する!

『ステラを手放してはいけない』と。

そうだ、この6年間、何度も何度もステラと婚約解消しようと思った。

その度に自分の内から湧き上がる何かが私を止めて来たのだ。

だが、今回は、可愛いクレアに押し切られて、とうとう実行に移してしまった。

せ、せめて魔法契約だけは何とか避け‥‥



‥‥アァァッ!!



私がモタモタしている間にステラが美しい手を陣の上に置いてしまった!



カッッ!



その途端に布‥‥

魔法陣が光を放ち‥‥!



ウッ、グゥッ、グブッ


な、何だこの衝撃!?

何かが‥‥光が全身を駆け巡るッッ!?



「‥‥ぁあッ‥‥」



私、父上、義母が耐えられず膝をつく。

クレアは何とか立っている様だ。

ステラは‥‥

分からん、
ピクリとも動かない。


え‥‥


死んでんじゃないだろうな!?
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